ラグビーリパブリック

天理大、苦難乗り越え関西リーグ5連覇達成。同志社大、京産大と大学選手権出場へ。

2020.11.29

関西で5連覇を達成した天理大。次は悲願の日本一を目指す(撮影:石井愛子)


 2020ムロオ関西大学ラグビーAリーグは11月29日、京都・宝が池球技場で1~4位決定戦2試合をおこない、上位4チームの順位と大学選手権に出場する3チームが決定した。

 全8チームが2組に分かれて戦った各リーグ(Oddリーグ・Evenリーグ)1位同士の対戦は、天理大が同志社大を接点で圧倒し、54-21の大差で5連覇を達成した。リーグ2位が対戦する3~4位決定戦は、京都産業大が関西学院大を28-21で下し、大学選手権残り1枠を勝ち取った。

関西学大のタックラーを引きずりながら前に出る京産大PR野村三四郎(撮影:石井愛子)

 京産大は前週、同志社大に19-49で大量失点。関西学大は天理大に17-43で敗れたものの、前半17-14とリードする善戦。前の試合の内容が明暗を分けた。

 「ゆったりと試合を見させてもらいました」と言うのは勝者となった京産大・伊藤鐘史監督。同志社大に敗戦後、Aチームのメンバーとミーティングに臨んで話し合った。「目の前の1勝1敗に左右されることなく、いついかなる時もひたむきな集団でいよう」
 自分たちのすべきことを再確認。負ければ終わりの試合を控えた週の初めにも、激しい練習で追い込んだ。
「それでけが人も出たんですけど。ようやくチームランになって今日の準備が整った」(伊藤監督)

 序盤はもつれた。前半11分、関西学大に先制される。が、浮足立つことなく、16分に同点に。これまでの試合では攻め焦り、好機を手放す場面も見られたが、スクラム、モールと自分たちの強みを絞り、徐々に試合を支配していった。最終スコアは7点差だが、チームにとっては会心の勝利だろう。

 一方の関西学大。この日は今シーズン見られた、相手に立ち向かっていく姿勢が薄れ、受け身となっていた。
 小樋山樹監督は「天理戦は手ごたえもたくさんあったが、チーム全員が“今日の試合に勝ちたい”と思わないと、勝てないとわかった」。自ら2トライを挙げ奮闘したHO竹内海斗主将も「天理大戦のほうが気持ちが入っていた。僕自身、そこを言い切れなかった」と悔やんだ。

後半5分のHO佐藤康のトライにつなげたPR小鍛治悠太の快走(撮影:石井愛子)

 第2試合は、天理大が開始早々からフィジカルで同志社大を圧倒。セットプレー、ブレイクダウンを完全に制圧。10分のルーキーWTBマナセ・ハビリのトライに始まり、23分までに3連続トライを奪い、19-0と試合を決めた。

 天理大FL松岡大和主将は「今日はFWで圧倒しようと。身体を当て続けた」。前8人にスクラムで1トライ、モールで2トライの「ノルマ」も課した。結果的にはモールから1トライだったが、奪った8トライ中5トライはFWがスコア。「いい形でトライをとれた」と笑顔を見せた。

 これまでFWが献身的に働き、タレント豊かなBKを活かしてきた同志社だったが、ボールを持ちこんでも、ターンオーバーされるか制御を失いペナルティを献上と、寸断された。だが後半にブレイクダウンを修正、終了間際に2トライを挙げ意地を見せた。SO田村魁世は「前半はディシプリンが悪かったが、後半はやろうとしたことができて、プラスにとれるところが多かった」と、大学選手権を見据えた。

 天理大は、新型コロナウイルスによるクラスター発生で練習中断期間を経ての連覇達成。小松節夫監督は「変則リーグになって、同志社の情報もない中、緊張感を持った一発勝負。なおさら勝てて嬉しい」と安堵した。
 緊張感のある試合を経てこそ、チームは飛躍する。選手権に出場する3チームにとって、この日の試合は貴重な飛躍の場となった。

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