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ラストゲームで勝つ。早大・丸尾崇真主将、「すべてはこの日のために」

2021.01.11

全力で勝利をつかみにいく丸尾崇真主将。(撮影/松本かおり)


 すべての準備をやり切った。澄み切った表情だった。
 1月10日、上井草グラウンドで大学選手権決勝前日の練習を終えた丸尾崇真主将は、「いい意味で落ち着いています」と話した。

「チームにも自分にも迷いはありません。ここから急にスキルや技術的なことがうまくなることはないけど、戦う気持ちはいくらでも上げられるし、いくらでも作れる。明日までそれを続け、国立(競技場)に行きたいですね」
 天理大との頂上決戦(1月11日/13時15分開始)に向け、覚悟を決めた。

 最上級生としてのラストゲーム。さらに丸尾自身は、トップリーグなどでプレーは続けない。海外を視野に進学を考えているから、第一線でのプレーは連覇のかかった80分が最後になる。
「優勝して終わりたいですね。ここでやってきたこと、辛かったことなど、すべては(明日の)決勝で勝つためでした」
 ただ、大量の汗をこぼしてきた芝の上での最後の練習を終えても想い出に浸るつもりはない。「明日の試合が終わるまで突っ走る」と言った。

 例年なら最後の練習の前に全部員の前で決戦への決意表明をおこない、出場メンバーでコンビネーションを繰り返す。そして最後に、相手チームのジャージーを着せたタックルダミーに突き刺さる。
 しかし今年はコロナ禍の影響での感染リスクを抑えるため、最後の練習を見つめたのは4年生だけ。代わりに、午後に実施される部内マッチが終わった後、決意表明をおこなう流れになった。

 全員の前で燃えたぎる気持ちを吐露する機会はなくなったが、自身の思いはプレーで伝えようと思っている。
 準決勝で明大を破り、ファイナリストとなった天理大に対し、チャレンジャーの気持ちで挑む。

「勢いがあるチーム(が相手)。何回でも、しぶとく、粘り強く立ち向かえるか、戦い続けられるか。そこがカギだと思っています。何回でも挑むことを忘れずに、試合に臨みます」

 人混みを避けるため、正月三ヶ日が明けた1月4日、4年生たちと近くの神社に行った。
 丸尾は毎試合の朝、ひとりで神社に向かい、心を落ち着かせてからスタジアムに向かう。そんなルーティンもこれが最後だ。

『BATTLE』をチームスローガンに掲げ、コロナ禍の中でもチーム内競争を高めた今季。その結果たどりついた決戦の舞台を前に、キャプテンの頭の中には勝利しかない。

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