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ドコモ初の8強入り! 近鉄奮闘するもパナソニックに敗れる。トヨタ、キヤノンも準々決勝へ

2021.04.25

力走するドコモのヴィンピー・ファンデルヴァルト。ブレイクダウンでも奮闘した(撮影:高塩隆)


 ジャパンラグビートップリーグ2021は4月25日、プレーオフトーナメント2回戦の4試合が各地でおこなわれ、NTTドコモレッドハリケーンズ、トヨタ自動車ヴェルブリッツ、キヤノンイーグルス、そしてパナソニック ワイルドナイツが勝って準々決勝進出を決めた。

 2011年に国内ラグビー最高峰のトップリーグに初昇格して以来、厳しい戦いを経験し、過去最高11位だったNTTドコモが、ついにベスト8入りを果たした。今季はリーグ戦から旋風を巻き起こしていたが、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でおこなわれたプレーオフトーナメント2回戦でHonda HEAT(ホンダヒート)に21-13で競り勝ち、チームの歴史を塗りかえた。

 序盤はホンダが優勢だった。しかし、何度か敵陣深くに入るも、トライを奪うことはできず、ドコモは失点をペナルティゴール(PG)1本に抑えた。

 両チームとも堅い守りで試合が進むなか、最初のトライが生まれたのは26分だった。日本代表でもあるLOヴィンピー・ファンデルヴァルトの力強い突進でドコモが敵陣深くに入り、フェイズを重ねてワイドにボールを動かし、左外にいた南アフリカ代表WTBマカゾレ・マピンピがインゴールに持ち込み逆転した。
 ドコモはさらに39分、敵陣22メートルライン内に入るとFWを使って少しずつ前進し、最後は主将のLOローレンス・エラスマスが抜けてインゴールに飛び込んだ。

 14-3で折り返したドコモは、後半もしばらくホンダの堅守に苦しんでいたが、57分(後半17分)、相手のラインアウト失敗からボールを手にし、動かしてキック、敵陣深くではねたボールはチェイスしていたCTBベンジャミン・ソーンダースの手に入り、隣でサポートについていたニュージーランド代表SHのTJ・ペレナラにつなぎ、トライが決まって点差を広げた。

 ドコモと同じく初のベスト8入りを狙ったホンダも粘り、63分、ハーフウェイ右でボールをもらったWTB生方信孝がペレナラのタックルを振り切り、キックしたボールをチェイスして自らインゴールで押さえ、5点を奪い返す。さらに66分、CTBクリントン・ノックスのゲインで敵陣深くに入り、たたみかけ、南ア代表LOフランコ・モスタートがインゴールに突っ込み、8点差に詰めた。

 しかし、その後もホンダは果敢に挑み続けたものの、ドコモがリードを守り切り、21-13でノーサイドとなった。

キックするトヨタのライオネル・クロニエにプレッシャーをかける日野の久富雄一(撮影:松本かおり)

 そのドコモと準々決勝でぶつかることになったのはトヨタ自動車だ。東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれたプレーオフ2回戦で日野レッドドルフィンズと対戦し、49-29で制した。

 先制したのは日野だった。前半4分、WTBチャンス・ペニーがハーフウェイでインターセプトして約50メートル走り切った。

 対するトヨタは15分、敵陣深くに入ってモールからボールを動かし、WTBヘンリー ジェイミーがトライ。SOライオネル・クロニエのゴールキック好調で同点とすると、20分にも敵陣深くに入ってフェイズを重ね、クロニエのチップキックに対して空中戦で競り勝ったWTB高橋汰地がトライを決め、勝ち越した。

 その後、日野にPGで点差を詰められたトヨタだが、27分にも敵陣22メートルラインに迫ると、SOクロニエがアウトサイドで蹴った“バナナキック”で弾んだボールをCTBマレ・サウが確保しトライ。トヨタは前半の最後に日野の猛攻をしのぎ、21-10で折り返した。

 トヨタはさらに48分(後半8分)、パワフルなFLフェツアニラ ウタイミが豪快に突っ込み、追加点を獲得。

 だが日野も粘りを見せ、58分、ゴール前まで攻め込み、トヨタにプレッシャーをかけられながらも共同主将のSHオーガスティン・プルが懸命につなぎ、WTBペニーがトライ。63分にはモールで前進したあとボールを動かし、FB川井太貴が軽快なステップで防御網を切り裂いて4点差に詰めた。

 しかしトヨタは67分、FLラウタイミが壁に穴をあけてFBロブ・トンプソンにつなぎ、そのまま走り切ってトライ。日野の勢いを止めた。トヨタは75分にもSH滑川剛人が連続攻撃をフィニッシュし、78分にはキック&チェイスでWTB高橋が追加点を挙げ、勝利を引き寄せた。

