試合開始のキックオフから24分でWTBナサニエル・トゥポウは4度トライラインを越えた。
12月13日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた全国大学選手権3回戦で日大が計18トライを奪取。福岡工業大に108-0(前半/61-0)と大勝し、準々決勝に駒を進めた。
勝者は試合開始直後から思い通りにゲームを進めた。
接点で圧力をかけ、セットプレーは攻守両局面でコントロール。バックスも当たるところとボールを散らす判断のバランスが良く、ディフェンダーに的を絞らせなかった。
トライを量産したトゥポウの逆サイドのWTB、水間夢翔も激しい衝突で相手を吹っ飛ばしたかと思えばパスで周囲を活かす。防御を翻弄した。
福岡工大のFB香山海斗主将は「自分たちが思っていたようなラグビーができなかった。ディフェンスにフォーカスして準備してきたのですが」と悔しさを滲ませた。
日大は12月5日に予定されていた関東大学リーグ戦1部の最終戦、東海大戦が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止となるアクシデントに見舞われた。しかし動揺することなく、「気持ちを切らずに」(SH村上陽平副将)練習を重ねた。
中野克己監督は「1年間やってきたラグビーを前半から出し切ろうと言って試合に臨み、それを実行できた」と選手たちを称えた。
日大の次戦(準々決勝)は12月19日、秩父宮ラグビー場でおこなわれる明大戦。大一番に向けHO藤村琉士主将は、「明治が強いのは分かっています。でも、通用する部分はあると思う」と話し、「大方の予想では(勝つのは)あちらでしょうが、覆せるようにしたい」と言った。
これからの1週間、特にディフェンスに注力する。
「気持ちは入っています。名前負けしないように準備を積んで、自信満々で試合に臨めるようにします」と、覚悟を決めた言葉を口にした。