3月25日、春の全国高校選抜大会が2年ぶりに開幕した。
今大会は出場32チームによるトーナメント方式。準々決勝で組み合わせ抽選が行われる。
1回戦は熊谷ラグビー場Bグラウンド、Cグラウンド、補助陸上競技場で16試合が行われた。
◆2回戦までの結果が反映されたトーナメント表(結果つき)はこちら。
ラグビーリパブリックが選ぶ1回戦のピックアップゲームは、補助陸上競技場での最終ゲームとなった日川vs朝明戦。朝明33―26日川の7点差と、最後まで勝敗がわからない好ゲームとなった。
この試合で際立ったのは朝明のSO、内山陸。朝明が挙げた33得点すべてに絡み、あわや逆転負けのピンチも救った。
試合は序盤から拮抗した。互いに敵陣の22㍍ライン付近まで攻め上がるも、ディフェンスで我慢した。
先制トライは15分。
自陣10㍍ライン中央でのスクラムから生まれた。左サイドをループで攻めて、ライン際で待っていたWTB轟木大晃②が一気にゲイン。倒れながらのオフロードパスがつながり、パスを受けたSO内山陸①がまずは1トライを挙げた(7-0)。
朝明が流れを掴んだかに見えたが21分、日川が返す。こちらもセットプレー(ラインアウト)から。センターラインからCTB岩間永祐②がラインブレイク。同点に追いついた。
前半の終盤に盛り返したのは朝明。26分、アドバンテージをもらったSO内山は好キックでトライにつなげ、31分には自陣のスクラムからブラインドサイドをひとりで駆け抜けた(19-7)。
後半開始早々にもWTB轟木の好走からSO内山がトライを決めた(26-7)。
そしてその後も敵陣で攻め込む朝明が優勢に思われたが、ここから日川のフィットネスが朝明を上回った。朝明の保地直人監督は「ハーフタイムに絶対に簡単に勝たせてもらえる相手ではないと言い続けてました。その通りでした」と振り返る。
日川は19分にブレイクダウンでボールをもぎ取ったFL若林広大②のトライを皮切りに連続トライ。一気に5点差まで詰めた。
そして24分。俄然勢いに乗る日川が大外に振る。がら空きの右サイドをCTB岩間が走り、SO後藤天真主将にラストパス。あとはボールを置くだけと思われた。
ここで最後まで追いかけていたのがSO内山だった。SO後藤がインゴールに置く直前に後ろからタックル。ノックオンを誘い、窮地を救った。「ここでトライされたらそのまま負けると感じたので、自分がタックルして絶対止めようと思ってました」(内山)。
その直後、5㍍スクラムからSO内山が狭いところをハンドオフでうまくかいくぐり、FB李晛②の決勝トライにつなげた。
保地監督は内山について、「攻めの意識、アグレッシブなところが良い。今日は彼の良いところが出たと思います」と評価する。
内山は御田中出身で愛知県選抜にも選ばれた実力者。叔父が朝明でラグビーをしていたから、自身もその道を選んだ。朝明では1年時からWTBで花園に出場。「花園は緊張したけど、今回は落ち着けました」と2度目の全国大会では躍動した。
2回戦は東海大仰星に0-91と完敗を喫したが、チームの起点である快速ランナーはこれからも要注目だ。