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存在感と安定感。山中亮平[神戸製鋼]、活躍の理由と五郎丸先輩との想い出語る。

2021.04.25

188センチ、100キロ。6月には33歳になる。(撮影/早浪章弘)


 前半14分のトライは、真紅のジャージーが相手ボールを奪取した直後だった。
 ラックの横に走り込んだ背番号15はSH日和佐篤からのパスを受け、いっきにインゴールまで走り切った。

 神戸製鋼のFB山中亮平が存在感を示した。
 4 月24日、花園ラグビー場でおこなわれたトップリーグのプレーオフトーナメント2回戦で神戸製鋼は三菱重工相模原に50-17と完勝した。
 山中は後半の立ち上がりにもWTBアタアタ・モエアキオラのトライを呼ぶ走りを見せて勝利に貢献した。

 32歳と経験豊富な男は、前半は17-10だった試合を、「負けたら終わりのトーナメント。一つひとつの試合が大事」と振り返った。
「前半は相手のペースになった時間もあったが、最終的には、自分たちのラグビーを出せたところもたくさんあったと思います」

 前半のトライシーンを回想し、「ターンオーバーしてチャンスがあった。スペースを見つけ、早いコミュニケーションを取りました。練習からやっていることを出せた」と話した。

 後半最初にトライをアシストしたプレーは、相手に蹴り込まれたボールを手にしたところから始まった。
「ハーフタイムに、自分たちのラグビーができていないと話しました。後半の入りが大事でした。キックに対して仕掛けていくつもりだった。スペースに対して走れました」
 両プレーとも、チームを勢いづけた。

 4月12日に発表された日本代表候補に名前があった。
 しかし、個人のアピールではなく、「神戸での自分の役割をやり切る。そこにフォーカスしています。いい試合ができれば(自然と代表にも)入れる」とチームのコミットに集中する。

 FBとしての時間を重ね、「うしろからの防御の指示、攻撃時の外からのコールなどが以前より高まったと思う」と自己分析する。
 キック力を活かしてエリアを獲得するか、仕掛けるか。その判断力も自分の武器と考える。

 この日は、他会場の試合でヤマハ発動機が敗れてシーズンを終えたため、日本代表(2015年に揃ってテストマッチに出場)、早大でともにプレーした五郎丸歩が現役引退となった。
 そのことについて問われた山中は、「今年は試合でも一緒にプレーできなかった。(引退は)寂しいですね。お世話になりました。お疲れさまでした」と先輩を労った。

 思い出がある。
「五郎丸さんが(早大の)4年で僕が1年の時、『自分の好きなようにプレーしていい』と言われ、気が楽になったのを覚えています。『ミスしても俺たちがカバーするから』と」

 5月9日におこなわれるプレーオフトーナメント準々決勝、クボタ戦に向け、「今日の前半のようなラグビーをしてはダメ。最初から自分たちのラグビーをして、やるべきこと、激しさを出していかないと」と気を引き締める。
「トーナメントはひとつのミスで流れが変わる。そこを意識して準備し、精度を上げられるようにしたい」
 最後尾からチームに安心と勢いを与えるプレーをする。

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