ラグビーリパブリック

クボタ北川賢吾とヤマハ山本幸輝のトイメンバトルは試合前からバチバチ!スクラムが鍵

2021.04.24

クボタの3番PR北川賢吾とヤマハの1番PR山本幸輝(撮影:松本かおり(左)、山口高明(右))

 粋な取り組みだった。

 4月24日のプレーオフ2回戦で激突するクボタスピアーズとヤマハ発動機ジュビロが、試合前の20日に合同でオンライン記者会見を開いた。

 試合前にはなかなか聞くことのできない、対戦相手同士の貴重な対話だった。

 まず初めに取材に応じたのは、立川理道(クボタ)と大戸裕矢(ヤマハ)の両キャプテン。

 異例とも言えるこの合同会見に立川は、「こうした試みはとてもいい機会だと思うし、ラグビー界としてもっとやっていきたい」と語る。大戸もそれに頷きながら、「ファンの方々に試合前からでも楽しめるような機会が増えることはいいこと」と歓迎した。

 大戸が勝敗を左右する「鍵」として挙げたのは、やはりセットプレー。立川も「セットピースはヤマハがこだわっているところだと思うので、こちらとしても安定させたい」と返した。

「キープレイヤーはFW全員と言いたいが、その中でも山本(幸輝)選手が挙がるかな。ヤマハが一番大事にしているセットプレーで、エネルギッシュに引っ張ってくれる」(大戸)

 主将に名指しされた山本は、両キャプテンのインタビュー終了後に登場。対するクボタからも、スクラムではトイメンにあたる3番PRの北川賢吾が対応した。ともに先発出場を果たす両者は、ユーモアにあふれながらも対戦前から火花を散らした。

 いきなり山本がいじる。画面との距離が近かった北川に「(画面との)ギャップ空けて」と笑いながら煽った。

 話は自然とスクラムの話へ。戦前はお互い一歩も引かない。
「スクラムは絶対に負けられない。シーズン通してスタッツは良くなかったけど、試合ごとに上がってきた。いま究極のスクラムができあがった状態です」(山本)

「ヤマハはスクラムを前面に出してくると思うけど、僕らも今季かなり力を入れてきた。強力パックになっているし、絶対負けられない」(北川)

 山本は近大、北川は同志社大の出身で、学年は2つしか離れていないが、公式戦での対戦はなかったという(大学当時は山本が3番で北川が1番)。これが初対戦だ。

「(この試合は)トイメンが山本選手なので、個人的にも負けられない。関西リーグもジュニア・ジャパンも一緒。ちょいちょい張り合ってくるので(笑)、負けたくない」と北川。

 一方の山本も「僕も負けられない。4回生の時に初めて近大が同志社に勝った。そういう意味でも注目です」。
 これに対して北川は「その試合に僕は出てないはずなので、”僕は”負けてません!(笑)」とあくまで張り合った。

 続いてお互いの印象を語る。
「PRにしては珍しく(キツそうな顔をせずに)涼しい顔してプレーしてる。だから今回は”やっちまった”という顔にさせたいですね(笑)」(山本)

「スクラムで押せたら大声を出すので、言い方悪いけどむかつく(笑)。この試合はそうはさせない」(北川)

 対象的に表現する山本と北川だが、それを支える両HOにも注目だ。
 クボタは「世界一のHO」と称されるマルコム・マークス。北川は「あれだけすごい選手なのに、細かいところまで努力している。年下だけど尊敬」と評する。

 対するヤマハのHOは長年ヤマハスクラムを支えた日野剛志が開幕節に負ったケガで離脱。メンバー入りしたのは今季初出場、初先発の名嘉翔伍と2年目の平川隼也(リザーブ)だ。
「日野(剛志)さんがケガしてしまったけど、それからHO全員がすごく意識してリードしてくれるようになった。日野さんもビデオを見ながらアドバイスをくれる」(山本)

「1本目からエナジー全開でやっていきたい」と山本が意気込んで、約40分の会見もあっという間に終わった。
 報道陣はみな笑顔でZoomの退出ボタンを押した。

Exit mobile version