ラグビーリパブリック

白組1位はパナソニック、2位神戸、3位ドコモ、4位リコー…。赤組のホンダは今季初勝利。

2021.04.11

電光石火の先制トライを含む2トライの活躍をしたパナソニックWTB竹山晃暉(撮影:山口高明)


 ジャパンラグビートップリーグ2021は4月10日、リーグ戦最終節(第7節)の4試合が各地でおこなわれ、ホワイトカンファレンスの上位は1位がパナソニック ワイルドナイツ、2位は神戸製鋼コベルコスティーラーズ、3位:NTTドコモレッドハリケーンズ、4位:リコーブラックラムズが確定した。レッドカンファレンスでは、開幕から6連敗と苦しんでいたHonda HEATが今季初勝利を挙げた。

 パナソニックは埼玉・熊谷ラグビー場でヤマハ発動機ジュビロと対戦し、55-19と圧倒した。

 開始1分も経たぬ間に先制したパナソニック。SO山沢拓也のクロスキックを相手選手が捕球ミスし、こぼれ球を拾ったWTB竹山晃暉がゴールへ駆け抜けた。
 15分にはPRクレイグ・ミラーのボール奪取から攻めに転じ、CTBディラン・ライリーがダミーから抜けてトライ。28分にはハイキックのバウンドボールがHO堀江翔太の手に入り、パスをもらったCTBハドレー・パークスがタックラーを振り切って追加点を挙げた。

 対するヤマハは37分、自陣でのターンオーバーからカウンターを仕掛け、連続オフロードでつなぎ、WTBマロ・ツイタマがビッグゲイン、FBサム・グリーンとのパス交換をはさんでゴールに持ち込んだ。ツイタマはハーフタイム前にも快足を見せ、トライランキングで単独トップに立つ今季通算10トライ目を決め、反撃ムードを高めた。

 しかしパナソニックは46分(後半6分)、バックス展開からCTBライリーが抜け、ゴールに持ち込み再び点差を広げた。55分にはSO山沢などが軽快なステップでチャンスを広げ、WTB竹山がフィニッシュ。リスタート後にはCTBライリーのブレイクスルーからチャンスとなり、敵陣深くに入ってのパスは相手にカットされたものの、ライリーがこぼれ球をインゴールで押さえ、勝利を引き寄せた。

 その後、ヤマハはNO8クワッガ・スミスが1トライを奪い返したが、パナソニックは終盤にも2トライを追加し、大差の決着となった。

 パナソニックは6勝1分(総勝点31)でホワイトカンファレンス1位通過。ヤマハは3勝4敗(総勝点15)となり、同5位または6位でプレーオフトーナメントに進む。

NTTドコモのマカゾレ・マピンピにタックルする神戸製鋼の橋本皓(撮影:早浪章弘)

 大阪・東大阪市花園ラグビー場では同じ関西勢のNTTドコモと神戸製鋼が激突し、土壇場で逆転トライを決めた神戸製鋼が31-29で熱闘を制した。

 前半からシーソーゲームとなった。
 9分、神戸製鋼が敵陣深くでPKを得、SOヘイデン・パーカーが好判断で右へキックパス、ハイボールに強いWTBアンダーソン フレイザーに通り最初のトライが生まれた。
 対するドコモは13分、敵陣22メートルライン内でのスクラムから、ボールをもらったSHのTJ・ペレナラがランで勝負し、そのままゴールラインを割って5点を奪い返した。
 ニュージーランド代表のペレナラはこの日、ディフェンスでも奮闘。青いジャージーの神戸製鋼が何度もゴールを襲ったが、ドコモの守りは粘り強く、赤いジャージーの9番はラインを越えられても懸命にからんでグラウンディングを許さぬファインプレーを連発した。

 しかし、しばらく防戦一方だったドコモは反則の繰り返しで28分にイエローカードを提示され、PRヘンカス・ファン・ヴィックを10分間欠いてしまう。まもなくFW7人で組んだスクラムは神戸製鋼に圧倒され、レフリーはペナルティトライを宣告した。

 それでもドコモは食らいつき、34分に敵陣深くに入ると、SO川向瑛がディフェンス裏にキックし、すばやく反応したWTBマカゾレ・マピンピがインゴールに押さえ、13-14と1点差に詰めて折り返した。

 ハーフタイム前にも堅守でピンチを脱出し、ムードをよくしていたドコモは、59分(後半19分)、途中出場のSOマーティ・バンクスが約40メートルのPGを決め、逆転に成功する。
 神戸製鋼がリスタート後にNO8グラント・ハッティングのトライでゲームをひっくり返せば、ドコモは63分、FBトム・マーシャルの突破からチャンスとなり、WTB小林正旗につなぎ、再びボールをもらったマーシャルがフィニッシュし、再逆転した。68分にはPGで加点し、ドコモが7点リードとなった。

