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札幌山の手17-12高鍋。「幹夫先生のラスト飾る1年に」。さよなら再逆転のデッドヒート-センバツ敗者戦レビュー-

2021.03.29

札幌山の手SOヴァハフォラウがダイレクトに相手ディフェンスに仕掛ける(撮影:長尾亜紀)

 10-5、

 10-12、

 そして17-12。

 インジャリータイム終了間際に、最後までパワー全開の札幌山の手がインゴール中央へ飛び込んだ。ゴール決まって17-12となる逆転で、山の手がコンソレーション(敗者戦)で高鍋に競り勝った。

◆高鍋BKは個々の動きとサポートで勝負

「幹夫先生のラスト飾る1年に」。監督の佐藤幹夫先生も、来る4月2日に還暦を迎えることに。先生本人は「一応、今年が最後の年なので」と控えめに自身の節目を語る。羽幌高校時代の教え子にあたる丹羽政彦氏(前・明大監督)がアドバイザーに就くなど、周囲は、ラストの正月を花園で過ごしてもらおうといっそう力を入れている。

 山の手10-12高鍋とされたのが後半25分(30分ハーフ)。粘って粘っての失点に、山の手のショックは大きかったに違いない。しかし、次のキックオフからの開き直ったアタックには迫力があった。186㌢、98㌔の司令塔、ステファン・ヴァハフォラウはなりふり構わずゲインラインへ仕掛けた。高鍋もそれを受けず、がっちり踏み込んだタックルで応戦。結局10分間も高鍋陣に居座り、再逆転決勝トライを取り切った。

 山の手10-12高鍋とした高鍋のトライもまた、立派だった。がんばって作った突破口から味方を走らせ大きなゲイン。このボールの確保に走るサポートが速い。チャンスをトライに変える、取り切る意識がうかがえた。重ねた連続攻撃の末、SH幸妻怜治②からフラットなパスに走り込んだのはPRの湯浅大心②。後半25分でPRの足がこれだけ残っているとは。

「2戦を通じて感じたのはディフェンス力の不足でした」と高鍋の檜室秀幸監督。フィジカルと走力のジレンマの中、今年も花園への道のりが続く。

高鍋BKは個々の動きとサポートで勝負(撮影:長尾亜紀)