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ラグマガで振り返る。トップリーグはこうして始まった(1)-日本リーグ構想-

2021.02.09

トップリーグ初年度のジャージー。写真は神戸製鋼CTB元木由記雄(撮影:桜井ひとし)

 18シーズン続いたトップリーグは2月20日に開幕するトップリーグ2021で幕を下ろす。2003年から始まったトップリーグ。その始まりをラグビーマガジン掲載の記事から振り返りたい。それまでは東日本リーグ、関西リーグ、西日本リーグに分かれ、それぞれの上位チームが全国社会人大会で日本一を争っていた。その3つのリーグを統合する動きが初めて明るみになったのは、ラグビーマガジンでは2002年の6月号だった。

ラグビーマガジン2002年6月号掲載
文◎田村一博

日本リーグ構想明らかに
「2003年度スタートを」の声も強く。

 「日本ラグビーが世界と伍していくための第一歩」と、早くから日本代表強化委員会やトップチーム、トッププレーヤー、ファンが声高に叫んでいた 『日本リーグ構想』の輪郭が、やっとはっきりしてきた。プロジェクト推進についての真下氏のコメントが4月10日に新聞報道されたのに続き、12日には具体的なプランも紙面に。4月11日、関東協会所属の主要社会人チームに対してガイダンスが行われたことで、詳細が明らかになった。

 以下に、新聞紙上で示された具体案を記す。

①開始=2004年9月
②参加チーム=12チーム。上位チームがプレーオフを戦い、チャンピオンを決める。
③概要=12チームが総当たりで戦う。続いて、上位8チームが翌年1月のプレーオフに進出、トーナメント戦を戦う。プレーオフにはスポンサーを付けて冠大会とする。試合は東京、大阪、福岡など大都市中心で行い、軌道に乗り次第、普及を目的に地方でも開催する。
④参加チームの決定=2003年度シーズンの成績によって決める。
A=東日本リーグ、関西リーグ、西日本リーグの優勝チーム
B=全国社会人大会の8強
C=A&Bで12チームに不足するぶんは、2003年終了後に各リーグ次点チーム同士でリーグ戦を開催し選考する。

 日本リーグで下位に終わったチームは、関東、関西、九州の3地域に置く下部リーグの上位と自動的に入れ替わる。

 ほぼこの通りのスキームでプロジェクトは推進されるが、日本協会強化委員会企画・総務担当、東健太郎氏によると、「開始年度は2004年度に決定ではなく、2004年までに開始するということが、これまでに決まっている事項。実際は2003年度のスタートに向け急ピッチで各方面への説明、調整をしているところ」という。また、チーム数は10~12の幅を持って考えているのが現実だ。

 「2004年度までに開催」は、3月の日本協会理事会で確認されている。その後、関東、関西、九州各協会所属の主要チームに対し概要の説明、ヒアリング、運営方法の詰め、協力要請を行い、4月12日の同協会理事会を通して開始年度および概要の正式発表を行う予定だったが、4月11日に開催した関東協会以外は関西(4/15)、九州(4/25)と4月理事会までに間に合わず、それにともない、発表は5月にずれ込むことになった。

 大差がつく試合が続出していた近年の各リーグ。「クロスゲームこそ特効薬」と、強化面、興行としての側面を睨んでも、真のトップリーグ編成は歓迎される。これまで、リーグが違う強豪同士の真剣勝負は全国大会での組み合わせによって実現するか否かが決まり、場合によっては実力が近い強豪同士が数年対戦する機会に恵まれないケースもあった。そんな歯がゆい状況は解消される。

 クロスゲームがシーズン終盤にのみ集中する現状に、もっとも不安も不満も感じているのは実際にピッチに立っているチーム、プレーヤーサイドだ。「閑古鳥鳴くスタジアムで、何十点もの差がつく試合を戦うなんて、選手たちがかわいそう」とは、ことあるごとに耳にしてきた各チームスタッフのつぶやき。関東協会対象のガイダンスでも、サントリー、NEC、クボタの関係者がリーダーシップをとって、「1年でも早く実現を」と2003年スタートの是非を唱えたという。

 日本リーグ構想にはこれまで、「トップ10~12から外れたチームが休部、廃部の道をたどるのではないか…」とのネガティブな視点がつきまとってきたがガイダンスでは、発足当時に当落線上、あるいは下部リーグが予想されるチーム自身の担当者から「この世の中で、会社側にラグビー部への支援を要請するには、魅力的なリーグの存在をプレゼンするしかない。最初は(トップリーグから)漏れても、そこへ挑戦できる道がしっかり残されるなら会社側にも納得してもらえると思う。3年、5年のうちに…と説得し、努力するのが我々がやるべきこと」との意見も出たという。やるのなら1年でも早く――は、上昇チームに限られた願いではない事実も浮かんだ。

 その下部リーグからの道だが、例えば2003年度からのスタートの場合、翌’04年は、前述の通り’03年度の下位チームが、関東、関西、九州の3地域に置く下部の上位チームと自動的に入れ替わることが予定されているが、以後は、真のトップ10~12チームをピックアップするため、下部の各地域上位数チーム同士でトップ4を決めた末にトップリーグ下部との自動的入れ替わりとする予定だ。事実上、地域性が考慮されなくなるため「うちの地域からトップリーグチームがなくなる…」と不安を抱える協会もあるが、あくまで昇格の道は残されること、そしてトップリーグを立ち上げることによってのテレビ放映などが増え、これまで以上にファンへの露出が盛んになることで地盤沈下などのマイナス面はない――と、日本協会側は考える。

 広域にわたる対戦チームを考えると、移動費の増加など、これまで以上に各チームへの負担も増えそうだが、これは日本協会が負担する。「スポンサー収入、入場料収入、放映権収入で十分にまかなえる」との見通しで、関係者によると「各プレーヤーには、リーグからインセンティブの報酬を発生させることも実現できそうだ」という。

 正式な発表は5月中旬。それまでに、細部をつめていく作業が急ピッチで進められる。

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