ラグビーリパブリック

サントリー、神戸製鋼、リコーがプレーオフ8強入り。NEC、三菱重工相模原、東芝は敗退。

2021.04.24

今季初出場で2トライを挙げたサントリーのWTB中鶴隆彰(撮影:松本かおり)


 ラグビーの国内王者をかけたクライマックスの戦い、トップリーグ2021プレーオフトーナメントの2回戦が4月24日に各地でおこなわれ、ヤマハ発動機ジュビロに快勝したクボタスピアーズに続き、サントリーサンゴリアス、神戸製鋼コベルコスティーラーズ、そしてリコーブラックラムズも勝って準々決勝進出を決めた。

 リーグ戦(レッドカンファレンス)で唯一全勝だったサントリーは、東京・秩父宮ラグビー場でNECグリーンロケッツと対戦し、76-31と大勝。NECは前半31分に危険なプレーをした選手が一発退場となり、厳しい戦いとなった。

 サントリーは前半2分、ターンオーバーからテンポよく攻め込みSOボーデン・バレットのトライで先制すると、6分にも敵陣深くに入ってモールでゴールに迫り、最後はWTB江見翔太がフィニッシュした。12分にはラインアウトからドライビングモールで得点。17-0とリードした。

 対するNECは22分、ラインアウトからのサインプレーが決まり、共同主将のひとりであるSH中嶋大希が抜け、トライを奪い返す。

 しかし主導権を握っていたのはサントリーで、28分にも敵陣深くに入ると、SOバレットからの長いパスをもらった今季初出場のWTB中鶴隆彰がタックラーをかわしてインゴールに飛び込み、再び点差を広げた。

 そして、31分にNECのLOサム・ジェフリーズが危険なタックルをしたため一発退場となり、試合は完全にサントリーのペースとなる。
 数的有利となったサントリーは33分、WTB中鶴がブレイクスルーから作ったチャンスで自らファイブポインターとなり、38分には自陣からのスピーディーなアタックをPR森川由起乙がフィニッシュした。

 さらに36-5で迎えた後半早々、敵陣深くに入ってモールでゴールに迫ったサントリーに対し、NECに故意の反則があったため吉原崇宏レフリーはペナルティトライを宣告。43分(後半3分)にはCTB中野将伍の突破からSH流大のトライが生まれ 50点に到達した。

 サントリーはその後も手を緩めず、4トライを追加。

 一方、約50分間を14人で戦い、大差をつけられたNECだが、53分、ラインアウトからのドライビングモールにバックスも加わって押し切ると、62分にはFLパトリック・タファ、78分にはWTB山田啓介がトライを獲得し、80分にも自陣から果敢に攻め上がってキャプテンのSH中嶋がチームアタックをフィニッシュし、意地を見せた。

自らもラインブレイクを切るなど果敢な攻めで役割を果たしたリコーのSOアイザック・ルーカス(撮影:高塩隆)

 優勝候補のサントリーと準々決勝で対戦することになったのはリコーだ。

 リコーは愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でおこなわれたプレーオフ2回戦で、過去5回の優勝を誇る東芝ブレイブルーパスに27-24で競り勝ち、ベスト8入りとなった。

 先制したのは東芝だった。前半2分、フェイズを重ねて敵陣深くに入り、2021年度日本代表候補のWTBジョネ・ナイカブラがディフェンスを破ってインゴールに持ち込んだ。

 しかしリコーは、ペナルティゴール(PG)で得点したあとの15分、ラインアウトからモールで押し切り逆転に成功。24分には敵陣深くのスクラムで優勢となり、ボールを持ち出したSH高橋敏也がトライを挙げた。

 ディフェンスでもプレッシャーをかけ続けたリコーは39分にもFBマット・マッガーンがPGで加点し、20-5で折り返した。

 追いかける東芝は61分(後半21分)、ラインアウトからモールでゴールに迫り、HO橋本大吾が突っ込んでトライを獲得。64分にはパワーとスピードがあるWTBナイカブラがハーフウェイ中央から2人のタックルを破ってそのままゴールへ走り切り、3点差に詰めた。

 東芝はブレイクダウンのファイトでも激しさを増し、活気づく。
 そして74分、逆転を狙う東芝は敵陣深くに入り、ラインアウトからモールでゴールに迫った……。が、リコーは執念の守りでグラウンディングを許さず。

 踏ん張ったリコーは逆に78分、敵陣深くに入ると、密集からこぼれたボールを手にしたSH山本昌太がトライゲッターとなり、貴重な追加点を獲得。

 東芝はロスタイムに共同主将のひとりであるSH小川高廣がトライを奪い返したが、リスタートの時間は残っておらず、27-24でノーサイドとなった。

 サントリー対リコーの準々決勝は、5月9日に大分・昭和電工ドーム大分でおこなわれる。

出場停止処分が明け、ノックアウトステージで躍動する神戸製鋼のナエアタ ルイ(撮影:早浪章弘)

 日本ラグビーの最高峰リーグは来季新たに生まれ変わるため、2003年からおこなわれてきた「トップリーグ」としては2021年大会が最後となる。初代王者の神戸製鋼はラストシーズンも優勝を目指し、東大阪市花園ラグビー場でおこなわれたプレーオフトーナメント2回戦では三菱重工相模原ダイナボアーズを50-17で下した。

 神戸製鋼は前半9分、テンポよくボールをつなぎ、CTBリチャード・バックマンが抜けて先制。14分には相手のパスが乱れて攻めに転じ、FB山中亮平がゴールへ駆け抜けた。12-3で迎えた21分には、2021年度日本代表候補のNO8ナエアタ ルイがハーフウェイから抜けてダイナミックに走り切り、点差を広げた。

 一方、三菱重工相模原は26分、危険なプレーをした選手がシンビンとなり1人少ない状況だったが、自陣深くでCTB奈良望がインターセプトして大きくゲインし、サポートについていたWTB山本逸平につなぎ、1トライを奪い返した。

 だが後半も先に得点したのは神戸製鋼で、開始早々、FB山中がカウンターで抜け、WTBアタアタ・モエアキオラにつないでトライが生まれた。50分(後半10分)には細かいパス回しからFL橋本皓が右隅にフィニッシュ。

 その後、三菱重工相模原のCTBマイケル・リトルに1本やられたものの、神戸製鋼はラスト20分間で3トライを追加し、8強入りとなった。

 神戸製鋼は5月9日、静岡・エコパスタジアムでおこなわれる準々決勝でクボタと対戦する。


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