11月29日、岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムで行われていた「ワールドマスターズラグビー釜石大会 フレンドリーマッチ」が決勝を迎え、惑惑クラブ(大阪)が、21-5で茗溪学園高OBを破り、優勝をおさめた。参加したのは全国から集められた9チーム。40歳以上、60歳未満のマスターズ選手たち。大会は28日から2日間行われた。
伝統校OBチーム、企業チーム、クラブチームが集まった釜石マスターズ大会の試合結果(2日目)
トーナメントを制したのは、どこよりもコンビネーションに長けた惑惑だった。年齢層も比較的広く取りながら、フィールディングは鮮やか、コンタクトも強かった。ハンドリングとボール確保に長けた茗溪学園は、若さいっぱいの45年会、秋田工OBと難敵を退けて決勝に勝ち上がったが、惑惑には一歩力及ばず。試合後は笑顔で記念写真におさまった。
2日目の決勝トーナメントには8チームがエントリー。東京、大阪などから参加者が集まった。このイベントは釜石、岩手、東北の復興を祈念し、応援するために立ち上げられ、2019年に釜石マスターズ大会として第1回が行われた。2回目となる今回は、構想を広げてワールドマスターズを謳う。ワールドカップの行われた釜石鵜住居を、マスターズの聖地にしたいという関係者の願いがある。
大会を主催する釜石ラグビーツーリズム推進協議会は、釜石と東北の復興を支える事業としてのラグビーツーリズムを意図していると、玉井康裕氏(協議会主務)は言う。
「ウイルス感染が収束した暁には、ぜひご家族も連れて、ラグビーマンたちに釜石を訪れてほしい。世界中のラグビーファミリーが旧交を温めながら、復興に心を寄せる機会にしたい」
釜石にはラグビーワールドカップが開かれたスタジアムがあり、鉄の文化があり、おいしい魚がある。岩手には他にも観光資源が豊富。2日、3日、1週間といった観光滞在が、ラグビーを中心に充実すれば、地元にとっては大きな収益になる。それが恒常的に復興を支えていくというコンセプトだ。このイベントは今回、観光庁の認可を得たスポーツツーリズムの実証事業として行われている。
なお、今回のイベントは、すべての行程が観光庁などのガイドラインに添った、厳しい感染拡大防止策の上で行われていた。選手たちはロッカー室もシャワー室も使わず、行き帰りのバスなどでも制限の下で行動、スタジアム内では観客との動線が分けられた。宿泊施設はワールドカップ 時に使用した大型ホテルを使い、全参加者を一か所に入れて、期間中の飲食はホテル内で済ませられるよう手配した。地元地域に配慮を尽くした開催をと心を砕いた。
「コロナが落ち着いたら、この大会への参加を世界に呼びかけたい。鵜住居スタジアムを核にしたこの地ならば、きっとそれができると思います」(玉井氏)
今年も韓国、台湾からチームを招く予定があったが、感染状況を鑑みて、国内勢のみで集まることになった。もし状況が整えば、次回以降は国内の一般チームはもちろん、ニュージーランド、オーストラリア、ヨーロッパなどにも参加を呼びかけていくつもりだ。オープン参加の新大会は観るよりもまず、参加するイベント。国内外のマスターズ選手たちのチャレンジぶりが今から楽しみだ。
◆大会第2日目(11月29日)試合結果
◇決勝トーナメント1回戦
茗溪学園高OB 17-7 45年会
秋田工高OB 10-5 キリンビール Heinekenn
惑惑クラブ 35-10 天理高OB
日本航空 17-5 東京マスターズ
◇準決勝
茗溪学園高OB 17-7 秋田工高OB
惑惑クラブ 14-10 日本航空
◇コンソレーション準決勝
45年会 17-5 キリンビール Heinekenn
東京マスターズ 31-0 天理高OB
◇コンソレーション決勝
東京マスターズ 21-12 45年会
◇決勝
惑惑クラブ 21-5 茗溪学園高OB
伝統校OBチーム、企業チーム、クラブチームが集まった釜石マスターズ大会の試合結果(2日目)