ドン、ドン、パッ。先制点は、そんな感じで取った。
東福岡は前半5分、SO楢本幹志朗②がインゴールに蹴り込んだボールをWTB遠藤亮真②が抑えた。
直前に重ねていたフェーズでは、FWが連続して力強く前に出て相手防御を寄せ、前がかりにさせていた。
楢本はそのシーンを振り返り、「事前のミーティングでも、防御の裏は意識していこうと言っていました。外の選手からの声も聞こえたので蹴りました」と話した。
3月28日、熊谷ラグビー場で開催されている全国選抜高校大会では準々決勝4試合がおこなわれた。
第4試合では東福岡×佐賀工の九州対決が実現。冒頭のように先制点を奪った東福岡が36-0と完封勝ちした。
開始5分でリードを奪った東福岡は、直後のリスタートのキックオフボールを受け、ふたたび攻め続けた。
自陣からボールを動かし続け、前と横の動きを組み合わせる。17のパスと8つのボールキャリーで、ゲームを途切らせることなくインゴールまでボールを運んだ(NO8蔵森晟②のトライ)。
先制パンチを活かし、前半を22-0とリードした。
◆東福岡のトライ後の笑顔や佐賀工の奮闘
後半も2トライを追加して完勝だった東福岡の藤田雄一郎監督は、「落ち着いて戦えていた」と選手たちのプレーを評価し、完封勝ちを喜んだ。
接点でも上回っていたことに安心があった。
豊かな才能を抱える。指揮官は平穏な年のように多くの試合を経験できるか分からないと前置きした上で、「いろんな選手、いろんなことを試して、最強の組み合わせ(布陣)を考えていきたい」と話した。
ゲームキャプテンを務めたSO楢本は、前半の出来は良かったとしながらも、得点機をすべてものにできなかったことに言及。「これから先の戦いでは、それでは勝てない」と反省した。
次戦(準決勝/3月29日)は、先の花園で死闘を演じた東海大仰星(準々決勝で後半48分まで戦い21-21)との一戦。司令塔は、「特別な存在。全国で優勝するには必ず勝たなければいけない」と気持ちを込め、「ロスタイムにならないうちに勝ちたい」と笑った。
佐賀工は敗れたが、LO井上茉紗樹②の強靭なボールキャリーなど通用するところはあった。SO後藤翔大①もキレのある動きで防御を惑わせた。
手の内をよく知る相手にトライラインを越えることはできなかったが、伸びしろは多く残されている。