ラグビーリパブリック

クボタとパナソニックが5連勝、ドコモは再び上昇気流へ。サニックスは今季初勝利

2021.03.28

三菱重工相模原戦でボールをつなぐクボタの井上大介。マン・オブ・ザ・マッチ(撮影:齋藤豊)


 ジャパンラグビートップリーグは3月28日、第5節の4試合が各地でおこなわれ、クボタスピアーズとパナソニック ワイルドナイツが開幕からの連勝を「5」に伸ばした。宗像サニックスブルースは今季初勝利。Honda HEATとNECグリーンロケッツは5連敗となった。そして、今季旋風を巻き起こしているNTTドコモレッドハリケーンズはまたも接戦を制し、勝点を伸ばしている。

 クボタは東京・江戸川区陸上競技場で三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦し、32-17で勝利。

 序盤は雨風強い難しいコンディションのなか、両チームともペナルティゴール(PG)で得点し、セットピースが安定しているクボタは前半23分、27分とラインアウトからのドライビングモールでトライを重ねた。35分にもラインアウトからの攻撃でNO8バツベイ シオネが抜け、追加点を獲得。27-3で折り返した。

 追う三菱重工相模原は、48分(後半8分)、敵陣深くに入り、味方がキックしたボールをあきらめずに追いかけたCTBマイケル・リトルがデッドボールラインを割る前に手で払ってインゴールエリアに残し、CTB奈良望が押さえてトライが認められた。61分には右サイドを突破したWTB川上剛右がロングキックを放ち、3番手でチェイスしていたSH榎本光祐がインゴールに転がったボールを押さえ、10点差に詰めた。

 しかしクボタは66分、HOマルコム・マークスの力走後、ボールをつないでCTBテアウパ シオネがトライを決め、粘る三菱重工相模原を突き放した。

 クボタはこれで5勝0敗(総勝点23)、三菱重工相模原は1勝1分3敗(総勝点6)となった。

パナソニックの福岡堅樹を止めようとするNECの瀧澤直(1番)と山極大貴(撮影:松本かおり)

 パナソニックは東京・秩父宮ラグビー場でNECと対戦し、62-5と圧倒した。

 パナソニックは前半11分、SO松田力也のキックパスがつながってチャンスとなり、FL布巻峻介がインゴールに突っ込み先制した。PGで加点したあとの27分には、キャプテンのHO坂手淳史がキックチャージしてCTBハドレー・パークスにつなぎ、トライ。39分にはFWがモールで前進後、22メートルライン手前の中央を斜めに切り込んで抜けたWTB福岡堅樹が爆発的スピードと鋭いステップでタックラーを振り切り、会場を沸かせた。

 22-0で折り返し、45分(後半5分)にはNECがラインアウトから展開しようとしたところ、パナソニックのLOジョージ・クルーズがインターセプトして大きくゲインし サポートしたLOヒーナン ダニエル、NO8ジャック・コーネルセンとつなぎトライが生まれた。

 NECは48分にSO亀山宏大がインターセプトトライをやり返したが、その後も主導権を握ったパナソニックが圧倒。
 51分にはSH内田啓介がブラインドサイドを突いてゲインし、外でサポートについていたWTB福岡がフィニッシュ。53分には入替で入ったばかりのSO山沢拓也がいきなり走りでチャンスメイクし、パスをもらったHO堀江翔太が足技を披露、それをチェイスしたWTB竹山晃暉がボールを確保してインゴール右隅に飛び込んだ。パナソニックはその後、福岡がハットトリックを達成するなど3トライを追加し、快勝となった。

 パナソニックは5勝0敗(総勝点24)となり、ホワイトカンファレンスの首位をキープ。NECは0勝5敗(総勝点1)となった。

日野のディフェンスを突破しようとするドコモのマカゾレ・マピンピ(撮影:平本芳臣)

 大阪の東大阪市花園ラグビー場ではNTTドコモと日野レッドドルフィンズが対戦し、26-25でドコモが制した。第4節でパナソニック相手に屈し今季初黒星を喫したドコモだが、これで4勝1敗(総勝点16)となり再び上昇気流に乗ろうとしている。

