ラグビーリパブリック

サントリー全勝でレッド1位通過、2位争いはトヨタが逆転勝利。キヤノンではマフィも躍動

2021.04.11

マン・オブ・ザ・マッチに選ばれる活躍だったサントリーの江見翔太(撮影:松本かおり)


 ジャパンラグビートップリーグ2021は、4月11日にリーグ戦最終・第7節の残り4試合がおこなわれ、サントリーサンゴリアスが7戦全勝でレッドカンファレンス1位通過を決めた。トヨタ自動車ヴェルブリッツはクボタスピアーズとの同組2位争いに劇的な逆転勝ち。東芝ブレイブルーパスとキヤノンイーグルスも勝って締めくくり、プレーオフトーナメントに弾みをつけた。

 サントリーは東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場でNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)と対戦し、94-31と大勝。計14トライを奪う攻撃力を見せた。

 サントリーは前半3分、自陣でのラインアウトスチールから攻め上がり、テンポよくボールを動かしてCTB梶村祐介が抜け、WTB江見翔太につないで先制した。
 2分後にNTTコムのWTBチャン・ヨンフンにインターセプトトライを許し同点とされたが、サントリーは数分後、敵陣深くに入ってラインアウトからモールを組み、HO中村駿太が持ち出してトライを奪い返した。

 その後、相手にPGを決められ4点差とされるも、リスタートのキックオフボールをWTB江見がダイレクトキャッチしてそのままゴールへ走り切り、点差を広げた。
 23分にはラインアウトからモールで押し込み加点。25分にはキックをまじえた攻撃でボールをつなぎ、最後はNO8ショーン・マクマーンがゴールへ駆け抜けた。
 サントリーの勢いは止まらず、29分にはCTBサム・ケレビが左タッチライン際を駆け上がり、パスをもらったWTBテビタ・リーがフィニッシュ。33分にはラインアウトからの攻撃でWTB江見が抜け、ハットトリックを達成した。

 意地を見せたいNTTコムは38分、SO前田土芽が切り込んでFB石田大河のトライをアシストすると、40分にはまたもWTBチャンがインターセプトに成功してトライゲッターとなった。
 NTTコムはさらに45分(後半5分)、右でボールをもらったWTB石井魁がディフェンダー2人を前にキックを使って自らバウンドボールを確保し、ゴールに持ち込み3連続トライとなって14点差に詰めた。

 しかしサントリーは49分、ラインアウトからのドライビングモールでトライを挙げ、自分たちのリズムを取り戻し、その後6トライを追加。63分に敵陣深くでのスクラムで押し勝ちPKを得ると、この春に早稲田大学を卒業して新加入したルーキーのFL下川甲嗣がクイックタップから仕掛けてデビュー戦トライを記録。そして、後半途中から出場した世界的スターのSOボーデン・バレットは自陣10メートルからの鮮やかな走りで会場を沸かせるなど、約20分間のプレーでハットトリックを決めている。

 サントリーは7勝0敗(総勝点34)でレッドカンファレンス1位通過。NTTコムは3勝1分3敗(総勝点17)となり、同4位でプレーオフトーナメントに進む。

攻め込むトヨタ自動車のヘンリー ジェイミー。懸命に守るクボタ(撮影:早浪章弘)

 トヨタ自動車とクボタは大阪・東大阪市花園ラグビー場で激突し、25-24でトヨタが熱闘を制した。

 前半をリードしたのはクボタだった。
 5分にゴールに迫り、HOマルコム・マークスがパワーでインゴールに押さえ先制すると、16分には敵陣深くでの激しい攻防のなか、CTB立川理道がキックでディフェンス裏にボールを転がし、CTBテアウパ シオネが確保してトライゲッターとなった。

 対するトヨタは11分、CTBロブ・トンプソンの突破後、FBウィリー・ルルーがビッグゲインしてチャンスとなり、WTBヘンリー ジェイミーにつなぎ5点を入れた。その後、PGで加点し、6点差に詰めたトヨタ。

 そして前半の終盤、攻め込むトヨタに対し、クボタが反則の繰り返しでイエローカード2枚を提示されFW2人を欠き、トヨタにとっては大チャンスだったが、クボタは6人でのスクラムに耐えるなどピンチをしのぎ、14-8(クボタリード)で前半を終えた。

