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日本協会が2050年までの超長期的ビジョン・目標、2021-24中期戦略計画を発表

2021.03.26

© Japan Rugby Football Union


 日本ラグビーフットボール協会(JRFU)が、2050年までの超長期的なビジョンや目標、大枠の重点分野を設定し、2024年までの具体的な中期戦略計画を発表した。

 日本は2019年、アジア初となるラグビーワールドカップを開催。「最も偉大なワールドカップとして記憶に残る。日本は開催国として最高だった」と、大会主催者であるワールドラグビーのビル・ボーモント会長から最大級の賛辞を贈られたように、大成功を収めた。日本代表は悲願のベスト8入りを達成、多くの「にわかファン」 も熱狂し、日本国民がラグビーの魅力を発見した大会となった。

 JRFUの森重隆会長は、「この成果は、長年にわたり日本ラグビーに関わった全ての人たちの努力と貢献の上に成り立ったものであり、このレガシーを長く後世に残し、日本ラグビーを更に発展させて行くことが、私たちの今後の使命となります」と述べる。
 その道しるべとすべく、前戦略計画が2020年度で終了するにあたり、新たな中期戦略計画を策定した。

 今回の中期戦略計画では、まず、2050年までの長期的なビジョンや目標、大枠の重点分野を設定し、それに沿って、2024年までの具体的な中期戦略計画を、より実務的な視点で策定。本計画では特に、全国の協会組織の強化や、地域や社会との連携など、これまで取り組めていなかった課題にも取り組んでいくという。

「ラグビー競技者、支援者、ファンの皆様が一体となり『世界一ラグビーが身近にある国へ』という、長期ミッションへ向かって動き出していきたいと思います。中期計画は、今後4年ごとに見直し、最終的な長期目標の達成を目指します」(JRFU 森会長)

<JAPAN RUGBYの活動指針>

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<前中期計画レビュー(総括)>
●2016年の見直し時に設定した各種目標に関しては、新型コロナウィルスによる大会中止などの影響を受けた総観客数と7人制日本代表の目標以外はすべて達成された。

●日本代表のブランディングや運営面のスタンダード向上による代表戦の集客向上、スーパーラグビーを活用した代表強化、RWC2019開催地と連携したレガシーの創出、小学校でのタグラグビー授業やカジュアルラグビーを活用した参画者の拡大などは、戦略に基づき各担当部門が推進することにより、成果を残すことができた。

●一方で、組織基盤や国際戦略の強化や組織連携といった部分に関しては課題が残り、トップリーグの地域連携をキーにした新たな展開などについては、本戦略計画期間内では大きな成果には至らなかったが、さまざまな議論を経て多くのステークホルダーとの協力のもと発足する新リーグに受け継がれ、今後の進展が期待される。

●戦略計画として一定の成果は上げられたと評価できるが、計画見直し時に重要成功要因として挙げた、戦略遂行のための体制整備に関しては実行できておらず、そのため組織全体として統合された戦略推進が行われたとは言い難く、計画の運用面としての課題が残った。

<前中期計画レビュー(各ターゲットの達成状況)>

【競技人口】
■2009年策定当初ターゲット
登録者200,000人

■2016年見直し内容
少子化など客観的環境を 現実的に分析し見直し、 かつ、普及的観点からより広範囲な関わり方を対象とする

■見直し後目標(現行目標)
非登録者やカジュアルラグビー(タグ、タックル、タッチなど)を含めたラグビープレイヤーを対象に、20万人を目指す

■2020年実績
• 登録者(選手+スタッフ):11万人
• サントリーカップ参加者他:7.1万人
• 小学校タグ受講:77万人
• 合計95万人を超える

■判定


【総観客動員】
■2009年策定当初ターゲット
1,400,000人

■2016年見直し内容
2015年以降の代表人気 の上昇などを加味し、事業ごとに現実的な数字を積 み上げ、トップリーグについてはチャレンジングな目標を維持

■見直し後目標(現行目標)
スーパーラグビー、三地域大会、高校大会等を含め、2020年までに150万人と上方修正

■2020年実績
• 2018年:1,074,479人と100万人を突破
• 2020年:新型コロナウィルスの影響がなければ達成が視野に。TL100万人、代表戦17万人(全試合満員想定)、大学選手権9万人(決勝国立想定)、日本選手権4万人(満員想定)、その他20万人