 ドコモは開始早々、2019年ワールドカップでも大活躍した南アフリカ代表WTBであるマカゾレ・マピンピが快足を飛ばし、先制した。
 だが日野は簡単にはドコモペースにさせず、11分、ラインアウトからモールで押し込み、同点とする。18分にはドコモが自陣深くのスクラムからボールを回そうとするも、SO川向瑛が日野のCTB片岡将にプレッシャーをかけられてパスを乱し、ルーズボールを拾い上げた日野のWTB竹澤正祥がゴールラインを割り、勝ち越した。日野はさらにPGで加点。

 8点ビハインドとなったドコモは32分、SO川向のキックパスが右WTB茂野洸気に通り、ゲイン、パスをもらったFB高野祥太も快走し、ゴール前でつかまったものの、追走していたSHのTJ・ペレナラがジャッカルを狙った日野FL堀江恭佑からボールを引きはがし、自らインゴール右隅に押さえてトライを決めた。

 後半、日野にPGを許し6点差とされたドコモだが、61分(後半21分)、CTBサミソ二・トゥアの突破を起点にチャンスを広げ、WTB茂野がトライ。SO川向がコンバージョンを決めて19-18と逆転した。

 65分にアドバンテージを活かした日野に再びゲームをひっくり返されたドコモだが、73分に敵陣深くに入り、FWを使って前進、最後は塊になってインゴールになだれ込み、ポスト近くでトライが認められた。コンバージョンも決まり再逆転に成功。

 日野はホーンが鳴ったあとのラストアタックで12フェイズを重ねたが、ドコモがハーフウェイ付近で耐え、接戦を制した。

 敗れた日野は1勝4敗(総勝点5)となった。

Hondaのポール・スクーマンにあたりに行く宗像サニックスのトニシオ・バイフ(撮影:矢野寿明)

 そして、開幕から4連敗と苦しんでいた宗像サニックスとHonda(ホンダ)は愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で激突し、サニックスが25-24で競り勝ち、トンネルを抜けた。

 前半、キックチャージからホンダにトライを奪われ、7点ビハインドで折り返したサニックスだが、43分(後半3分)、ラインアウトからモールで押し込み2点差に詰めた。

 その後、ホンダのPR具智元が危険なプレーでイエローカードを提示されるなど流れが変わり、数的有利となったサニックスは50分、またもラインアウトからのドライビングモールでトライを挙げ、逆転した。
 サニックスはさらにPGで加点したあとの62分、交替で入ったばかりのWTB濱里耕平が相手の長いパスをインターセプトして約40メートル走り切り、25-10とリードを広げた。

 しかし68分、サニックスはNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコが危険なプレーをしたため一発退場を命じられ、残り時間を14人で戦うことになる。
 数的有利となったホンダが反撃し、72分、敵陣深く中央のスクラムからNO8の位置にいたポール・スクーマンがサイドアタックでインゴールに突っ込み、トライ。79分にも敵陣深くのターンオーバーから攻め込んでLOフランコ・モスタートがトライゲッターとなり、コンバージョン連続成功で1点差となった。

 が、残り時間の攻防でサニックスが辛くも逃げ切り、今季初勝利を手にした。

 これで1勝4敗(総勝点5)となったサニックスのコーリー・ブラウン ヘッドコーチは、「前半は気持ちでディフェンスし、エナジー高く折り返せたのが後半につながった。後半は田代(SO田代宙士)がゲームをしっかりコントロールして、望んでいたテリトリーでゲームができた」と戦いを振り返り、勝利を喜んだ。

 一方、接戦を落として0勝5敗(総勝点1)となったホンダのダニー・リー ヘッドコーチは、イエローカードをもらって数的不利な時間帯に逆転されたことを悔やみ、「中だるみの時間帯に自分たちで首をしめた」と反省。それでも、「最後まで絶対にあきらめなかったのはポジティブなこと」と述べ、敗戦のなかにも収穫を見つけた。

連敗を脱出し、ようやく笑みがこぼれた宗像サニックスブルース(撮影:矢野寿明)


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