ラグビーリパブリック

流経大vs筑波大は19-19の死闘!抽選で流経大が準々決勝進出

2020.12.13

後半15分に流経大が追いつき19-19。その後、スコアは動かずにノーサイドとなった(撮影:松本かおり)

 最後は流通経済大FL、坂本侑翼主将が次戦への出場権を引き当てた。静かな喜びの中に、引き締まった表情が見えた。

「喜びもあったけど、筑波さんの分もという覚悟、責任もついてくる」

 大学日本一を決める全国大学選手権の3回戦が12月13日におこなわれた。流経大と筑波大の一戦は両者一歩も引かず、19―19で引き分け。大会規定によりトライ数、ゴール数が同数だったため、抽選の結果により流経大が準々決勝進出を決めた。

 先制トライは筑波大。ファーストスクラムで相手の反則を誘うと、3分にSH鈴村淳史が速攻をしかける。パスを受けたFB松永貫汰は外へと走り、最後はWTB植村陽彦がトライを決めた。

 次にスコアしたのは流経大。筑波大の出足の速いダブルタックルに苦しみながらも、21分に肉弾戦の末、27フェイズ目でLOタマ・カペネが押し込んだ。その後、筑波大は反撃に出るもここはFL坂本主将に鋭いタックルとジャッカルの活躍で阻まれる。「自分はDFで体を張るタイプ。まずはいこうと思っていました」(坂本主将)。

 30分、連続トライを決めたのは流経大。狭いサイドでCTB中川彪流がグラバーキック。大外にいたFB河野竣太が反応し、もう一度蹴った。そのまま追いつき、紙一重のグラウンディングが認められた。

 12-7とリードしたが、ここから筑波大の主将、CTB岡﨑航大が魅せる。FWがブレイクダウンでターンオーバーすると、自陣から岡﨑が個人技で一気に敵陣深くまで前進。SH鈴村、WTB仁熊秀斗とつないで逆転した(14-12)。

 後半に先制したのも筑波大だった。11分、敵陣深くでFWがスクラムを押すと、ボールをもらったSH鈴村がスクラム脇でトライ。だがコンバージョンが決まらず、19-12となった直後の14分、流経大が追いついた。筑波大のキックオフの処理ミスを突いて、最後はWTBイノケ・ブルアがトライ。コンバージョンが決まり、19-19とした。

 筑波大は決定力のあるBK、流経大は破壊力のあるBKを武器に戦った。双方ともに、もう少しスコアしたかった思いがあったのだろう。筑波大の岡﨑主将が「FWが善戦してくれたけど、BKが何度かチャンスをつぶしてしまった」と悔やめば、流経大の坂本主将も「拮抗するのは予想していたが、予想以上に筑波さんの圧力があった」と振り返る。

 15分のコンバージョンを最後にスコアは動かず、ノーサイド。抽選は、筑波大が交代した岡﨑主将に代わり、SO山田雅也副将。流経大は坂本主将が引いた。じゃんけんに勝ち、先に引いたのがSO山田。筑波大陣地側のカードを引いた。

「僕が引いても筑波陣地側を引いていた。結果を受けいれるだけでした」(岡﨑主将)

 流経大は4年ぶりに大学選手権での抽選だった。そのときは慶大と31-31の末、慶大が準々決勝進出を決めている。

「(4年前のことが)よぎりました。ただ全力を尽くしてやった学生たちを誇りに思えたし、このような状況の中、ラグビーを大舞台でできたことに感謝していたので、どちらに転んでも受けいれる覚悟はできていた」と流経大・内山達二監督。残った封筒を取った坂本主将が引き当てた。

 同じ茨城県にある大学での戦いにもなったこの一戦。筑波大はコロナ禍による大学当局の制限が厳しく、相手校を自分たちのグラウンドに呼べない中、流経大のグラウンドで2度の練習試合をおこなえたことに感謝した。「流通経済さんあっての僕らだった」(筑波大・嶋﨑達也監督)。

 流経大は筑波大の思いも背負い、12月19日に花園で関西大学Aリーグ1位の天理大と対戦する。

Exit mobile version