■判定


【運営組織】
■2009年策定当初ターゲット
全市町村に協会

■2016年見直し内容
施策として継続するも、目標としては設定せず

■見直し後目標(現行目標)
(廃止)


【15人制代表】
■2009年策定当初ターゲット
RWC2019 ベスト8

■2016年見直し内容
RWC2015で手が届きかけた目標を必達として継続

■見直し後目標(現行目標)
男子:RWC2019ベスト8以上
女子:RWC2017出場(強化個別戦略計画にて策定)

■2020年実績
男子:RWC2019ベスト8 達成
女子:RWC2017出場 達成

■判定


【7人制代表】
■2009年策定当初ターゲット
男女:リオ五輪出場 メダル獲得

■2016年見直し内容
初挑戦での経験と検証をもとに、再度メダル獲得に挑戦

■見直し後目標(現行目標)
Tokyo2020で男女ともメダル獲得

■2020年実績
Tokyo2020 1年延期


【財務体質】
■2009年策定当初ターゲット
収入:70億円
内部留保:+20億円

■2016年見直し内容
内部留保確保について、最低限の必達目標を掲げ、事業収益について、実行可能性を加味しながら積上げる

■見直し後目標(現行目標)
内部留保を2019年までに5億円積上げを必達とし、事業収入はジャパンエスアール(JSRA)分を含め70億円を目指す

■2020年実績
2016年度~2018年度まで3期連続利益を計上し、合計で11億円の内部留保積み立て達成
2018年度JRFU事業収入66億円、JSRA事業収入12億円、合計78億円を達成

■判定


【アジア貢献】
■2009年策定当初ターゲット
貢献プログラムの実施

■2016年見直し内容
施策としては継続するも、目標としては設定せず

■見直し後目標(現行目標)
(廃止)

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【2021-2024 中期目標】
≪15人制男子 ラグビーワールドカップ2023年大会≫
ベスト8に到達し、さらなる上を目指しチャレンジ

≪15人制女子 ラグビーワールドカップ2021年大会≫
アジア予選突破、本大会ベスト8進出

≪7人制男女 東京オリンピック2020年大会(延期)≫
メダル獲得

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【中期戦略計画の全体構成】
≪5つの領域/8つの目標/15のアクションプラン≫
■Ⅰ 協会刷新
1.世界一のラグビーユニオンを目指して抜本的に組織を見直し、理念実現のための強固な経営基盤をつくる
(1)組織基盤の強化
(2)コミュニケーションの強化
(3)システム・データ活用の最大化

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2.世界一のラグビーユニオンを目指して経営の安定化を図り、未来への投資を拡充させるための財務基盤を確保する
(4)既存事業の価値最大化と収益機会の多様化
(5)既存意識を超えた新たな分野への挑戦
(6)非イベント収入機会の確保と強化
(7)財務計画・管理システムの強化

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3.安全で、誠実なラグビーを通じてラグビー憲章を守る
(8)ラグビーへの信頼を維持・確保

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■Ⅱ 強化
4.代表チームを支える環境を整備し、すべてのラグビー日本代表を戦略的に強化する
(9)選手の環境と価値を守る
(10)多くのファン・関係者が代表を支える環境の提供
(11)ハイパフォーマンスプログラム(HP)のさらなる強化

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■Ⅲ 普及・育成
5.誰でも、いつでも、どこでも楽しめるラグビー社会をつくる
(12)RWC2019レガシーと普及環境の整備

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■Ⅳ リーグ改革
6.ラグビーファンが熱狂する舞台をつくる
(13)ラグビーファンが熱狂する舞台をつくる

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■Ⅴ 社会連携
7.ラグビーのチカラを使って、社会の役に立ち、世界を守る
(14)社会連携・国際連携のための体制確立

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8.ラグビーが起点となって日本に新しい産業をうみだす
(15)有形、無形のラグビー資産を社会や経済活動へ結びつける

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