前進は止まらない。
4月1日に一般社団法人となった静岡県ラグビーフットボール協会が4月21日に第1回拡大理事会を開催した。
理念・ビジョン・戦略や聖地化実現月間などの議題について議決し、記者会見で内容を発表した。
同協会の星野明宏代表理事(静岡聖光学院中学校・高等学校長)は、アイデアマンで、行動力ある人だ。昨年6月に発足した『ラグビー聖地化検討会』の座長も務める。
そのとき以来、静岡県内のラグビーは動き続け、今年3月には『エコパ(小笠山総合運動公園)ラグビーグラウンド5面化』が実現し、女子セブンズの『鈴与・セントパトリックグリーンカップ』の設立もあった。
今回、星野代表は同協会のミッション(使命)を「静岡をラグビーとスポーツでワクワクさせる」と発表した。
ラグビーとスポーツを発信源にするけれど、その枠にはとどまらない活動をしていく。
直近ではイベントの充実が目を引く。6月を『JUNE PRIDE』と銘打ち、エコパはラグビー満載だ。
6月12日に日本代表英国ツアー直前試合を実施し、その翌日は学生ラグビー。佐賀工業高校男女チームがやって来て、男女静岡県高校選抜と戦う(韮山反射炉カップ)。同日には法人化記念招待試合として明大×帝京大も実施される。
6月19日、20日には女子のリージョナルウィメンズセブンズが開催され、地元のアザレアセブンが出場する。20日には、関東大学春季大会の慶大×東海大もある。
そして6月24日からの4日間はU19日本代表合宿となっている。
いろんなプロジェクトをおこなっていくために逆算し、各方面から経営のプロやビジネス界で活躍する人、メディア関係者、指導者、元アスリートなどに理事になってもらった。
20人の理事のうち8人は女性だ。
多彩な顔ぶれの理事たちの存在により、同協会のビッグスケール化を実現する。今後同協会は、過去にはなかった経営的要素も入れて運営される。
すでにおこなっているラグビー憲章を広める教本配布による教育面への貢献は、その一部。理事のひとりである小野澤宏時氏考案の静岡式フットボールも、静岡をワクワクさせるツールのひとつだ。
エコパという場所をハブに、その活動をどんどん広げていく。
星野代表理事は、「大事なのはマインド」と言う。
最終形が実現するのはいつになるか分からないが、まずは夢を示す。いまやっていることは、すべてがそこにつながるものと多くの人に理解してもらうことが重要だ。
「トヨタ(自動車)が裾野市に作るウーブン・シティーのような未来想定都市をイメージしています。スポーツのウーブン・シティーをエコパに作りたい。ラグビーやスポーツを通した、人育て、教育のモデルになれるようにしたい」
Vision(未来像)は「フロンティアスピリッツとイノベイティブな発想で感動を多く創出していく」こと。Target(達成目標)を「静岡プライドを醸成する」としている。
星野代表理事は「すべては大義を持って行動していく」とした。その先に、静岡がラグビーの聖地となる日が来る。
記者会見には日本代表としてキャップ81を持つ小野澤理事、元日本代表で、現在は日本代表コーチ、ヤマハ発動機ジュビロのハイパフォーマンスコーチを務める長谷川慎理事も参加した。
3年前から故郷・静岡に暮らす小野澤理事は「トップでの知見を普及にどう活かすか。指導者の育成に注力していきたい」と話した。
長谷川理事は「静岡で新しいことが始まる。それが日本のスタンダードになり、世界のスタンダードになる。ワクワクすることをしたい」と笑顔を見せた。
元女子ラグビー日本代表の野毛伸子理事(アザレア・スポーツクラブチームコーディネーター)は「女性のラグビーファンを増やしたい」と決意表明をした。
現在の静岡県内のラグビー競技人口は約1200人。その数を大きくすることも聖地化へのスピードアップにつながると思われるが、星野代表理事は、「数や(達成)期間の設定はしない」とした。
数を追うだけの活動は意味がないし、まずは指導者を増やすなど環境を整えることが先決とした。