湯浅新監督、就任1年目で優勝
2014年1月7日。新チーム結成当初から高い評価を受けてきた東西の横綱の顔合わせとなった決勝。
今季の対戦成績は1勝1敗で、全国選抜では東海大仰星が33-26と勝利したものの、夏合宿では桐蔭学園が38-26と攻め勝っている。今大会での勝ち上がりを比べても、ボールの転がり方ひとつで勝敗が決まる激戦になることが予想された。
◆東海大仰星CTB池田悠希が桐蔭のディフェンスに囲まれながらも突き進む(撮影:BBM)
そんな見込み通り、試合は壮絶な死闘となった。キックを完全に封印し、自陣深くからでも迷いなく連続攻撃を仕掛ける桐蔭学園。それに対し東海大仰星は、時にひとりに対して3人がかりでタックルに入るなど接点勝負にかけ、懸命に前進を阻止する。
開始直後に東海大仰星LO西野晃太が好判断で相手のパスをインターセプトし先制トライを挙げたが、以降は桐蔭学園が圧倒的にボールを支配。そして前半24分、自陣から15フェーズも攻撃を継続してついに強固な防御網をこじ開け、WTB山田雄大が右スミに飛び込む。しかし続く敵陣ゴール前でのチャンスは最後にミスが出て仕留め切れず。猛攻にさらされ続け消耗した東海大仰星の足が止まりかけていただけに、「99発までは打ち込んだけど、最後の一発が打てなかった」と藤原秀之監督が悔やんだ場面だった。
逆にこの危機をしのいだ東海大仰星は息を吹き返し、後半の立ち上がりにまたも鮮やかな集中力を発揮する。8分、BKのビッグゲインで敵陣深くまで攻め込み、ペナルティからの速攻でWTB河野翼がトライ。さらに11分には敵ボールのラックを押し込み、こぼれ球を拾ったLO西野が独走して一気にゴール前へ。LO永井達啓がラックサイドを抜け、リードを12点に広げた。
桐蔭学園も懸命に食い下がり、15分のFL佐々木嵩穂のトライで5点差に詰め寄る。残り15分は互いにフラフラになるほど死力を尽くす攻防が続いたが、最後は渾身のディフェンスでゴールラインを守り抜いた東海大仰星が、歓喜の拳を突き上げた。
初優勝を遂げた第79回大会の主将でもある湯浅大智監督にとっては、恩師である土井崇司前監督からタクトを受け継いで1年目での全国制覇となった。
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