ヨーロッパの最強クラブを決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ」の舞台で、松島幸太朗が大活躍だ。ベスト16チームによるプレーオフトーナメントが始まり、松島が所属するASMクレルモン・オーヴェルニュ(フランス)は4月3日、イングランド・コヴェントリーのリコーアリーナでワスプス(イングランド)と対戦。5点ビハインドのロスタイムに松島が同点トライを挙げ、コンバージョンも決まって27ー25で劇的な逆転勝ちとなった。クレルモンは準々決勝進出。
フルバックで先発の松島はまず、守りで魅せた。
序盤に先制トライを挙げたワスプスが勢いづき、9分にはFBマッテオ・ミノッツィがカウンターで中央突破、キックを巧みに使って再びボールを手にインゴールへ飛び込み、連続トライかと思われたが、懸命に追いかけた松島がタックルで落球させ、トライを許さなかった。
これで流れが変わり、11分、松島が軽快なフットワークからゲインしてクレルモンのアタックにリズムをもたらし、SHセバスチャン・ベジーのトライにつながった。同点としたクレルモンはさらに17分、フィジー代表でもあるペニ・ラヴァイがプロップとは思えぬほどのスピードでゴールへ走り、タックラーにからまれたがグラウンディングが認められ、勝ち越した。
松島はその後、陣地獲得のロングキックも披露し、プレッシャーをかけられても俊敏な身のこなしで現地テレビコメンテーターの称賛を得る。ハイボールキャッチも安定していた。
だが、負けたら終わりのトーナメントでワスプスも譲らず、逆転。ワスプスの堅い守りにクレルモンは焦りだしたか、パスミスでチャンスをつぶすシーンが何度もあり、20ー25のまま残り時間は少なくなっていった。
しかし、クレルモンは5点を追う試合終了間際、ペナルティキックを得て敵陣深くに入る。しかも反則を犯した相手選手がイエローカードで退出となり、数的有利となってラストチャンスを迎えた。
そして、22メートルライン付近のラインアウトから、FW・BK一体となって2分以上辛抱強くフェイズを重ね、ボールを手にした松島が3人のタックラーをかわし、劇的な同点トライ! SOカミーユ・ロペスがコンバージョンを決め、クレルモンの逆転勝利となった。
大活躍の松島はこの試合のMVP、「ハイネケン・スター・オブ・ザ・マッチ」に選ばれた。