堅守を披露した。
日本代表34キャップ(代表戦出場数)の稲垣啓太は、手応えをつかんだ。
「僕が出ていたのは前半だけなので前半の話をします。風が強いなか、風上に立った。クボタは案の定、キックを蹴らずアタックをしてきた分、我々のディフェンスの時間が長くなりました。ただ、ディフェンスに関してはいいイメージがありました。いくつか修正点はありますが、そこの部分での判断を間違えなければいい方向に持って行けると考えています」
2月11日、埼玉県内でクボタとの練習試合を終え、複数のメディアによる電話取材に応じる。
40分、40分、20分と計3本、組まれたゲームのトータルスコアは33-41と相手に軍配が上がったものの、お互いが主力候補を出し合った最初の40分は14-7とパナソニックがリードした。強風のもと、持ち前の堅守で光った。
左PRで先発した稲垣自身も、存分に良さを示した。
自軍ラインアウトの後列から味方の展開を追い、ひとつ目の接点を援護する。迫りくる相手を受け止め、押し返してはすぐに防御網の穴を埋める。相手が組んだモールへも、低い姿勢で肩を差し込んだ。
子細に振り返る。
「選手は各々、自信を感じていると思います。ディフェンスの修正点があるとすれば…。今日は相手を押し戻すダブルタックルが印象的だったと思いますが、そのダブルタックルで相手を押し戻すだけで終わってしまっていたんですね。2人とも低い位置でタックルへ入り、ボールへの働きかけができなかった。だから、ディフェンスでゲインラインを押し上げているにもかかわらず、相手が攻撃を継続できた…というところですね」
対するクボタも海外勢の圧力をアピール。南アフリカ代表33キャップでHOのマルコム・マークスは要所でのジャッカルが冴え、日本代表8キャップでFLのピーター“ラピース”・ラブスカフニ、南アフリカ出身でLOのデーヴィッド・ブルブリングは、グラウンドの端側から中央へ折り返すパナソニックの攻めを腕力で跳ね返した。
激しい衝突の繰り返しを経て、稲垣は予定より約1か月遅れたトップリーグの開幕を見据える。
「開幕延期は僕らのコントロールできる部分ではない。個人的な身体の準備に関しては、約1か月延びたことでさらにパフォーマンスを上げられた。きょうは久しぶりに高いコンタクトレベル(の練習試合)でしたが、いい感触でした。あれだけディフェンスでゲインラインを押し上げられた。ここにディテールが加われば、もっといいディフェンスができる」
20日、パナソニックは東京・秩父宮ラグビー場でリコーと、クボタは千葉・中台運動公園陸上競技場で宗像サニックスとそれぞれぶつかる。