ラグビーリパブリック

雨の中でも笑顔あふれる。茨城初の平日ラグビーアカデミー体験会、開かれる。

2021.04.30

会場は水戸駅に近い水城高校人工芝グラウンド。便利、快適。(撮影/松本かおり)

良質のコーチングが子どもたちを楽しませた。(撮影/松本かおり)
タッチラグビー出身、ステップのエキスパートである奈良コーチのアドバイスは分かりやすい。(撮影/松本かおり)
左から奈良秀明ステップコーチ、廣瀬慎也ヘッドコーチ、猪瀬佑太スキルコーチ、君島良夫キックコーチ。(撮影/松本かおり)


 子どもたちの笑顔は太陽だ。雨模様の憂鬱さを吹き飛ばした。
 4月29日の茨城・水戸は一日中雨が降り続いた。しかし、水戸駅に近い水城高校の人工芝グラウンドには、約80人の子どもたちが集まった。
『Elite Rugby Academy』の無料体験会は大成功だった。

 5月7日(金)から始まる、茨城県初の平日ラグビーアカデミー、『Elite Rugby Academy』(毎週金曜/19時〜21時/水城高校G)の楽しさを小学4年生〜中学3年生が知った。プロコーチの指導に惹きつけられた。
 君島良夫キッキングコーチがキックの楽しさとコツを伝える。みんな左右の足を動かし、ボールを蹴り上げた。
 奈良秀明ステップコーチが足の動きを楽しく分解する。そんな話を聞くのは、みんな初めてだっただろう。
 笑顔が出て当然だった。

 日本ラグビーが抱える課題は、茨城でも同じだ。子どもたちは、中学ラグビーと平日ラグビーの機会がないことが寂しい。
 特に茨城の県北、県央で中学ラグビー部があるのは2つ(太田第一付属、日立第一付属)で、ラグビースクールも水戸・日立ラグビースクールだけ。
 水戸市ラグビー少年団、ひたちなかラグビースクール、日立ラグビースクールの小学生たちも含め、活動は週末だけに限られてきた。

 そんな現状に『Elite Rugby Academy』の廣瀬慎也ヘッドコーチは、「2019年のワールドカップでラグビーをする子どもたちがせっかく増えたのだから、できるだけ長く、茨城でプレーを続けられる環境を整えてあげたい」と考えた。
 どうせなら最高の指導を。そうしたら、子どもたちも喜ぶ。みんなグラウンドに向かいたくなる。
 プロコーチたちの賛同も得て、この日を迎えた。

 魅力的な指導陣が揃った。
 廣瀬ヘッドコーチは、2019年の茨城国体時に県代表チームのヘッドコーチを務めた人。磯原高校(現・磯原郷英)から日体大に進み、卒業後は故郷へ。公立高校ラグビー部で指導にあたり、現在は太田第一高校でラグビー部監督を務めている。
 猪瀬佑太スキルコーチも地元出身で、常総学院OB。大体大、NECでPRとして活躍し、日本代表にも選ばれた。
 現在は水戸が勤務地。この日は、ウォームアップを担当し、「パグちゃんでーす」(猪瀬コーチの愛称)と笑わせた。

 このふたりが毎回のアカデミーに参加し、君島キックコーチと奈良ステップコーチがスポットで加わる。
 君島コーチは水戸出身で、清真学園から同志社大、NTTコム、日野や海外クラブでプレーし、プロキックコーチとして活動する。
「地元に貢献できるのが嬉しい」と話す君島コーチは、以前から国体チームの指導にも関わってきた。
 今回は奈良ステップコーチとのパイプ役にもなり、ふたりでプロ専門コーチの価値を示した。子どもたちはきっと、ふたりの指導の続きを受けたいと思っている。

 廣瀬ヘッドコーチは、「子どもたちがそれぞれに教わったことをラグビースクールや部活に持ち帰り、茨城のラグビーを良くしてくれたら嬉しいですね」と話す。
 ラグビー愛に加え、茨城愛も強いコーチたちの思いは、子どもたちを笑顔にして力も伸ばす。
 まずは水戸で基盤を作り、県内のあちこちで発信していく未来図も描いている。

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