ラグビーリパブリック

サントリーがトヨタとの全勝対決制す。神戸製鋼も5連勝、キヤノンはリコーに競り勝つ。

2021.03.27

ボーデン・バレットが最後にPGを決めて激闘を制し、歓喜のサントリー(撮影:矢野寿明)


 ジャパンラグビートップリーグは3月27日、第5節の3試合がおこなわれ、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で開催されたトヨタ自動車ヴェルブリッツ対サントリーサンゴリアスの全勝対決は、39-36でサントリーが制した。サントリーはレッドカンファレンスの首位をキープ。

 ホワイトカンファレンスでは、神戸製鋼コベルコスティーラーズがヤマハ発動機ジュビロを53ー22で下して5連勝となり、キヤノンイーグルスはリコーブラックラムズに31ー28で競り勝った。

 瑞穂での熱闘。前半をリードしたのはホームチームのトヨタだった。
 21分までにサントリーに2トライを許したが、トヨタはSOライオネル・クロニエがペナルティゴール(PG)3連続成功で得点を重ねた。26分にはサントリーがパスを乱し、トヨタがプレッシャーをかけてボールを奪い返し、FL吉田杏が抜けて逆転トライ。
 35分にはサントリーのラインアウト失敗からトヨタがボールをつないで攻め上がり、FBウィリー・ルルーのキックに反応したCTBマレ・サウがキャッチしてゴールラインを割り、追加点を挙げた。
 ハーフタイム前にはクロニエが約45メートルのPGを決め、14点リードで折り返した。

 だが、追うサントリーは後半早々に流れを変える。
「後半の入りでボールをキープしてフェイズを重ねながらプレーすることを意識した」(サントリー:ミルトン・ヘイグ監督)

 44分(後半4分)、FWがスクラムで押し勝って敵陣深くのラインアウトへと移り、モールでゴールに迫ったあとボールを動かし、SOボーデン・バレットからのキックパスを左外でキャッチしたWTBテビタ・リーがトライゲッターとなった。
 48分にはハイボールを使ってからのアタックでつなぎ、FLショーン・マクマーンらの力走でチャンスを拡大、右外でFLツイ ヘンドリックからオフロードパスをもらったWTB中野将伍が内に切り込んでゴールへ駆け抜け、2点差に詰めた。

 その後、トヨタにPGを許し5点差とされたサントリーだが、63分、左外にいたNO8テビタ・タタフが突破し、HO中村駿太、WTBリーとつなぎ、同点トライが生まれた。

 勢いづいたサントリーはさらに67分、FL小澤直輝の力走で敵陣22メートルライン内に入り、たたみかけ、ツイがランで勝負し勝ち越した。

 7点ビハインドとなったトヨタも粘り、76分、敵陣深くのスクラムで押し勝ち、アドバンテージを得て攻め、WTB岡田優輝がゴールラインを割って中央に持ち込み、トライ。コンバージョン成功で36-36の同点となった。

 しかし、80分、サントリーのFL小澤が敵陣10メートルライン付近のブレイクダウンでからみ、トヨタの反則を引き出す。サントリーはPGを選択。SOバレットが放ったショットは右ポストに当たりながらも決まり、劇的な幕切れとなった。

 トヨタのSH茂野海人キャプテンは、「前半は賢く自分たちのプレーができたが、後半は入りが悪かった。ブレイクダウンで無駄に入ったり、個人のタックルミスがあった。しっかりディテールを改善していきたい」と反省する。

 一方、勝ったサントリーのヘイグ監督も、「前半はミスもあった。プレッシャーをかけられて失点につながった。後半の出来には満足しているが、トータルで考えると想定していた形ではない」と厳しく試合を振り返る。

 マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたツイ ヘンドリックについて指揮官は、「リーダーズグループのひとりで、コミュニケーション能力が高い。いいドライバーであり、今日は80分間素晴らしかった」と評価する。7番をつけて今季初先発のショーン・マクマーンも期待に応え、「100%エナジーを発揮してくれる選手。(トヨタのマイケル・)フーパーに対してもいいパフォーマンスを発揮してくれた。クオリティが高いフランカーがたくさんいるのは、チームにとって素晴らしいこと」とし、チーム内の競争からも成長を感じている様子だ。

