ラグビーリパブリック

豊富なアイデアで楽しさ追求。2020年、住みたい街・千葉県流山市に「流山ラグビークラブ GREAT HAWKS」誕生

2021.03.12

子どもたちの笑顔があふれる街に。(写真提供/流山ラグビークラブ)



「楽しい」を追求して急成長している。

 設立は2020年7月だが、わずか8か月で会員数は55人に。そのうち54人がラグビー未経験者というから、ほぼ全員が初めてラグビーボールに親しんでくれた。

 幼児〜小学生を対象とした千葉・流山市のクラブチーム「流山ラグビークラブGREAT HAWKS(グレイトホークス)」。

 タグラグビーをメインとして、主に「おおたかの森小学校」で隔週日曜日に活動。「楽しい」を追求したクラブ方針、論理的なプログラム、保護者目線が好評だ。

 流山ラクビークラブ(RC)の代表は日大二高−法大、IBMでプレーした川合毅さんだ。

 メインコーチはクボタで活躍した松下寛朗さん。そのほかパーソナルトレーナーの首藤甲子郎さん(元NEC)、日大BKコーチの森田茂希さん(元NEC)、クボタFWコーチの佐川聡さんもコーチングスタッフというから心強い。

 貫かれているクラブ方針がある。

「全員が楽しんでもらうことは徹底して考えています。コーチングでも怒る人はおらず、まず子どもたちが楽しむためにはどうするのかを考えています」(川合代表)

 クラブ代表の川合さんは工学部出身の理論派。法大では工学部生として初めてレギュラーとなり、部史上初の就職先だったIBMでは主将も務めた。

 ラグビー部主将から世界的なコンサルティングファーム(世界4大会計事務所のデロイト)に転職し、大手企業の経営支援をした職歴も異例だ。

 現在は総合刃物メーカーで人事を担当しながら、同クラブ代表、流山市スポーツ協会理事、みずから立ち上げた流山市ラグビーフットボール協会会長も兼任している。

 感情が一番大事としながら「徹底的にロジカルに考える」ことが川合代表のポリシー。クラブが追求する「楽しい」も曖昧にせず、年代別のチーム毎に「楽しい」の定義を決めている。

 クラブではその定義された「楽しい」を目指して、コーチたちにその場で判断して指導してもらっている。

「現在は『楽しい状態を達成する』ことを目指していて、コーチの皆さんには、その場で子どもたちの様子を見ながらやってください、とお願いしています」(川合代表)

 そのコーチは半数以上がラグビー未経験者というから驚きだ。

「週末の貴重な時間ですから、お子さんと触れあって一緒に楽しんでほしいんです。ラグビーの素晴らしさは多様性。ラグビー出身者だけでコーチをするのはもったいない。お父さん、お母さんにもどんどんコーチとして参加してもらっています。みなさん『めちゃくちゃ楽しい』と言ってくれています」



 一男一女の父親でもある川合代表は「保護者目線」のアイデアが豊富。たとえば会費は年会費制ではなく参加費制(1回500円)にしている。

 年会費を支払うと、親が子に参加を強制しがちになる。参加費制にすることで親子それぞれの心理的負担を減らした。何より子ども自身が「ラグビーをやりたい」と思って参加してもらえるようにとの願いがある。

 指導プログラムも保護者目線だ。

「プログラムは小学校の学習指導要領を理解した上で開発しています。指導要領を補完する能力や、現代の子どもたちが低下している能力の向上を目指していて、保護者の皆さんには練習前に論理的に説明しています」

 流山RCの主な活動拠点である「おおたかの森小学校」へ行くと、保護者はラミネート加工されたプログラムを受け取ることができる。

 自分の子どもが「今日何をするのか」「今日はどんな能力の獲得を目指しているのか」などを一目で確認できるのだ。

 保護者に嬉しいサービスはまだある。

 会員になると、高級カメラで撮影した子どもの写真を無償でもらえる。クラブは同市の江戸川大学(マスコミ学科・神田洋ゼミ)とコラボしており、授業の一環で高級カメラで子どもたちを撮影してくれるのだ。

「子どもの写真をスマホで撮るのもよいですが、よければ一緒にラグビーを楽しみましょう、とお伝えしています。お子さんの写真は、一台ウン百万円のカメラで撮ってもらえます(笑)」

 かわいい盛りの我が子の“美麗写真”をもらえるのだから嬉しい限りだ。

 クラブの拠点であり、川合代表を含めたスタッフが住んでいる流山市は子育て世代を中心に人口流入が続いており、人口増加率は全国792市中で4年連続1位という。潜在力を秘めた流山市で、川合代表が実現したい“壮大な夢”と語るゴールがある。

 それは「自然豊かな流山市で、子どもたちが当たり前にラグビーボールで遊んでいる風景」。

 クラブとしては多様性を重視しながら、大きな可能性を秘めた流山市と共に成長していきたい。クラブ名の由来にもなっている「オオタカ」が生息する森のそばで、ラグビーを通じて地域の人たちが集い、伸び伸びと暮らす——。GREAT HAWKSが流山市に欠かせぬコミュニティになれたら嬉しい。