全国高校選抜大会は3月28日に大会3日目を迎え、早くも準々決勝に突入。無観客の熊谷ラグビー場は独特の雰囲気を醸し出していた。
第3試合は石見智翠館と東海大仰星が対戦。
ともに一歩も引かないディフェンスの中、ロースコアで進むタイトなゲームを制したのは東海大仰星だった。最終スコアは東海大仰星14-3石見智翠館。前半無得点だった東海大仰星が後半に2トライを挙げて、準決勝へとコマを進めた。
前半は石見智翠館のペースで試合が進んだ。序盤から強みであるモールとSO﨑田士人②が巧みに蹴り上げるハイパントで陣地を攻略。15分にペナルティゴールで先制した。だがそれ以降ノックオンなどの小さなミスが続き、得点は動かなかった。互いの堅守も光り、両者中盤での戦いから抜けだせないまま前半を終えた。
後半に入っても互いにディフェンスの粘り合いが続く。
ついに均衡を破ったのは東海大仰星だった。12分、ラインアウトモールでの前進から、パスを細かくつなぎゲインを切る。22㍍ライン内深くまで攻める間にアドバンテージをもらった。一度プレーは止まったが、FL薄田周希主将②が速攻を仕掛ける。5㍍付近から単独のパワープレーで押し込んだ(7-3)。「チームがしんどい時に、自分が一番体を張らないといけないと思っていた。それがトライという形になったのは良かった」。
その後も一進一退の攻防は続いたが、25分に東海大仰星が決勝トライを挙げた。タックルし続ける智翠館に対して、ミスなくフェイズを重ねると、15フェイズ目あたりでWTB御池蓮二②がラインブレイク。パスを受けたFL大原功泰②がハンドオフでインゴールまで逃げ切った(14-3)。
WTB御池は「前半は自分たちのミスから厳しい状況が続いていた。ただそこを耐えて逆転できたのはチームとして大きな自信になる」と振り返る。
東海大仰星はハーフタイムでマインドを変えていた。
「キックを蹴ってくる相手に対して、我々が進まれてると思うのか、それともボールを手放してくれてると捉えるのかで全然違う。自分たちがうまくいってない原因が、『進まれてる』からと思う前に、思考を変えることができた」と湯浅大智監督は話す。
「(新チームは)まだ公式戦を勝ち抜いた経験がないので、そうした考え方を知らない。このゲームそのものが大きな経験値になった」
29日の準決勝の対戦相手は東福岡に決まった。昨季の花園準々決勝、ロスタイム18分の激闘ドロー以来となる。薄田主将は「去年の21-21のスコアを自分たちの手で動かせるのはすごく光栄なこと。最高の準備をしたい」と語った。