秩父宮ラグビー場に歓声はなかった。
しかし、選手たちの笑顔があった。思い切りのいいプレーも。好プレー、好ゲームがいくつも見られた。
太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021の東京大会が5月1日に開幕した。同日は11チーム(当初は12チーム予定も北海道バーバリアンズ ディアナが出場辞退)がブールマッチを戦い、同2日には順位決定戦がおこなわれる。
昨年はコロナ禍の影響を受けて中止になっていた。
2年ぶりの大会開催は無観客でおこなわれることになったが、そこには喜びの空気が流れていた。
2019年大会優勝のながとブルーエンジェルスは、2戦2勝で初日を終えた。
2019年夏の入替戦に勝ってコアチーム昇格を決めながら、昨年は大会が中止に。なかなか晴れ舞台に立てなかった四国大学は、RKUグレース戦で勝利を挙げた。
東京山九フェニックスも3連勝と好スタートを切った。
これまでは大会に参加できないチームの若手選手などが名を連ねたチャレンジチームは、今回は女子セブンズ日本代表候補の選手たちで構成された。
約80日後に迫った東京オリンピックまでにおこなえる実戦機会は限られている。選手たちにとってはセレクションの一部となるだけに、パフォーマンスが注目された。
そのチャレンジチームは、三重パールズ、横浜TKM、日体大女子に3連勝した。
4月上旬にドバイに遠征したメンバーの中から今大会に参加したのは、中村知春、大黒田裕芽、永田花菜の3人だけ。国内練習組とのこの大会に向けての調整期間は多くなかったため、「ディフェンスのコネクトが切れるところもあった」と中村主将は振り返る。
しかし、積み重ねてきたトレーニングで得たフィットネスは、他チームをリードしていた。
サクラセブンズって、どんだけ強いんだ?
周囲のそんな目の中でプレーすることについて、中村主将は「そういうプレッシャーをパワー、エナジーに変える経験はたくさんしてきましたし、今回も感じています。ただ、この舞台に立てる12人にとって、そういうプレッシャーを得られることは(五輪への)アドバンテージになる。前日から、このメンバーでこの大会に出る意味を考えようと話しました」と言った。
彼女たちの強い思い。それを倒そうとする各チームのスピリットなど、参加各チームのそれぞれのモチベーションが大会2日目を熱くしそうだ。