ラグビーリパブリック

1985、大学決勝で幻のトライ。主将の松永さんが誓う「大逆転」

2021.01.22

これが「幻のトライ!!逆転への気持ちパネル」(写真提供:ヒーローズ)

 感染拡大状況下のラグビーキッズを応援したい!

◆高校も大学もタイガージャージー。大阪・天王寺高校の懐かしいジャージーを出品する松永さん

 小学生のためのラグビー全国大会「ヒーローズカップ」事務局では「ラグビーヒーローズ チャリティオークション」を立ち上げた。これはラグビーをプレーする小学生たちを応援する現役トップリーガー、レジェンドOBたちが思い出のアイテムを出品するもので、12月25日から1月10日まで展開された。集まったチャリティ資金は、大会出場チームの遠征費などの支援に充てられる(大会は延期に)。
 
 出品者はアーティストの尾中哲さんから2019日本代表メンバーら多くの選手まで多士済々なのだが、ラグリパ編集部の注目は、元日本代表の松永敏宏さんだ。

 数えきれないほどの松永さんの出品アイテム。日本代表として遠征したフランス行から持ち帰ったジャージーや遠征ジャケットなど貴重な品々が落札されているが、中でも目を引くのはタイガージャージーだ。出身校の天王寺高校の黒と黄の段柄ジャージーを手にして笑顔。これほどの寄付をする理由については、「多くの方が子供たちのために動いている中、何もお手伝い出来なくて申し訳ない気持ちでいっぱいでした。少しでもお役に立ちたいという思いです」(松永さん)

 

「天王寺高校は、私の原点。良い恩師、先輩、同期、そして後輩に恵まれた3年間でした。天王寺高校のラグビーが無かったら、慶應にも行けませんでした。ちなみに弊社(株式会社FMI)のロゴも、天王寺高校の校章、六芒星の中の天という文字をFMIと代えて作成したもの」

 そして、慶應、松永さんといえば、コアファンにとってはあの試合、あの光景。

 松永さんが主将を務めた慶應大学は1984年度 大学選手権決勝・同志社戦での「幻のトライ」と呼ばれるプレーを残している。

 この試合で平尾誠二(故人)率いる同志社は3連覇を飾ったのだが、ノーサイド直前に、歴史的な「幻のトライ」があった。慶應は1トライ差を追う終盤に会心のプレー。松永からフルバックの村井大次郎にパスが渡り、村井がそのままインゴールに飛び込んで同点トライになった、かに思われた。が、レフリーはスローフォワードの判定を下した。慶應はもちろんその判定を受け入れ残り時間もベスト尽くした。

 松永さんは多くのアイテムと合わせ「幻のトライ!!逆転への気持ちパネル」を出品。次のような思いを綴っている。

「あの瞬間の写真パネルです。これを見て、最後は大逆転してやるぞ、と思い続け、今まで頑張ってきましたし、これからも頑張り続けます」

 1985年1月の大学決勝は、同志社3連覇の偉業とともに、ラグビーマンたちのスピリットが表れたシーンとしても記憶されている。

 松永さんは現在、空気の除菌・消臭システムを提供する会社を経営、感染拡大の広がる中、まさに重要な分野で奮闘している。

天王寺高校のジャージーは手触りが伝わってきそうな布製、長袖。思いを込め出品した(写真提供:ヒーローズ)