世界的スターも参戦しているラグビー日本最高峰リーグの「トップリーグ2021」は、3月6日に全国各地で第3節の全8試合がおこなわれ、サントリー、クボタ、トヨタ自動車、パナソニック、神戸製鋼、そしてNTTドコモが開幕から3連勝となった。
NTTドコモレッドハリケーンズは東大阪市花園ラグビー場でリコーブラックラムズと対戦し、試合終了間際に劇的なトライを挙げ、22-17で熱闘を制した。
両チームとも堅守を武器とし、締まった試合となった。
先制したのはリコーで、前半21分、敵陣22メートルラインに迫ると、FBメイン平がディフェンス裏のスペースにボールを蹴り、それを追ったNO8アマト・ファカタヴァが左隅にフィニッシュした。
対するドコモは、相手の顔面に肘打ちをした選手がイエローカードを提示され一時退出となり、苦しい時間帯もあったが、14人で粘り強いディフェンスを続けると、ハーフタイム前、WTB小林正旗が自陣22メートルライン付近でインターセプトし、約80メートル独走。コンバージョンも決まり、7-5と逆転して折り返した。
ドコモは後半早々、CTBパエア ミフィポセチのカウンターでチャンスとなり、南アフリカ代表でもあるWTBマカゾレ・マピンピが快走を披露。2019年のワールドカップでも大活躍した新戦力のマピンピはこの試合がドコモデビューで、初トライを記録した。
ドコモはさらに59分(後半19分)、敵陣深くで12フェイズを重ね、HOフランコ・マレーがインゴールに突っ込み、貴重な5点を追加。17-5とした。
だがリコーも食らいつき、70分にWTBロトアヘア アマナキ大洋がファイブポインターとなって点差を詰めると、75分にはSOアイザック・ルーカスが突破してチャンスメイクし、サポートしたSH高橋敏也が中央にフィニッシュ。コンバージョンも決まり17-17の同点となった。
そして数分後、押せ押せムードのリコーが敵陣深くに入り、勝ち越しチャンスとなる。が、ラインアウトは乱れ、好機を逃した。
その後、ボールは再びリコーの手に渡ったが、80分、ドコモがブレイクダウンでターンオーバーし、最後のアタックを仕掛ける。自陣左外でボールをもらったマピンピがゲインし、FBトム・マーシャルにつなぎ、ハーフウェイでボールをもらったニュージーランド代表SHのTJ・ペレナラが50メートル力走。必死に追いかけたリコーのSOアイザック・ルーカスにタックルされながらもインゴール左隅にボールを押さえ、トライが認められ、劇的な幕切れとなった。
ドコモは3連勝で総勝点12、リコーは1勝2敗(総勝点5)となった。
ドコモと同じホワイトカンファレンスに入っているパナソニック ワイルドナイツは、大分・昭和電工ドーム大分でキヤノンイーグルスと対戦し、47-0と快勝した。
前半のトライはドライビングモールでの1本だけだったが、11-0で迎えた後半も安定した戦いで主導権を握り、46分(後半6分)に敵陣深くに入ると、左外で粘ったWTB竹山晃暉がボールを残し、交代で入ったばかりのPRヴァル アサエリ愛がフィニッシュした。
62分にはフレッシュレッグのSH小山大輝が出足速くプレッシャーをかけ、キヤノンがパスを乱し、イングランド代表のLOジョージ・クルーズがボールを確保しトライゲッターとなった。
67分には元ウェールズ代表CTBハドレー・パークスのキックパスからNO8ジャック・コーネルセンが得点。73分にはSO山沢拓也が走りで魅せ、76分にはスピードスターの福岡堅樹も会場を沸かせ、パナソニックが3連勝で総勝点15とした。
キヤノンは3連敗(総勝点1)。
パナソニックなどとホワイトカンファレンスの首位を争う神戸製鋼コベルコスティーラーズは、兵庫・神戸ユニバー記念競技場で日野レッドドルフィンズと対戦し、52-7と圧倒した。
序盤にゴールラインを割るも反則が確認され先制チャンスを逃した日野に対し、神戸製鋼は前半12分、SOヘイデン・パーカーがディフェンス裏に絶妙なキックを放ち、バウンドボールを確保したCTBアタアタ・モエアキオラが最初のトライゲッターとなった。
その後、日野のWTBチャンス・ペニーが躍動し、同点とされた神戸製鋼だったが、26分にカウンターでチャンスを作り、ルーズボールを拾ったNO8ナエアタ ルイがインゴールに押さえ、勝ち越した。
30分にはラインアウトからモールで押し込みトライ。34分にはLOブロディ・レタリックがフィニッシャーとなり、ハーフタイム前にはFLブロディ・マクカランが相手にトライを許さないファインプレーを見せ、26-7で折り返した
神戸製鋼は後半早々、クイックスローインでボールをもらったWTB山下楽平がそのままゴールへ走り抜け、点差を拡大。その後、NO8ナエアタやCTBモエアキオラも力強い走りを披露して3トライを追加し、日野を突き放した。
神戸製鋼は3勝0敗(総勝点14)、日野は3連敗(総勝点0)となった。
レッドカンファレンスで首位を走るサントリーサンゴリアスは、山梨・JIT リサイクルインク スタジアムで宗像サニックスブルースと対戦し、75-10で大勝した。
サントリーは前半だけで6トライを挙げ、勝負を決めた。
4分、敵陣深くでのスクラムから攻め、FLツイ ヘンドリックが先制。14分にはモールから持ち出したHO堀越康介がパワフルな突進でトライゲッターとなった。18分にはテンポのいい連続攻撃から、CTB梶村祐介がディフェンス裏にキックでボールを転がし、オーストラリア代表CTBサム・ケレビがインゴールに持ち込んだ。21分にも自陣から攻め上がって次々とつなぎ、WTBテビタ・リーがフィニッシュ。リスタート後にはNO8テビタ・タタフのビッグゲインで瞬く間に敵陣深くに入り、たたみかけてFLツイが5点を追加した。サントリーは36分にも自陣深くからボールを回してつなぎ、ニュージーランド代表のSOボーデン・バレットがゴールに持ち込んだ。
アグレッシブなサントリーは後半も5トライを追加し、3連勝で総勝点15となった。
サニックスは52分(後半12分)、ディフェンスも強い相手から1トライを奪い返したが、反撃はそこまでで、開幕から3連敗(総勝点1)と苦しい戦いが続いている。
好調のクボタスピアーズは東京・江戸川区陸上競技場でNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)と対戦し、34-24で競り勝った。
クボタは開始40秒も経たぬ間に先制。キックオフボールをレシーブしたWTBゲラード・ファンデンヒーファーがタックルをかわして大きくゲインし、キックしたボールを元ニュージーランド代表CTBライアン・クロッティがチェイスし確保、リサイクルして展開し、WTBタウモハパイ ホネティがインゴールに持ち込んだ。
クボタはさらに18分、ラインアウトからモールで押し込み、2つ目のトライを奪った。
対するNTTコムは36分、元スコットランド代表主将のSHグレイグ・レイドローがディフェンス裏に蹴ったボールをCTBシェーン・ゲイツがダイレクトキャッチし、ゴールに持ち込み5点差に詰めて折り返した。
だがクボタは15-10で迎えた後半早々、モールからボールを持ち出したNO8バツベイ シオネがパワフルに突進してトライを挙げた。45分(後半5分)にも敵陣深くで攻め、WTBホネティがフィニッシュ。29-10とした。
その後、相手にスクラムトライを許したクボタだったが、58分、ラインアウトからのサインプレーが決まってゴールに迫り、テンポよくボールを動かし、WTBホネティが左隅にフィニッシュして5点を追加。
ハットトリックを達成したホネティは、71分に危険なタックルをして退場となってしまったが、クボタは残り時間、相手の攻撃を1トライに抑え、接戦を制した。
ボーナスポイントは逃したクボタだが、3連勝で総勝点14。NTTコムは1勝2敗(総勝点5)となった。
トヨタ自動車ヴェルブリッツは愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でHonda HEATと対戦し、45-3で快勝。今季開幕から負けなしで、総勝点を14に伸ばした。Hondaは3連敗(総勝点0)。
