新型コロナウイルス感染症の検査で6チームから計68人の陽性者が出たため、当初のプランから変更になった「ジャパンラグビー トップリーグ2021」だが、開幕を2月20日に再設定し、準備が進められている。
1月23日には日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事とトップリーグの太田治チェアマンがオンラインで会見をおこない、現状報告や感染予防対策、開幕に向けてのポイントなどを説明した。
岩渕専務理事によれば、陽性者は68人から増えておらず(会見時点)、そのうちの29人は日常生活ないしは練習に復帰しているとのこと。残りの陽性者のほとんども、あと一週間で同様に復帰する見通しが確認できたという。
「開幕延期に至った大きなポイントとしては、濃厚接触者認定に時間がかかり、ラグビー活動に影響が出たということもある。今後は、感染者の数を最小限に抑えるため、いままでのガイドラインをより厳格化する必要がある。感染者を早期発見し、濃厚接触者がいる場合は、保健所も含めて連携をしながら、判定を少しでも早くできるような状況をラグビー界としてつくる必要があると思っている」(岩渕専務理事)
12月、1月に検査をし、各チームや保健所などの聞き取りをしたなかで、これまで、ラグビー活動による感染は認められていないという。そのため、岩渕専務理事は「ラグビー以外の日常生活が大きなポイントになる」とし、各チームと協力しながら、選手やスタッフの行動管理も徹底していく考えを明らかにした。
太田チェアマンによれば、感染者が確認されたチームのなかには、ガイドラインを何度も見直して効果を上げているところがあり、練習場と自宅間しか移動しないよう求め、会食や飲食に出かけるのを制限するなど厳しく取り組んでいるチームもあるという。
トップリーグとしても各チームの知見を共有していくが、ガイドラインの違反者に対して罰則を設ける考えはないとのこと。
「厳格化のなかで行動制限はあるが、プライベートなところもあるので、慎重にチームや選手のみなさんともある程度合意しなければいけないと思っている。基本的にペナルティは考えていない」(太田チェアマン)
そのほかの対策としては、2週間に一度としていたPCR検査の回数も増やす方針だ。また、リーグ指定のアプリの導入を推進し、体調管理や行動チェックをしていくことも考えているという。
2月20日に開幕を延期したが、開催できるかできないかの第1次判断について、岩渕専務理事は3週間前(1月末)の状況が大きなポイントになると語った。
「感染の状況がそのタイミングでもう一度はっきりし、そのあと、チームが濃厚接触者を割り出し、かつ、トレーニングができるのかできないのかという問題も考えると、3週間は必要だろうと思っている。第1の判断のタイミングとしては来週。そこがひとつ大きなポイントになる。いまは開幕まで4週間前だが、現時点では十分、2月20日にできると思っている」
当然、開幕前3週間を過ぎてから状況が変わる可能性はあり、試合をおこなうかどうかの最終的な判断は直前となる。再び陽性者が出た場合、また開幕を延期するということではなく、中止せざるを得ない試合が出た場合はその試合を中止し、大会成立要件となる75%以上の試合開催を目指す。
岩渕専務理事は、「とにかくすべての関係者の安全・安心を担保しながら大会を成立させるということが大きなポイントとなる。そこへ向けてしっかりと進めていきたい」と改めて強調し、太田チェアマンは「日本を元気にしたいという思いで、『FOR ALL』を目指して頑張っていく」と語った。