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クボタで4強入りの“ラピース”・ラブスカフニ、日本代表で「スタンダードを形に」。

2021.05.26

クボタの人気選手である“ラピース”・ラブスカフニ。4月24日のヤマハ戦(Photo: Getty Images)


 国内トップリーグのラストシーズンにあって、日本代表きっての好漢がタイトルを得た。

 南アフリカ出身でクボタのFLであるピーター“ラピース”・ラブスカフニが、リーグ選定のベストフィフティーンに初選出された。関係者の投票と選考委員会の審議により、トヨタ自動車のマイケル・フーパーら他国代表歴の豊富なFLを抑えて受賞した。

「本当に嬉しかった。エキサイティングなシーズンでした」

 身長189センチ、体重106キロの32歳。持ち前の運動量と危機管理能力で素早く防御網を埋め、高低を織り交ぜたタックル、機を見てのジャッカルを繰り出す。慎ましくも笑顔を絶やさぬ人柄でも知られ、今度の報せについてもまずは謝辞を述べる。

「一緒にたくさん学び、成長する機会があったのでチームメイトに感謝したい。コーチの尽力にもまた」

 所属するクボタでは今季、現行システム下で初の4強入り。開幕5連勝を決めたレギュラーシーズンの終盤にはサントリー、トヨタ自動車に僅差で連敗も、プレーオフトーナメントの準々決勝では前半途中に退場者を出しつつ2018年度王者の神戸製鋼を制した。

 ラブスカフニは「今季に限らず、与えられたことを受け、成長すること(が大事)と思っている」。クラブが紡いだ物語に沿うよう、激動のシーズンを総括した。

「同じ状況に出くわした時にどう立ち向かうかといった点で成長を見せられると、状況を変えていける。今季はその点でうまくいったところもあって、このような受賞につながったと思うところもあります。改めて感謝したいです」

 5月下旬からはナショナルチームに加わる。2019年のワールドカップ日本大会で決勝トーナメントに進んで以来の代表活動へ、「また選ばれたことを、感慨を持って受け止めています」。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの説明によると、23日のトップリーグ決勝に出ていない選手は、最初のキャンプ地である大分・別府に合宿初日の26日よりも前に入る。フィットネス強化に注力しそうだ。

 ラブスカフニのプレーするバックロー(FLなどのFW第3列)には、主将のリーチ マイケルやニュージーランドでプレーする姫野和樹といった2019ワールドカップ組の他、パナソニックのベン・ガンターら初めて代表資格を得る海外出身者も並ぶ。ラブスカフニは誠実に述べる。
 
「トップリーグ全体を見渡すと、バックローには素晴らしい選手がたくさんいる。それぞれ違ったよさを持っているなかで自分が日本代表に選ばれたのは、エキサイティングなことです。新しい選手たちと一緒にやれること、彼らの出してくれる特別感が楽しみです。もちろん、前回一緒にプレーしたメンバーとの再会も待っています。あれからそれぞれが各所属先に戻り、たくさんのことを学んでいるはず。得たものを各自で持ち寄り、切磋琢磨し、一緒に成長していけたらと思います」

 何よりリーダー陣は、すでにオンラインでミーティング済み。新規選手の受け入れ方や、6月26日のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦へ向けた短期間での強化方法について話した。ワールドカップでゲーム主将を務めたラブスカフニもまた、その隊列に加わっていよう。

「私だけではなく、誰もが選ばれたからには与えられた機会を最大限に活かしたい。そのなかでスタンダードを高く設定し、そこに達するために何をするのか…。強い相手との対戦を通し、(心技体における目標水準などを)測っていくのが最初(現在)の段階です。自分たちのスタンダードを形にしたい」

 2023年にはワールドカップ・フランス大会を控える。最大のターゲットに向けた最初のチャプターを、首尾よく成立させたい。

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