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第100回まであと9日! 決勝再現②第91回・東福岡36-24東海大仰星

2020.12.18

力強い走りで突破を図る東福岡PR平野翔平(撮影:BBM)

自慢の攻撃力が爆発

 3月11日に起こった東日本大震災の影響で春の全国選抜大会が中止となり、勢力図が不透明なまま進んだ2011-2012シーズン。混戦を予想する声が多かった。終わってみれば、この年も東福岡の強さが際立つ大会となった。

 最大の関門となったのは、桐蔭学園との準々決勝だ。過去2年続けて決勝を戦った好敵手は、「ヒガシを倒すならここしかない」(藤原秀之監督)。それまでの大差試合から一気にレベルが上がり、自分たちはフレッシュな状態である準々決勝にターゲットを定めていた。

◆後半2分にトライを挙げるなど存在感を示した東福岡FB藤田慶和(現パナソニック:撮影BBM)

自陣からでも粘り強くボール キープし、守りの時間を減らす桐蔭学園の果敢なラグビーに東福岡は苦しみ、残り10分で19-21と逆転を許す。しかしここから底力を発揮し、後半20分以降に1トライ1ゴール1PGを挙げて勝利。チームは一気にまとまりと重厚感を増した。

 その成長力が如実に表れたのが、準決勝の常翔学園戦だった。序盤、ひたむきに体を当ててこの危機を切り抜けると、風上に回った後半に攻撃力が爆発。残り10分から3トライを重ねた。

 そして2012年1月7日、迎えた東海大仰星との決勝は、今季の集大成になった。

 前半4分、SH岩村昂太のPGで東福岡が先制。さらに直後の5分には、中盤のスクラムから仰星がラインアタックを仕掛けたところへ、WTB中野涼が吸い込まれるように走り込んでパスカット。そのまま60㍍を独走して、一気にリードを広げる。

 実はこの時、仰星が選択したのは、東福岡との練習試合で「ほぼ100㌫抜けたサインプレー」(土井崇司監督)だった。これに対し東福岡は、東川が猛然とプレッシャーをかけてパサーの余裕を奪い、空けておいたスペースへパスを放らせて、中野が好判断でインターセプトを決めたのだった。

 前半は22-5で折り返した。

 後半も先にスコアを刻んだのは東福岡。さらに16分には、自陣での左展開からFB藤田が突破し、WTB藤崎巧へとつないで試合を決定づけるトライをマーク。残り時間とスコアをふまえた試合運びでゲームを制御し続ける。これぞ王者の真骨頂というべき横綱相撲だった。

 この優勝で史上5校目(6回目)となる花園3連覇を達成した東福岡。2009年1月に始まった国内公式戦の無敗記録は80まで伸び、今大会の合計得点292は、2年前に同校が樹立した大会記録を更新する最多記録となった。

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史上最多292得点を挙げる爆発力で優勝旗を手にした東福岡(撮影:BBM)
史上最多292得点を挙げる爆発力で優勝旗を手にした東福岡(撮影:BBM