167センチ、79キロ。がっしりした背番号9が躍動した。
4月11日に北九州でおこなわれたトップリーグ第7節の試合で東芝ブレイブルーパスが宗像サニックスブルースに49-14と快勝した。
その試合でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのが東芝のSH、高橋昴平だった。
前半は14-14と拮抗した。
最初の40分は宗像サニックスが果敢に攻め、ディフェンスでも粘った。東芝も2トライを奪うが、ミスも出て勢いが続かなかった。
しかし後半、東芝は「自分たちの強みを全面に出して戦おう」(リーチ マイケル ゲームキャプテン)とフィジカルの強さを押し出した。
後半に5トライを重ね、結果的に快勝した。
そんな試合展開の中で、高橋は後半26分まで出場。果敢に走ってチャンスを作ったほか、後半8分には勝ち越しのトライを自ら奪った。
その6分後には敵ボールのスクラムで、相手NO8が持ち出したボールをもぎ取る。直後のFLシオネ・ラベマイのトライを呼んだ。
専大では主将を務めていた高橋は、入社後、今季が2シーズン目。昨季リーグ戦は出場機会がなかった。
今季は開幕から全7試合に出場し(3戦先発)、ここ2試合はスターターとしてチームを勝利に導いている。
長崎南山高校出身の25歳は試合後、「出身地である九州での試合だったので、アウェー(戦)だけど、ホームのように試合ができた」と話した。
「前半は自分たちのプレーができなかったけど、後半は気持ちを切り替えました。フィジカルで前に出ようと、コミュニケーションをとってプレーしました。それがうまくいった」
自身のプレーを振り返り、「準備してきたことにフォーカスし、トライを狙えるところは積極的にいこうと思っていました。(活躍できたのは)みんなのおかげ」と笑顔を見せた。
「(自分が決めた)スクラムからのトライは、バックスが良いポジショニングをしてくれていた。自分の前が開いたので走りました」
相手NO8からボールをもぎ取ったシーンについては、「僕自信、体の強さを売りにしているので」と話した。
「ディフェンスからチームにいい影響を与えたい。ジャッカル、タックル。その自分の持ち味がチームにフィットしているような感じです」
自身をそう分析する本人を、トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(以下、HC)とリーチも愛でた。
HCは、「素晴らしいプレーを見せてくれた。アグレッシブでタフなSH。ボールもよく動かしたし、判断も良かった。昴平をはじめ、若手がチャンスをつかんでくれているのが嬉しい」と言った。
リーチは、「間違いなく日本で一番タフなSH。日本代表のジャージーを着てほしい」と最大級の賛辞を送った。
「ジャッカル。(イーブンボールへの)セービング。ブレイクダウンのファイト。すごくレベルが高い選手」
ともにプレーをして、その価値を体感している日本代表のリーダーは、「東芝出身の村田亙さん(専大ラグビー部監督)の弟子です。同じように日本代表になれると思います」。
FWと一緒に練習をするようになって、持ち味の強さがさらに高まっている。
伸び盛りの9番の進化は、経験を積むたびにスピードを増しそう。リーチの言葉を現実のものとするための努力は続く。