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開志国際が北信越代表に。創部6年、笑顔で初の花園切符

2020.11.23

北信越ブロックを突破したのは新潟2位の開志国際(白ジャージー)。新潟予選の準決勝から長足の進歩を見せ、今年だけの舞台で成果を示した(撮影:見明亨徳)

 試合開始直前。フィールドに入ったフィフティーンからは自然に「笑顔で、笑顔で。スマイル、スマイル」と声が出た。

 第100回高校ラグビー全国大会への敗者復活出場をかけた北信越地区のオータムブロックチャレンジトーナメント決勝が11月23日、富山・岩瀬スポーツ公園で行われた。創部6年、開志国際(信越代表、新潟)が高岡第一(北陸代表、富山)を12トライ72-6で下し、初の花園切符を勝ち取った。

 開志国際のキックオフを受けた高岡一。自陣からタッチを狙うも開志国際左FL國分啓充(ひろみつ)が出足よくチャージするとボールをつないだLO小島拓人がポスト左へ飛び込んだ。

 わずか1分の先制、これが開志国際の勢いを生んだ。

 10分後には國分が敵陣10メートル内に入りそのままディフェンスを振り切りインゴールへ駆け抜けた(12-0)。高岡一は、22分に開志国際陣内での相手反則を誘い、ゴール前へ。4度目の危険なタックルで得たPKで中央からのPGを選択しCTB野田駿志が決め3-12とした。

 ところがそのリスタート、高岡一陣でルーズボールになると國分が2本目のファイブポインターとなった。國分は28分にも前半最後のトライでハットトライを達成した。開志国際は得点を重ねるたび、ハーフラインで「笑顔で」と確認しあった。

 31-3と大きくリードした後半も2分にFBサポイ ビリアミが自陣から一気にインゴールへ。國分も2トライ積んだ。計12トライ72-6と大差で全国大会初出場を手にした。

 開志国際は創部が2015年。わずか6年目の快挙だ。’17年に三菱重工相模原社員から指導者の道を選んだ高橋昌徳監督。本職はLO、日体大から2002年に三菱重工相模原へ。‘10年に引退後は社業に専念していた。「本当に嬉しい。3年前に監督に就任した時に3年後に全国と思い、それが達成できた」。子供たちの掛け声「笑顔で」は、「10月の北越高校戦(新潟県予選準決勝。開志13-12北越)から自然と出ていました」という。

 國分はその北越戦でCTBからFLへコンバートされていた。シークエンスにおいてはFLでその身体能力を発揮、そして「スクラムなどセットプレーの時はCTBに戻してゲインを狙える」。オータムの舞台は、監督の思い通りの試合となった。

 國分は埼玉県上尾市の出身。ケヤキッズ大宮RCで楕円と親しみ新潟へやって来た。「新しい学校が伝統校を倒す。格好いいと思います」。主将FL杉崎遼も國分と同じく首都圏から。神奈川県の相模原ラグビースクール出身だ。「花園目標はベスト8」と杉崎。

 ジャイアントキリングを実現するには「きょうのラインアウトでは厳しい。もっと精度を高めないと全国ではやられてしまいます。うちと新潟工業(新潟予選1位)との差は『選手がやり切ることができるかどうか』」と高橋監督。1か月の成長期間を有効に使いたい。

 第94回大会以来6大会ぶり2度目の花園を目指した高岡第一。吉田治夫監督は大敗にも「選手は最後まであきらめないでタックルをし続けていた。後半も、裏に出られても必死に戻って、トライ寸前で止めた場面が2度、3度とありました。しっかりやってくれました。高岡はアタッキングラグビーと思われていますが、新チームでは、きょうのようにディフェンスからのチームを作っていきます」。

 木原陽平主将(FB)は「全部出せました。満足しています」と清々しい顔だった。試合後の円陣で3年生は下級生に語った

「絶対、来年は花園に行ける」

 その思いは引き継がれていく。

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