 日野は終盤に突き放されたものの、最後、今季限りで引退する40歳の元日本代表LO北川俊澄がラインアウトボールをキャッチし、モールを組んで懸命に押し込んでトライを取り切り、今シーズンの戦いを終えた。

 トヨタ自動車×NTTドコモの準々決勝は5月8日、熊本県のえがお健康スタジアムでおこなわれる。

古巣のNTTコム相手に奮闘したキヤノンのアマナキ・レレイ・マフィ(撮影:桜井ひとし)

 ジャパンラグビートップリーグ2021でリーグ戦(ホワイトカンファレンス)の後半から調子を上げていたキヤノンは、東京・江戸川区陸上競技場でおこなわれたプレーオフトーナメントの2回戦でNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)を43-13で下し、準々決勝進出を決めた。

 キヤノンは序盤から勢いがあった。前半4分、CTB南橋直哉の突破から次々とつなぎ、LOコーバス・ファンダイクが先制トライを挙げた。

 その後、NTTコムのSHグレイグ・レイドローにPGを2本決められ、1点差とされたが、23分、キヤノンはNO8アマナキ・レレイ・マフィのボール奪取から攻め込み、CTBジェシー・クリエルが切り込んでWTBエスピー・マレーにつなぎ、2つ目のトライが生まれた。3月に移籍したばかりで古巣相手に燃えたマフィは、接点で激しくファイトしターンオーバーを連発した。

 キヤノンはハーフタイム前にも南アフリカ代表のクリエルが鋭いフットワークを使っての個人技で貴重な5点を追加し、19-6で折り返した。

 後半、キヤノンにPGで16点差とされたNTTコムは、51分(後半11分)、敵陣深くのスクラムからボールを動かし、ランで勝負した2021年度日本代表候補のSO前田土芽がタックラーを振り切ってゴールラインに押さえ、トライが認められた。
 しかし、反撃はそこまで。

 キヤノンは55分に連続攻撃をFLエドワード・カークがフィニッシュして流れを引き戻すと、その後も2トライを追加し、NTTコムを倒した。

近鉄のシオサイア・フィフィタを懸命に止めるワイルドナイツ(撮影:早浪章弘)

 トップリーグプレーオフへの出場権を与えられ、トップチャレンジリーグからの参戦チームで唯一2回戦に進んだ近鉄ライナーズは、地元の東大阪市花園ラグビー場で優勝候補の一角であるパナソニックに挑み、健闘したが、7-54で敗れた。

 先制したのは近鉄だった。前半16分、FBセミシ・マシレワがFLジェド・ブラウンとの連係でボールをもらってゲインし、右外のWTBジョシュア・ノーラにつないで背番号14がゴールへ走り切った。キッカーを務めたCTBステイリン パトリックのコンバージョンも決まり、7-0とした。

 近鉄の選手たちは集中力高く、強豪に対して果敢に挑んだ。ブレイクダウンのファイトも激しく、ゲームキャプテンのLOマイケル・ストーバークは相手にプレッシャーをかけて落球させるなど、チームを鼓舞した。

 強風も影響してなかなかリズムに乗れないパナソニックだったが、28分、敵陣22メートルラインに迫ると、CTBハドレー・パークスが切り込み、右外にいたNO8ジャック・コーネルセンにつなぎ、ようやく最初のトライを挙げた。

 それでも前半は近鉄の奮闘が目立ち、7-7で折り返した。

 前半はやや苦戦したパナソニックだが、後半は早めに得点してギアを入れた。
 44分(後半4分)、敵陣深くでLOジョージ・クルーズがキックをチャージし、NO8コーネルセンがインゴールでボールを押さえ、勝ち越す。
 パナソニックは攻撃力高いチームだが、タイトなゲームとなり、得点チャンスとあれば迷わずショットを選択し、PGで加点した。

 その後、近鉄は天理大出身ルーキーのCTBシオサイア・フィフィタがスピードスターの相手WTB福岡堅樹を懸命に追いかけてトライを防いだシーンがあったが、パナソニックの攻撃は続き、52分、フィフィタと同じく2021年度日本代表候補のCTBディラン・ライリーが切り込んでFL大西樹につなぎ、トライ。さらにSO松田力也のショットで点差を広げ、67分にはLOヒーナン ダニエルの突破からつなぎ、ライリーがフィニッシュ。

 近鉄は最後まであきらめず必死に食らいついたが、パナソニックは終盤に3トライを追加し、チャレンジャーを退けた。

 パナソニックは5月8日、埼玉・熊谷ラグビー場でおこなわれる準々決勝でキヤノンと対戦する。

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