穏やかな気候の下、黄色のジャージーがトライラインを11回越えた。
3月6日、山梨・甲府でおこなわれたサントリー×宗像サニックスは、75-10の大差で前者が勝利を手にした。開幕からの連勝を3にした。
JITリサイクルインクスタジアム(旧・山梨中銀スタジアム)に集まった2407人のファンが何度もどよめいた。
その視線の先にいたのはボーデン・バレットだ。しなやかな動き、正確なキックと、速く、長いパス。SOでスタートし、FBの位置にも立った世界的プレーヤーは、自ら1トライも奪い、10コンバージョンキックも合わせた計25得点。マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。
◆NZ代表89キャップのボーデン・バレットと、オーストラリア代表33キャップのCTBサム・ケレビが共演
司令塔の充実は、チーム全体の躍動も約束する。この日のサンゴリアスは接点で圧倒し、外を走り回った。
宗像サニックスのLO福坪龍一郎共同主将が証言する。
「1対1で止められないから外側のディフェンダーが内に寄って、外にスペースを作ってしまった」
コーリー・ブラウン ヘッドコーチも「ラインスピードを上げて前へ出ようといっていたのですが、個人のタックルミスが多かった」と認めた。
80分のすべてをコントロールすることはできなかった。
そう反省したサンゴリアス。しかし、開始4分のFLツイ ヘンドリックのトライから、後半37分にSO田村煕がインゴールに入ったものまで、最初から最後まで攻め続けた。
特に自陣から攻め切った最後のトライは、途中出場選手たちが強いインパクトを残すものだった。
フェーズを重ねた後、PF森川由起乙がストレートランで防御を切り裂き、サポートしたHO中村駿太、SO田村とつないだ。黄のジャージーは、田村の外にもいた。
オフロードパスで好機を作り、仕留めるシーンが多かった80分。ボールキャリアーの激しさと、忠実なサポートプレーヤーの存在が常にあった。
ゲームキャプテンを務めたHO堀越康介は、「フィジカリティーの強さを発揮できた。コンタクトで勝っているからオフロード(パス)もつながっていたと思う。この先戦うチームはフィジカルが強いチームが多くなるので、そこで負けないようにしたい」と話した。
この日今季初先発で、自らのラン、パスに加え、巧みなキックでもトライを演出したCTB梶村祐介は、「普段の練習から、強度の高い攻防を繰り返している」と話し、レベルの高いチーム内競争がチームの土台を作っているとした。
次週は東芝戦。開幕から3週に渡ってアピールした選手たちの中から、現時点のベストメンバーが選ばれる。