2連覇の立役者である。
2021年1月9日、大阪は東大阪市花園ラグビー場。桐蔭学園の青木恵斗は、全国高校ラグビー大会の決勝へ先発出場を果たす。
身長187センチ、体重110キロの3年生LOは、この日も屈強な身体と手先の器用さを披露。初めてファイナリストとなった京都成章を32-15で下した。2年連続通算3度目の日本一に輝く。
いずれの大会でも、青木は5番のレギュラーだった。ラストマッチを振り返る。
「試合中から笑顔が止まらなかった。自分たちの代で優勝できたのは、いままでで一番嬉しかったです」
ピンチをチャンスに変えた。
3点差を追う前半15分頃、自陣ゴール前左で相手ランナーの持つ球へ絡む。反則を誘い、追加点を防ぐ。
「あそこで(点を)取られたらまずいという気持ちがあった。どこかの隙があったら、ジャッカルを狙う。それが、あそこの場面だった」
かくして敵陣10メートル線付近左でラインアウトを獲得。まもなく、短いパス交換で大きく突破した。最後は敵陣ゴール前左中間のスクラムからラックを連取し、青木がトライラインを大きくまたいだ。
直後のゴールキック成功で7-3。
以後、一度もリードを許さなかった。
「自分が流れを作らなきゃいけない。あれはあそこでトライが取れてよかった」
桐蔭学園は前半こそ10-10と同点で終えるも、後半開始早々に自陣から球を回して17-10と勝ち越した。終盤戦はほぼペースをつかんだ。
その流れを青木は「前半は風下。厳しくなるのは予定通りだったので、ミーティングで話し合った通り、後半から差をつけることができた」と解説する。
後半5分には、敵陣ゴール前左で自ら魅する。パスをもらうや相手タックラーへまっすぐ衝突。音を鳴らす。そのままWTBの今野椋平へラストパスを送り、22-10と点差を広げた。
それを前後して幾度か守勢に回ったが、「ラグビーの一番(の見どころ)はコンタクト。あそこでバチバチやり合う。それが自陣だろうが敵陣だろうが」と身体をぶつけた。点差が離れてからも堅陣を敷き、こう述べた。
「自分たちからディフェンスをしてマイボールにして、いかに相手をロースコアに抑えるかを意識してきた。集中力を切らさずにできた」
試合後は仲間と喜びを分かち合いながら、対戦した同学年の本橋拓馬と抱擁した。
「お互い大学が一緒なので、今度は大学で一緒に頑張ろうって」
2人は春から帝京大で切磋琢磨する。
目指す選手像を聞かれ、青木は「コンタクトだけじゃ通用しないってわかっている」とシビアに回答する。
「パス、オフロード、タックル、ボールキャリー(突進)と、バランスのいい選手になりたいです」
将来をクレバーに見据える。
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