試合終了までNECの脚が止まることはなかった。
79分、交代で入ったFB高平祐輝が抜け出すと、全力でサポートしたSH中嶋大希がタックルをかわしてダイビングトライ。サントリーを相手に3トライを挙げて、NECの執念を見せた共同キャプテンにグリーンロケッツの仲間たちが駆け寄った。
中嶋は胸を張って答えた。
「試合が終盤になるにつれて、本当は身体もきつかったと思うけど、気持ちの部分は切れなかった。『NECプライド』が試されるところで、プレーに出せたと思う。言葉では言えないぐらい、みんなが身体で証明してくれた。結果的に点差は開いたけど、自分を含め、チームメートたちは仲間を誇りに思っている。試合をしていて、ファンの方々の声援も聞こえていた。緑のグッズをつけて応援してくれた方々が本当に多くいた。シーズンを通して、なかなか勝てない中で、応援してくれたファンの皆さんの気持ちが伝わっての『NECプライド』だったのかなと思うので、チーム関係者、ファンの皆さんにありがとうございましたと言いたい」
負ければ終わりのプレーオフトーナメント。NECは先週におこなわれた1回戦でトップチャレンジリーグの豊田自動織機を破り、2年4か月ぶりの勝利を手にして、4月24日、秩父宮ラグビー場で、リーグ戦(レッドカンファレンス)全勝のサントリーとの一戦に臨んだ。
前半31分にLOサム・ジェフリーズが危険なタックルで一発退場となり、そこからは14人での戦いとなった。前半を終えて、5-36とサントリーに大きく引き離され、苦しい状況となったが、後半に入ってもあきらめることなく、全力で立ち向かった。
「苦しい状況に下を向いてしまう時期もあったけど、今日は試合の途中でもみんなで声を掛け合って、上を向いて、どんどんプレーがよくなった。そういう試合運びをできたことは誇りになる。『NECプライド』を見せることができた」(中嶋)
後半、NECは、53分(後半13分)にラインアウトからのモールにバックスも入って押し込むと、最後はSH中嶋がこの日2トライ目を決めた。62分にはFLパトリック・タファがゴール前のフィジカルバトルに打ち勝って飛び込んだ。さらに78分にはペナルティキックから速攻を仕掛けた中嶋のパスを交代で入ったWTB山田啓介がロングパスを受けるとそのまま走り切った。後半、1人少ない状況にも関わらず、サントリーから26点を奪ってみせた。
PR瀧澤直も、「80分の中のかなりの時間を14人で戦って、全勝のチームと戦うのはとても難しい戦いだったけれども、NECの時間をつくれたのは誇りに思っている。これがもっと長い時間、持てるように来年以降も努力していきたい」と振り返った。
NECの浅野良太ヘッドコーチも最後まで戦い続けた選手たちを称賛。
「後半に立て直して最後まで戦い続けて、選手たちが『NECプライド』を見せてくれた。今シーズンはこれが最後なので、このメンバーで戦えないのは寂しいけど、選手たちはプレーで出してくれたのではないかと思う。若い選手が多い中で、試合を通しての経験、自信を、今シーズンは得られた選手も多くいたのではないかと思う。試合ごとに実行力、精度が高くなっていった。そこは成長が見られた部分だと思う」
プレーオフトーナメント2回戦で姿を消したNECだが、秩父宮ラグビー場で見せた雄姿に、多くのラグビーファンから大きな拍手が送られた。
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