昨シーズンは3-40だったスコアが今年は13-26になった。
NTTドコモは、1年前に完敗したパナソニック相手にまたも敗れたが、差を縮めた。
3月14日にヤンマーフィールド長居に集まった4735人は、全勝対決の名に偽りのない試合内容を目撃した。
負けて称えられる間は本物の強豪とは言えないのだろうが、NTTドコモの戦いぶりは堂々としていた。
7-10という前半のスコアからも均衡した試合内容が伝わるだろうが、最初の40分、ほとんどの時間をコントロールしたのはレッドハリケーンズの方だった。
前半22分、パナソニックのSO松田力也がPGを決めるまでスコアレスの試合展開。NTTドコモはパナソニック陣に長く攻め込んだ。
青いジャージーの粘りある防御をなかなか崩し切れず、トライは34分まで待たなければいけなかったが、その得点シーンには勢いがあった。CTBサミソニ・トゥアがタックラーを弾き飛ばしてビッグゲイン。敵陣深い位置でPKを得る。
タッチに蹴り出すような素振りから速攻を仕掛け、FWが殺到。最後はFL杉下暢がインゴールにボールを置いた(Gも決まり7-3)。
ただ、パナソニックの集中力もさすがだった。
直後のリスタートのキックオフからの攻防でトライを取る。NTTドコモのSOオーウェン・ウィリアムスのキックがパナソニックの選手に当たり、はね返った。そのボールをCTBハドレー・パークスが奪い、インゴールに運んだ(SO松田のG成功)。
パナソニックのHO坂手敦史主将は、NTTドコモの進化を、こう話した。
「コンタクトレベルが高い。全員がチームとしてやるべきことを理解してゲームに臨んでいるように思いました」
SHのTJ・ペレナラと、SOウィリアムスのコンビネーションにより、「チーム全体でプレッシャーをかけてきた。それが、勢いがある原因かな」と続けた。
それでもNTTドコモは勝利を手にできなかった。パナソニックの方がゲーム理解力が高く、経験値が豊富だからだ。
試合巧者ぶりが光った。
後半10分、NTTドコモがSOウィリアムスのPGで10-10と追いつけば、その2分後にWTB竹山晃暉が右スミに飛び込む(SO松田のGも決まる)。
16分にNTTドコモがPGで追うと、24分、29分と途中出場のSO山沢拓也が3点を刻んで引き離す。37分にはWTB福岡堅樹がトライを決めてトドメを刺した。
勝ったバナソニックの坂手主将は「(競っていても)焦ることはありませんでした。少しずつ点を重ねようと思っていた」と話し、落ち着いて勝利をたぐり寄せた80分を振り返った。
ロビー・ディーンズ監督は、「スターターの選手たちが相手の勢いを止めて体力を奪い、途中から出場する経験ある選手たちが、きっちり仕事をしてくれた」とチーム全員でつかんだ勝利と強調した。
そして「タフな試合だった」と相手に敬意を払った。
NTTドコモは敗れはしたが、自分たちの現在地をあらためて知った。その結果、自信をつかんだ。
コンタクトシチュエーションでは引かなかった。
この日のような試合をくり返し、勝ち方、点の取り方を知ることが必要と分かった。
TJ・ペレナラは言った。
「プレッシャーをかけることはできたが、それを得点に変えないといけなかった」
経験値をすぐに増やすことは難しいけれど、いまのNTTドコモには、それをどん欲に吸収する意欲がある。