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第100回まであと5日! 決勝再現⑥第95回・東海大仰星37-31桐蔭学園

2020.12.22

東海大F L眞野は前半に2トライを決めて試合の流れを引き寄せた(撮影:BBM)

ひたむきさで勝つ

 節目の記念大会となった2016年度の第95回大会は、関東、近畿、中国、九州のブロック代表4校が増枠され、例年の51校から55校へと参加校数を拡大して開催された。シードも従来のA(3)、B(10)13校から、同格の9校へと縮小。本来シードされてもおかしくない学校がノーシードになったことで、1回戦から好カードが続出した。

◆桐蔭学園のLO高橋広大に東海大仰星は3人がかりのタックルで仕留めにいく

緊張感ある攻防を制す

 2年前と同じ顔合わせとなった決勝。いずれもファイナルの経験が豊富で(ともに5回目)、明確な戦術、戦略とそれを遂行する地力を持つチームだけに、試合は開始直後から緊張感ある攻防が続いた。

 開始3分に東海大仰星がゴール前のFW戦から先制トライを挙げるも、12分に桐蔭学園がPGを返し、以降は一進一退の展開に。20分、24分と桐蔭学園が御家芸の連続攻撃でトライを重ね17-12と逆転したが、東海大仰星も29分にゴール前スクラムからデザインされたアタックでFL眞野がインゴールへ。19-17としてハーフタイムを迎える。

 ほぼ互角の戦いから流れを変えたのは、東海大仰星の対応力だった。「桐蔭学園の防御は横の動きに弱い」と感じたSO岸岡は、FWで3トライを奪った前半の組み立てから一転、後半はBK勝負へとシフトする。

 この読みはズバリ当たった。3分、ラインアウトを起点にBKがサインプレーを仕掛け、WTB中孝祐がフィニッシュ。11分、20分とPGを追加して15点差までリードを広げると、桐蔭学園に1トライを返された直後の28分にもBKラインで外のスペースを攻略し、WTB中が勝利を大きくたぐり寄せるトライを挙げる。終了間際の桐蔭学園PR石田楽人のトライで6点差まで詰め寄られたものの、直後にフルタイムを迎えた。湯浅大智監督は就任3年目で2回目の花園優勝、また高校3冠は昨年の東福岡に続き2校目となった。

 この年の東海大仰星、桐蔭学園はいずれも入学当初「谷間の世代」と呼ばれていたが、3年間かけて地道に力をつけ、ファイナルの舞台に立った。湯浅大智監督と藤原秀之監督が異口同音で語ったように、それぞれにとって今後のチームづくりの指針を示すシーズンとなった。

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桐蔭学園のLO高橋広大に東海大仰星は3人がかりのタックルで仕留めにいく
桐蔭学園のPR石田楽人は3トライを決めて強さを見せた(撮影:BBM)
東海大仰星は全員ラグビーで2年ぶり4回目の優勝(撮影:BBM)