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クボタ初4強! 神戸撃破の試合前、立川主将は「スコアボードを見ない」とコメント

2021.05.09

HOマルコム・マークスと喜び合う立川理道(撮影:松本かおり)

「レッドカードで厳しい状況を、全員のハードワークで乗り越え勝つことができました」

 共同主将制が広まる中で、日本選手一人で主将の看板を背負うレアケース。この試練、関門を突破するチームを、立川理道(はるみち)がキャプテンらしく、力強く支えた。

◆前週の会見で笑顔を見せる立川理道主将

 5月9日、静岡エコパで行われたトップリーグプレーオフ準々決勝で、クボタと神戸製鋼が対戦。2018年度シーズンの王者である神戸を、クボタが破った。前半に司令塔のバーナード・フォーリーが一発レッドで退場処分。その時点で17-0だったスコアはやがてもつれ、20-21と逆転を許し、残り6分で23-21となった(ゲラード・ファンデンヒーファー、勝負どころでPG決める!)。

 残り時間と点差と、味方選手たちの消耗度を繊細に判断し、14人での微妙なバランスを取り切って、最後は主将自身がキックアウト、試合を終わらせた。クボタ23-21神戸。クボタにとっては創部以来初めてとなる4強入りだ。

 試合前週の会見では、自身の、チーム内での立ち位置について「ひたむきさで一番になる」と言った。

「(自分は)何が秀でているわけではないプレーヤー。キャッチパスとか、タックルで少しでも前に出ることといった、地道なことをやりたい。ひたむきさで、チームで一番でありたいと思ってきた」

 この日は、14人となった場面から活躍が目立った。チームの厳しい時間帯、場面ごとのプレー選択はもちろん、ラン、ディフェンス、ジャッカルなどのプレーで明らかに、チームの中心にいた。

「プロセスを信じてプレーすることが大事といつも心がけている。神戸戦もそうありたい。いい意味で、スコアボードを見ないこと」

 皮肉にもスコアボードを睨みながらのギリギリの駆け引きが続く試合となり、その試練を乗り越えた。

 チーム初の4強へ。導いたのは他の日本代表経験者でも、オールブラックスでもワラビーズでもなく立川理道だった。

「サントリーは、レギュラーシーズンで負けてしまったサントリーが相手(クボタ26-33サントリー)。自分たちのやりたいラグビーをもう一度思い出して、臨みたい」

 左腕に巻いたグリーンのテーピングは、ラグビー兄弟を育ててくれた母・みどりさんへの感謝を密かに表している。この決戦が母の日だから、ではなく、毎試合そうしているのが立川理道だ。

前週の会見で笑顔を見せる立川主将(撮影:BBM)
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