ラグビーリパブリック

流経大・中川彪流は「型にはまらないプレー」で天理大に挑む。

2020.12.18

前半30分のグラバーキック。「キックは有効的に使える」と狙っていた(撮影:松本かおり)

 全国大学選手権の3回戦が12月13日におこなわれた。流経大と筑波大の試合は19―19の引き分け。抽選の末、流経大が準々決勝進出を決めた。

「点数をつけるとしたら80…70から80点くらいですかね」

 その筑波戦で久しぶりに先発出場を果たしたのが、流経大のCTB中川彪流(たける)である。関東大学リーグ戦1部の開幕戦以来のスタメンだった。

「20点以上のマイナスポイントは、ディフェンスで何本か抜かれてしまったのと、アタックで大きくボールを動かすことがまだまだできていなかったので」

 内山達二監督が言うには「完璧主義者。自分に厳しいんです」。抜群のラグビーセンスで、1年時からAチームに入り、春季大会、リーグ戦でも先発出場を重ねた。1年時はSOでの出場が多かったが、その器用さからチーム事情でWTB、FB、CTBも任され、プレースキッカーを務めた試合もあった。

 だが、2年時からスタメン定着とはならなかった。もちろんSO柳田翔吾やCTB土居大吾、FB河野竣太ら後輩の台頭もあったが、ユーティリティBKだからこその悩みがそこにはあった。

「自分がいろんなポジションをできるので、できるけど1つのポジション、例えばセンターだったらセンターでスタートから出られるような実力がなかった。自分でもどこがいい(ポジションなの)かなとは、2年生でも3年生でも模索していて、コーチにも相談しました」

 もうひとつの課題は好不調の波だ。完璧主義者ゆえのメンタリティーが、自分を苦しめたのかもしれない。

「ちょっとうまくいかなかったことがあると、あとに響いたり、引きずったりしたことがありました。そこから崩れてしまうというのはあるかもしれないです」

 紆余曲折はあったが、今季は自分が戦うポジションもしっかり決めた。もちろんチーム事情で他のポジションでもプレーするけど、軸はぶらさない。だんだん波も少なくなってきた。内山監督は「4年生の意地と覚悟でしょう」と評価する。

「自分が一番活躍、いいプレーができるのは12番かなと。周りを使うプレーとか、スペースをしっかり使うプレーが得意なので。いまは一番しっくりきています」

 筑波大戦で任されたのは13番だったが、「どこのポジションでもやれることをやる」と奮起。序盤にはジャッカルで相手に傾きかけた流れをジャッカル一発で止めた。そして前半30分、FB河野竣太のトライをキックでアシスト。筑波大BK陣の意表を突いたグラバーキックだった。

「プレッシャーを受けて縦に突っ込んでしまいましたし、スペースにボールを運べなかったのはダメでしたね」とやはり自分には辛口だが、流れを止めたジャッカルには手ごたえがある。「自分がいいところで流れを止めていたのは実感できている」。

 引き分けで終わった時は「チームとしてはやり切れていたので、もし(抽選で)ダメでもしょうがないと思えた」。それでもFL坂本侑翼主将が準々決勝の権利を引き当てたとき、中川の目の色が変わった。

「次は天理だったので、天理に対するリベンジの目になっていたと思います。すぐ切り替えていました」

 昨季の大学選手権、準々決勝の天理大戦では前半こそ21-17でリードしていたものの、後半はCTBシオサイア・フィフィタを中心とした留学生選手の突破を許し、28―58と完敗した。流経大はリベンジに燃えている。

 そして12月17日、天理大戦のメンバーが発表された(19日14時キックオフ@花園)。中川は念願の12番のジャージーで先発する。「そこはシンプルに嬉しい」。

 プレーの信条は「こうくるだろうというプレー、当たり前のプレーはしないこと」。

「自分の性格からなんですかね。型にハマったプレーとかが嫌で」

 攻撃の要になる12番が魅惑のプレーで「ダイナミック・ラグビー」を体現する。

内山監督いわく「実は真面目。誤解されやすいタイプです(笑)」(撮影:BBM)
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