 しかし後半の序盤、まだ数的有利だったトヨタは、43分(後半3分)に自陣10メートルライン付近でPKを得ると、タップから仕掛け、パワフルランナーのFLフェツアニ ラウタイミが突破して一気にゴールへ駆け抜け、コンバージョンも決まり逆転した。

 その後、両チームともPGでスコアボードを動かし、1点ビハインドのクボタは64分に敵陣深くで攻め、HOマークスがタックラーをかわしてインゴールに突っ込み、ゲームをひっくり返した。再び6点差となる。

 しかし、あきらめないトヨタはホーンが鳴ったあとのラストアタックで自陣深くから根気よくつなぎ、FBチャーリー・ローレンスがゲイン、サポートについていたWTB高橋汰地がゴールへ走り切り、トライを挙げた。そして、プレッシャーがかかるなか、SOライオネル・クロニエがコンバージョンを決め、トヨタの劇的な逆転勝利となった。

 トヨタは6勝1敗(総勝点28)でレッドカンファレンス2位通過。クボタは5勝2敗(総勝点25)となり、同3位でプレーオフに進む。

東芝ブレイブルーパスと宗像サニックスブルースの熱闘(撮影:Hiroaki.UENO)

 東芝は福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で宗像サニックスブルースと対戦し、後半に突き放して49-14で勝った。

 前半8分にLO小瀧尚弘のトライで先制した東芝だったが、ホームでの最終戦に燃えたサニックスもアグレッシブだった。35分にテンポよく次々とボールをつないでFL金堂礼がフィニッシュすると、活気づいて37分にも攻め込み、SO田代宙士のキックからCTBトニシオ・バイフのトライが生まれた。

 早めに流れを変えたい東芝はハーフタイム前、ラインアウトからモールで押し込んでトライを奪い返し、14-14の同点で折り返した。

 そして後半、東芝にエナジーをもたらしたのは、翌日に25歳の誕生日を迎えるSH高橋昴平だった。
 48分(後半8分)、東芝は敵陣深くでのスクラムから攻め、ボールを持ち出したSH高橋がランで勝負してトライ。54分には相手ボールスクラム後、高橋が相手のNO8西井利宏にプレッシャーをかけてボールを奪い返し、攻めに転じ、FLシオネ・ラベマイのトライにつながった。

 勢いに乗った東芝はさらに56分、SH高橋と同じく2年目のWTB濱田将暉が自陣から軽快なフットワークとスピードで大きくゲインし、敵陣深くに入り、いったんボールを失ったがターンオーバーに成功して攻め込み、連続攻撃をHO平田快笙がフィニッシュ。
 東芝は終盤にも2トライを追加し、リーグ戦を勝利で締めくくった。

 東芝は3勝4敗(総勝点16)、レッドカンファレンス5位でプレーオフに進む。
 サニックスは1勝6敗(総勝点5)、レッドカンファレンスの戦いを最下位で終え、プレーオフトーナメントでの捲土重来を期する。

新天地のキヤノンでデビューを果たしたアマナキ・レレイ・マフィ(撮影:矢野寿明)

 キヤノンは埼玉・熊谷ラグビー場でNECグリーンロケッツと対戦し、71-24と圧倒した。

 リーグ戦最終節で勝利をして上位進出を狙うキヤノンが、立ち上がりから22分までに5トライを奪って優位に試合を進めた。さらに35分には、3月22日にチームに加入して、この試合が初出場となったNO8アマナキ・レレイ・マフィがトライを決めるなど、前半を終わって42-7と大きく引き離した。

 後半に入ってNECに攻め込まれる場面もあったが、58分(後半18分)にSO田村優のキックパスを受けたWTBエスピー・マレーがこの日3トライ目を決めて再び流れを取り戻した。その後、65分にもマレーが4トライ目を決めて59-24と引き離すと、75分と終了間際にはWTBホセア・サウマキが追加点。合計11トライを挙げてNECを圧倒した。

 キヤノンは3勝3敗(総勝点16/4月4日の日野戦は新型コロナウイルスの影響により中止)となり、ホワイトカンファレンス5位でプレーオフ進出。NECは7戦全敗(総勝点1)でリーグ戦を終え、プレーオフ1回戦でトップチャレンジリーグ優勝の豊田自動織機シャトルズと対戦することになった。


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