 サントリーはトライ数で3本以上差をつけたためボーナスポイントも獲得し、5勝0敗(総勝点25)となっている。トヨタは4勝1敗(総勝点20)。

活躍したツイ ヘンドリック。日本代表47キャップ、33歳(撮影:矢野寿明)

 東大阪市花園ラグビー場でヤマハと対戦した神戸製鋼は、計8トライで難敵を下し、こちらも開幕から5連勝(総勝点23)となった。

 神戸製鋼は開始早々にPGで先制すると、11分にはカウンターからWTB山下楽平のキックでチャンスを広げ、FLトム・フランクリンが最初のトライゲッターとなった。25分と38分には敵陣深くのスクラムからの攻撃でパワフルなCTBアタアタ・モエアキオラを使い、得点。32分にはヤマハのラインアウト失敗からトライにつなげていった。

 前半だけで24点差をつけられたヤマハは、48分(後半8分)にトライを奪い返したが、神戸製鋼は主導権を渡さず、その後、3連続トライ。51分には自陣深くでターンオーバーしたあとボールを回し、キックに反応したWTB山下のビッグゲインでチャンスとなり、LOブロディ・レタリックのファイブポイントにつながった。54分には相手の落球から攻めに転じ、FB山中亮平がフィニッシュ。56分にはWTBベン・スミスらが躍動して波状攻撃となり、38点差がついて勝負あった。

 ヤマハは終盤に2トライを奪い返して意地を見せたが、連敗。2勝3敗(総勝点11)となっている。

果敢な走りも光ってマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたキヤノン10番の田村優(撮影:松本かおり)

 東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれたキヤノン対リコーも熱闘となった。キヤノンはキャプテンのSO田村優を中心に14点ビハインドから追いつき、激しい競り合いを制した。

 先制したのはキヤノン。前半7分、ラインアウトからモールで押し込み得点した。
 しかし、その後リコーが3連続トライで主導権を握る。13分にSOアイザック・ルーカスがランで切り込み、右外でオフロードパスをもらったWTBネタニ・ヴァカヤリアがタックラーを振り切ってゴールへ駆け抜けた。ハーフタイム前には、ラインアウトからの攻撃で、前に詰めてきたキヤノンディフェンスの裏にSOルーカスがキック、タイミングよく抜けたCTBロトアヘア アマナキ大洋がトライゲッターとなった。54分(後半14分)にはラインアウトからのドライビングモールで加点した。

 堅守も強みとするリコーに対し、キヤノンは59分、敵陣深くで攻撃を繰り返しアドバンテージを得ると、SO田村がピンポイントのキックパスを放ち、WTBマイケル・ボンドがインゴールでキャッチしトライを奪い返した。
 田村はこの試合、走りでも魅せ、64分にもランでチャンスメイクし、波状攻撃をNO8コーバス・ファンダイクがフィニッシュ。田村のコンバージョンも決まり、21-21と追いついた。

 69分にリコーの10番をつけたアイザック・ルーカスが自陣から抜け、軽快なフットワークとダミーでディフェンダーを翻弄し勝ち越したが、キヤノンはすぐに取り返した。73分、ラインアウトからのムーブでボールを手にしたFB橋野皓介が裏のスペースに蹴り、途中から出場のWTBホセア・サウマキがチェイスに勝ってトライを挙げ、再び同点となった。

 そして、78分、キヤノンはハイボールのこぼれ球を手にしたWTBサウマキがキック&チェイスでプレッシャーをかけ、敵陣深くで相手の反則を引き出す。田村がショットを狙い、成功。これが決勝点となり、キヤノンが歓喜した。

 キャノンはこれで2勝3敗(総勝点9)、リコーは1勝4敗(総勝点7)となった。


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