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「どれだけチャレンジできるかにフォーカスした」慶大が京産大に勝利 準々決勝で早大と対戦へ

2020.12.13

京産大のディフェンスに激しくあたる慶大のNO8福澤慎太郎(撮影:早浪章弘)


 第57回全国大学ラグビー選手権大会で、ディフェンディングチャンピオンの早稲田大学に挑戦する権利を獲得したのは、慶應義塾大学だった。12月13日に東大阪市花園ラグビー場でおこなわれた3回戦で、京都産業大学に47-14で勝利、準々決勝進出を決めた。

 慶大は開始早々から敵陣深くに入り、FWがゴール前でピック&ドライブを繰り返し、前半4分、PR竹内寛が先制トライを挙げた。

 対する京産大は19分、ゴール前でPKを得ると、巨漢のNO8ヴェア・タモエフォラウが突進してパワーでラインを越え、密集のなかでグラウンディングが認められた。

 しかし、7-7の同点とされた慶大だったが、リスタートのキックオフボールを確保して攻め、FL山本凱が鋭いステップからディフェンスを破ってゴールへ走り切り、再びリード。27分にも敵陣深くに入り、PR大山祥平が仲間の後押しを受けてインゴールにねじ込んだ。試合の主導権を握る慶大はハーフタイム前にも17フェイズを重ねてHO原田衛がフィニッシュし、28-7で折り返した。

 早めに点差を詰めたい京産大は後半の立ち上がりよく、47分(後半7分)、慶大の堅守に対して15フェイズ重ね、間隙を突いたSH廣田瞬がゴールライン上にボールを押さえた。

 しかし、14点差とした京産大だったが、53分、スクラムからのサインプレーが決まらず落球、それを拾った慶大のCTBイサコ・エノサが約70メートル走り切り、再び流れが変わった。
 慶大はさらに66分、スクラムで勝って敵陣深くのラインアウトに移り、FWが縦を突いたあと展開、エノサがタックラーを外してチャンスメイクし、オフロードパスをもらったCTB三木亮弥がトライを決めリードを広げた。78分にはSO中楠一期がディフェンスを抜けてインゴールに持ち込み、勝負を決めた。

京産大は必死に食らいついたが、慶大は計7トライを挙げた(撮影:早浪章弘)

 敗れた京産大の田中利輝キャプテンは、「意地のぶつかり合いになると思っていた。お互いの強みであるFW、そこの勝負で随所に相手を上回ることができたが、やはり関東の壁、コンタクト力、チームの総合力に壁を感じた」と試合を振り返りながらも、「僕たちも自分たちの持てる力を出しきれた。胸を張っていきたい。改めて原点回帰してひたむきさを学んだ。後輩たちには受け継いでいってもらいたい」と前を向く。

 伊藤鐘史監督は、「キャプテンを中心によくやってくれた。少ない公式戦のなか、1試合終えるごとにチーム力が高まっていくのを見るのが本当に楽しかった。いかなる環境であれ、自分たちにフォーカスしてひたむきに取り組むことが大切か、彼らから改めて学んだ。彼らの順応性、柔軟性で今後も進化していくと確信している」とコメントした。

 一方、勝った慶大の相部開哉キャプテンは、2年ぶりの大学選手権出場ということで、「どれだけチャレンジできるかにフォーカスした」と明かし、「プレッシャーを受けた部分もあったが、謙虚にひたむきにプレーするところで、一つひとつ上回れた」と勝因を語った。

 そして、栗原徹監督は次の早稲田大学戦へ向け、「正直、今日の試合の出来だとまだまだ。学んだのは、京産大のFWの強さ、ゴール前でとらせない、とりきる強さ。そこは自分たちも強みとしているが、早稲田に対していかにこじあけていくか、学びをもらえた」と、反省のなかにも収穫を口にした。

 早稲田大学×慶應義塾大学の準々決勝は、12月19日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる。