ラグビーリパブリック

ワールドカップ直前の代表落選から。三浦昌悟は「しっかりした精度でプレーを」。

2021.02.26

2月20日の東芝戦勝利に貢献したトヨタ自動車の三浦昌悟(撮影:早浪章弘)


 日本国民が外出を著しく制限されていた2020年の春頃、トヨタ自動車のプロラグビーマンである三浦昌悟は同僚の姫野和樹と走り込んだ。

 後にニュージーランドのハイランダーズへ加わる姫野は、2017年から参加する日本代表でも有数のスタミナを誇るFW第3列だ。FW第1列の左PRを主戦場とする三浦は、「ポジションは違えど、いい吸収ができたと思います」。2019年ワールドカップ日本大会で大活躍した1学年上の先輩は、とにかく必死だったという。

 自身も代表に定着したい。2023年のワールドカップフランス大会に向け、まずは地に足をつける。

「いまはトヨタ自動車で100パーセントのパフォーマンスを出すのが最善。一つひとつのプレーのディテールを詰めて発揮できるようにする。それがいいアピールにつながると思います」

 身長180センチ、体重113キロの25歳。強靭さが際立つ。

 金足西少年ラグビースクール、秋田北中を経て秋田工に入ると、3年時に20歳以下日本代表入り。東海大3年だった2016年には、若手中心の日本代表に選ばれアジアラグビーチャンピオンシップでテストマッチデビューを飾った。

 ワールドカップ日本大会が開かれる2019年にも、チャンスをつかみかけた。

 左PR勢に故障者が出たのを受け、6月の宮崎合宿へ追加招集される。7月には国際大会のパシフィックネーションズカップも経験した。8月下旬には、登録メンバー決定前最後の網走合宿へも加わる。

「僕が(代表に)呼ばれたのは結構、終盤だったので、常に崖っぷちの切羽詰まった状態。ただただ必死だったのがリアル(な気持ち)でした」

 最後はけがをしていた中島イシレリが戻るなど、左PR勢の顔ぶれは充実。若き三浦は結局、31名の最終スコッドからは外れることとなった。

 やがて日本代表が本番で8強入り。国中にラグビーブームが巻き起こる季節を、青年は「複雑」な思いで過ごすのだった。

「日本大会でラグビーが盛り上がったのは選手やスタッフのおかげで嬉しかったのですが、もっともっとアピールできていたら、あの場に自分もプレーヤーとして立てていたのかな…と思うと、悔しい部分もあって…」

 寡黙な戦士はかくして、自分に厳しくなった。あの日の落選を「いままでの自分の甘さを見直すチャンス」と捉え、タフなプレー選択を心掛ける。

「ワンプレー、ワンプレー、身体を張ってしっかりした精度で臨まないとアピールにもつながらないですし、日本代表として戦えるレベルにならない」

 いまのトップリーグで動きの「ディテール」を重視し激しく戦うことで、今春以降の代表参加を実現させたい。28日はユアテックスタジアム仙台で、NTTコムとの第2節に挑む。

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