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「ガオーッ」。モーニングベアーズが関東制す。全国女子大会へ。

2021.02.08

決勝の最優秀選手(MIP)に選ばれたモーニングベアーズのWTB谷口令子。(撮影/松本かおり)

優勝の記念写真でかわいらしくガオーッ。(撮影/松本かおり)



 公家明日香キャプテンが発する「モーニング!」の言葉に、全員が「ガオーッ」とポーズを撮った。
 第31回関東女子ラグビー大会(OTOWAカップ/15人制)で優勝した『Morning Bears』(以下、モーニングベアーズ)だ。
 2月7日、熊谷ラグビー場Bで同大会の決勝がおこなわれ、25-20と『YOKOHAMA TKM 山九フェニックス』(以下、TKMフェニックス)を破った。

 モーニングベアーズは、自衛隊体育学校(PTS)とアルカス熊谷の合同チーム。それぞれの本拠地、朝霞の「朝」と熊谷の「熊」からネーミングされた。
 普段は別々に活動しているため、ワンチームになるのは簡単ではなかった。しかし、その壁を乗り越えて頂点に立った。

 TKMフェニックスの防御も鋭く、膠着状態が続いた序盤。先制点は前半28分まで待たねばならなかった。
 最初にインゴールに入ったのはモーニングベアーズ。敵陣へ蹴り込んだキックをチェイス。インゴールで抑えた。インジャリータイムに入ってからも展開し、追加のトライ。失点をPGの3点だけに抑えて最初の40分を10-3とリードした。

 強風が吹いた後半。モーニングベアーズは効果的に得点を重ねた。
 開始5分、PGで加点して13-3とする。その7分後には、前半22分からピッチに立ち、巧みにゲームをコントロールしていたSO今釘小町が輝いた。敵陣深くで防御裏にショートパントを挙げる。それを自ら受け、トライを決めた(FB平山愛のゴールも決まり20-3)。

 TKMフェニックスも粘った。FWが声を掛け合って結束する。27分にモールでトライラインを越え、差を詰めた。
 しかしモーニングベアーズは、32分にまたも貴重なトライを得る。輝いたのはWTB谷口令子(のりこ)だ。自ら敵陣に攻め入ってチャンスを作ると、継続された攻撃でラストパスを受けてインゴールに走り込む。25-8として試合を決めた。
 残り時間でTKMフェニックスも2トライを返す意地を見せたが、ラストシーンはグリーンのジャージーの笑顔だった。

 チームをまとめた公家主将は、「限られた時間の中でコミュニケーションをとるのが難しかったが、次第にチーム力が上がっていった」と笑顔を見せた。
 決勝の最優秀選手に選ばれたWTB谷口も「試合、練習を重ねて行く中で、合同チームでないようなひとつのチームになれた」と主将の言葉に同意した。

 表彰式後にグラウンドで開かれた会見には、モーニングベアーズの指揮をとる武田達也ヘッドコーチ、公家主将、谷口、BKの大会MVP・平山と、FWの大会MVP・鈴木実沙紀(TKMフェニックス)が参加した。その全員が、発言の最初に感謝の気持ちを発したのが印象的だった。
 各地での試合、大会が中止となる中、多くの協力者を得て大会実施に漕ぎ着け、ウイルス感染防止策を徹底。スタッフ、選手の尽力と強い意志のお陰で最後までやり切った。

 モーニングベアーズは2月21日にパロマ瑞穂ラグビー場(名古屋)で開催される第7回全国女子ラグビー選手権大会で関西代表(関西協会推薦)の三重パールズと顔を合わせる。
 関東大会で出会った人たちの思いを背負って戦い、日本一をつかみたい。

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