 追う神戸製鋼は70分、敵陣深くに入ってフェイズを重ね、途中出場SOアーロン・クルーデンがディフェンス裏に絶妙なグラバーキック、FB山中亮平がインゴールで押さえ、コンバージョンも決まり26-26と同点に追いついた。

 だが73分、神戸製鋼に反則があり、ドコモのSOバンクスがPGを決めて勝ち越す。
 ドコモは残り時間の多くをボールキープで消化し、ラスト45秒を切る。このままドコモが逃げ切るかと思われた。しかし、神戸製鋼は土壇場でペナルティを獲得。80分経過を知らせるホーンが鳴ったあと、敵陣で懸命に攻めた。ドコモが反則を犯しても神戸製鋼は引き分け狙いのショットを選ばずトライにこだわった。そして83分、敵陣深くのラインアウトからモールを組み、HO松岡賢太がボールを持ち出してインゴールに突っ込み、劇的な逆転トライ。

 1年前は「0-97」と惨敗した相手に大健闘のドコモだったが、神戸製鋼が2018年度チャンピオンの底力を発揮し、熱い関西ダービーを制した。

 神戸製鋼は6勝1分(総勝点29)でホワイトカンファレンス2位。NTTドコモは4勝3敗(総勝点17)となり、同3位でプレーオフに進む。

日野戦で快走を連発し、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたリコーのネタニ・ヴァカヤリア(撮影:松本かおり)

 リコーは東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場で日野レッドドルフィンズと対戦し、41-19で快勝した。

 リコーは前半2分、WTBネタニ・ヴァカヤリアが右外を大きくゲインし、内でサポートについていたSOアイザック・ルーカスにつなぎ先制。7分にはNO8エリオット・ディクソンの中央突破からチャンスとなり、パスをもらったヴァカヤリアがまたも快足を披露して今度は自らがトライゲッターになった。15分にはラインアウトからモールで押し込み追加点を獲得。リコーは堅い守りでもリズムをよくすると、38分にはBKが躍動してヴァカヤリアがフィニッシュし、24-0で折り返した。

 リコーはさらに46分(後半6分)、ドライビングモールからHO武井日向が持ち出してゴールラインを割り、リードを拡大。

 対する日野は、相手にイエローカードが出て数的有利の時間帯に5点を奪い返し、その後2トライを追加して意地を見せたが、リコーも得意のモール攻撃で得点を重ね、ボーナスポイント付きの勝点5を獲得した。

 リコーは3勝4敗(総勝点17)となり、ホワイトカンファレンス4位に浮上(ドコモと総勝点17で並んだが、勝利数の多いドコモが上位)。プレーオフトーナメントでは2回戦で、レッドカンファレンス5位確定の東芝ブレイブルーパスと対戦することが決まった。
 日野は1勝5敗(総勝点7/4月4日のキヤノン戦は新型コロナウイルスの影響で中止)でホワイト7位となり、プレーオフでは1回戦で清水建設ブルーシャークス(トップチャレンジリーグ4位)と対戦する。

ハットトリックを決めたホンダのマット・ダフィー。今季初勝利に貢献し歓喜(撮影:Hiroaki.UENO)

 そして、開幕からの6試合で獲得トライ総数はわずか「8」だったHonda(ホンダ)は、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でおこなわれたレッドカンファレンスの最終節で三菱重工相模原ダイナボアーズを相手に9トライを挙げ、55-7で今季初勝利に歓喜した。

 ホンダは前半のほとんどを敵陣でプレーした。16分にラインアウトからモールで押し込み先制すると、22分にはスクラムからのムーブでCTB森川海斗が力強く走り切ってトライを挙げた。

 そして26分、三菱重工相模原のCTBローランド・アライアサが危険なプレーで一発退場を命じられ、人数のバランスは崩れてしまった。

 数的有利となったホンダは29分、敵陣深くでフェイズを重ね、この日3つ目のトライを獲得。三菱重工相模原は14人で奮闘したが、ホンダは39分、SO呉洸太からのキックパスをフリーでキャッチしたFBマット・ダフィーが難なく5点を追加した。

 24-0で折り返したホンダは後半早々、ラインアウトからモールを組みロングドライブで得点に成功。
 三菱重工相模原は49分(後半9分)に敵陣深くのラインアウトスチールから攻め込み、NO8ヘイデン・ベッドウェル-カーティスがトライを奪い返したが、この日ディフェンスでも集中力高かったホンダが許したのはその1本のみ。

 ホンダはこれまでのうっ憤を晴らすかのように最後までアグレッシブにプレーし続け、FBダフィーのハットトリック達成を含め4トライを追加し、快勝となった。

 ホンダは1勝6敗(総勝点6)となり、レッドカンファレンスの最下位を脱出。三菱重工相模原は1勝1分5敗(総勝点6)となり、両チームとも、11日におこなわれる宗像サニックス×東芝戦後に最終順位が確定する。


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