ラグビーリパブリック

帝京大に頼れる3番が帰ってきた。細木康太郎は「優勝したい」と決意。

2020.12.31

大学日本一奪還に燃える帝京大の細木康太郎(撮影:松本かおり)


 役者が戻った。

 加盟する関東大学対抗戦Aで4位に終わった帝京大にあって、シーズン序盤に故障の細木康太郎が復帰した。

 12月19日、大阪・東大阪市花園ラグビー場。大学選手権の準々決勝に背番号3で先発。最前列でビッグスクラムを披露して叫ぶシーンに、生来のらしさをにじませた。

 試合は東海大に14-8で勝利。2021年1月2日には、東京・秩父宮ラグビー場での準決勝に挑む。9連覇した2017年度以来の優勝へ、対抗戦2位の早大に挑む。

 思い起こされるのは、対抗戦開幕前に本人が語った言葉だ。

「試合をやらないと試合の感覚はつかめない。けがをせずに、きちんとルール、プレー(の原則)を守って、ラグビーを楽しむ。最初は久しぶりで難しい部分もあると思うんですけど、まずはラグビーが久しぶりにできるのを楽しみたいです」

 身長178センチ、体重115キロ。中1で横浜ラグビースクールに通い始め、神奈川・桐蔭学園高時代は高校日本代表入り。スクラムに加え、パワフルな突進と仕事量を長所とする。

 今春は社会情勢の変化で自粛を強いられたが、実家で「ダンベル、懸垂のラック、ベンチ(プレスの)台」を購入。身体を鍛え、走り込んだ。

「僕は、ラグビーについては、忘れることはなかった。去年、僕が出ていた試合、スクラムの映像を観て、暇をつぶしていました。(昨季はやや苦しんだため)基本、負けている試合が多かった。だから同じ映像を観ても毎回、悔しいなと思っていて。フォーカスポイントにしていたスクラムも、まだまだだと実感しながら観ていました」

 瑞々しい視点と闘志を保ち、決意を固めた。

「自分はPR。セットプレーはしっかりと決める。ここ数年、帝京大のセットプレーが強力ではないと感じていて。今年は自分が上級生となったので、セットプレーを自分から引っ張る。帝京大の強みがセットプレーだと言えるようにしていきたいです」

 10月4日の対抗戦初戦では、後半6分に退いた(東京・帝京大グラウンド/対 日体大 〇 98-10)。故障のためだ。

 かねてけがに苦しみ、帝京大入り後に学んだことを聞かれれば「けがをしないため」の身体の使い方や体調管理術と応じていたもの。本人にとって痛かった長期離脱は、チームの歩調にも影響を与えたか。帝京大は対抗戦で早大、明大、慶大に屈し、前評判のよさを覆された。

 裏を返せば大学選手権では、対抗戦時と異なる顔を見せられる。早大には11月1日に29-45で敗れたが、今度の帝京大は当時とスターターを8名、入れ替える。

 前年度の大学選手権は3回戦で敗退した。2019年12月15日、埼玉・熊谷ラグビー場で流経大に39-43で屈してしまった。

 その日の細木の第一声は、「勝てる試合だったと思います」。自軍のミスが多かったゆえ、この言葉が口を突いた。自宅生活中にこの試合を振り返り、また同じように思った。

「でも、もう(過去には)戻れない。今年は、優勝したい」

 昨季の選手権3回戦の借りは、今季の選手権決勝で返すつもりだ。

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