東京オリンピックまであと半年。自国開催大会でメダル獲得を目指す7人制ラグビー(セブンズ)の男子日本代表候補選手たちはいま、東京都府中市で強化合宿をおこなっている。キャプテン経験もある小澤大が1月30日、オンラインでの合同取材に応じた。
新型コロナウイルスが世界的に感染拡大しており、本来、オリンピックへ向けて貴重な強化の場になるはずだったワールドセブンズシリーズは昨年3月のバンクーバー(カナダ)大会を最後に中断したままだ。先行きは不透明で、男子セブンズ日本代表が立てたプランも変更を余儀なくされた。
「コロナがなければ、いまの時期だったらワールドシリーズをまわれていたと思います」
そう話す小澤だが、現在、それは厳しい状況だと理解している。
「正直な気持ちは、海外に行って自分たちよりレベルが上のチームと試合をしたいのですが、現状はそれができないので、日々の練習から世界に目を向けて取り組んでいます」
今回の合宿には、第三次オリンピックスコッド以外に、将来、代表選出の可能性がある若い選手も参加している。古賀由教や小西泰聖(ともに早稲田大学)、植村陽彦(筑波大学)のほか、外国出身の選手も多く招集されており、ゲーム形式の練習などで貴重な相手になっているとのことだ。
オリンピックでのメダル獲得へ向け、チームとしての課題はまだまだあるが、強化してきたディフェンスについて小澤は手ごたえを感じているという。
「粘り強く、ポジティブなディフェンスができていると思います。これまでは、飛び込んでタックルしてしまうことが多く、簡単に抜かれてしまうことがありましたが、今日の試合では、飛び込まずにしっかり体を当てに行って、外されても次の人がサポートしてくれたりしていました。“足が死なないタックル”とか、そういうのは生きてきているのかなと思います。いままではレッグドライブがなくて足が死んでいたこともありましたが、レッグドライブもできるようになっているので、ポジティブに感じています」
でも、それが世界でどれだけ通用するのかはわからない。チーム内の外国人選手相手だけではなく、レベルが高い他国のチームと実際に試合をしてみて、どこまで通用するのかいまの段階で試してみたいというのが小澤らチームジャパンの本音だ。
「そうすれば、足りない部分など見えてくると思うので、試合があれば、もっと次のステップに行けるのかなというのが正直な感想です」
それでも、いまの環境で工夫しながらやるしかない。
今夏予定の東京オリンピックは、コロナ禍の収束がまだ見えず、開催を懸念する声が出ているが、それは自分たちがコントロールできることではない、と小澤の気持ちははっきりしている。
「自分たちはオリンピックが開催されるというのを信じて活動をおこなっています。感染対策はずっと徹底していて、自分たちのチームからはコロナの陽性者は出ていないし、チームの活動が止まっていないのはすごくいいことだと思っています。自分たちは開催されるという思いで日々過ごしています」
今年5月で32歳になる小澤にとって、オリンピック挑戦は今回が最後になるかもしれない。
2016年のリオデジャネイロオリンピックには出場していない。
「リオで落選して、悔しい思いをしました」
トヨタ自動車ヴェルブリッツ所属だが、2018年から日本ラグビー協会と男子7人制日本代表チーム専任選手契約を結び、活動拠点は愛知から東京に移し、オリンピックを目指して努力を重ねてきた。仲間たちと切磋琢磨しながら、夢舞台へのメンバー入りをかけて必死だ。
「覚悟を持ってやっています」
自分が出場して、オリンピックでメダルを獲る。その日が来ることをイメージしながら、彼らアスリートたちは前を向いている。