相手にPGで先制されたトヨタだったが、前半16分、オーストラリア代表主将でもあるFLマイケル・フーパーの力走もあってゴールに迫り、NO8フェツアニ ラウタイミがトライを決め逆転した。
31分には敵陣深くでのスクラムから攻め、FL吉田杏がゴールラインを割った。その2分後には、ディフェンスでプレッシャーをかけてフーパーがボールを奪い返し、オフロードパスをもらったCTBロブ・トンプソンが快走で加点。39分にはグラウンド中央のスクラムからボールを動かし、ループも交えて相手ディフェンスを崩し、南アフリカ代表FBのウィリー・ルルーがゴールへ走り切った。
後半、密集のなかで相手選手を蹴ったHondaの選手にレッドカードが出て一発退場となり、数的有利となったトヨタは、さらに3トライを追加。堅守も最後まで続け、快勝となった。
第2節で黒星を喫したヤマハ発動機ジュビロは、東京・秩父宮ラグビー場でNECグリーンロケッツと対戦し、59-31で勝利。2勝1敗(総勝点11)となった。NECは3連敗(総勝点0)。
開始早々、NECに先制トライを許したヤマハだったが、4分、WTBマロ・ツイタマが相手キックをチャージしてトライを奪い、流れを変えた。
そして19分、敵陣深くに入って連続で攻撃したヤマハに対し、NECの選手が故意にボールをはたき落としたと判断され、川原佑レフリーはペナルティトライを宣告。NECにイエローカードが出て数的有利となったヤマハは、23分にもラインアウトからモールでゴールに迫り、ギリギリで止められたが、HO江口晃平が突っ込み5点を追加した。
33分にはプレッシャーをかけられたNECがパスをつなげず、こぼれ球を拾ったヤマハのFB五郎丸歩がゴールへ駆け抜けた。現役最後のシーズンになることを表明し、今季初登場となった五郎丸は、厳しい角度からのコンバージョンも決め、貴重な2点を追加。
追いかけるNECは、37分にFB吉廣広征が抜けてWTB宮島裕之につなぎ得点、40分にはSH中嶋大希がブラインドサイドを突いてPR瀧澤直のトライを演出し、7点差まで詰めた。
しかし、ヤマハは後半開始まもなく、キックチャージでチャンスとなり、連続攻撃をLOヘル ウヴェがフィニッシュ。49分(後半9分)には敵陣10メートルライン付近で相手のラインアウト失敗から攻めに転じ、FB五郎丸からオフロードパスをもらったWTBツイタマが抜け、そのまま走り切った。
ヤマハは52分にもツイタマのラインブレイクからチャンスとなり、左外にいたHO江口か力走で点差を拡大。69分にはラインアウトからモールで押し込み、その後、NECに連続トライを許しが、最後はヤマハのCTBヴィリアミ・タヒトゥアがフィニッシャーとなって締めくくった。
そして、震災から10年となる被災地・岩手の釜石鵜住居復興スタジアムでは、東芝ブレイブルーパスと三菱重工相模原ダイナボアーズが対戦し、58-7で東芝が勝った。東芝は今季初勝利。
PGで先制した東芝は前半12分、ゴール前の連続攻撃からCTBセタ・タマニバルが最初のトライゲッターとなった。20分には自陣深くでのターンオーバーからSH高橋昴平が独走。東芝は25分にも攻め込み、CTBタマニバルからオフロードパスをもらったWTBジョネ・ナイカブラがインゴールに持ち込んだ。36分にはLO小瀧尚弘がトライゲッターとなり、29-0で折り返した。
後半も先に得点したのは東芝で、44分(後半4分)、敵陣中盤のスクラムでFWがプレッシャーをかけたあと、ボールをもらったSOジャック・ストラトンが走り抜け、点差を拡大。
三菱重工相模原は50分にCTBマット・ヴァエガがタックルを2つかわしてゴールラインを割り、1トライを奪い返したが、これが精いっぱい。
東芝はその後4トライを追加し、東北のファンとともに今季初勝利を喜んだ。
両チームとも1勝2敗となり、トライ量産でボーナスポイントも獲得した東芝が総勝点を6に伸ばした一方、三菱重工相模原は総勝点4のままとなった。