第100回高校ラグビー全国大会への敗者復活出場をかけた近畿地区のオータムブロックチャレンジトーナメントは11月21日、奈良・天理親里ラグビー場で準決勝2試合があり、天理(奈良)が大阪桐蔭(大阪)を19-10(前半7-3)、報徳学園(兵庫)が京都工学院(京都)を24-21(前半7-21)とそれぞれ破り、2日後の23日に行われる決勝戦進出を決めた。
天理はフィジカルの強さで鳴る大阪桐蔭にひけをとらなかった。
ラックサイドを3人の場合は三角、4人の場合はひし形で、その頂点がぶち当たり、後ろがクリーンアウトする。3人が横一列に並び、パスアウトの的を絞らせない形もある。組織だった動きで大阪桐蔭の個の力に対抗する。前半6分過ぎには、3分ほどをかけて30次に及ぶ攻撃を続けた。
前半17分にはラックサイドをSH梅谷洋明が突き、先制トライを挙げる。
近場の攻めはまき餌となり、7-3の後半7分にはラインアウトから大外に展開。ライン参加したLO奥井大勢が抜け出す。ポイントを2つ作り、最後はCTB谷田親春がインゴールに飛び込んだ。
「こういう攻めは死ぬほど練習してきました」
松隈孝照監督は胸を張った。トライ数は3-1。コンタクトは失点も抑えた。
「ディフェンスが頑張ってくれましたね」
はまった攻守に指揮官は笑みっぱなし。
大阪桐蔭は主軸の3年生2人を欠いた。共同主将のFL髙山碧惟はヒザのケガ、17歳以下日本代表のPR松井亜星は交通事故の後遺症だった。綾部正史監督は無念さいっぱい。
「2人がいれば、展開はもう少し違っていたと思います」
2大会前の全国優勝チームは今年、花園の芝を踏むことなく、姿を消した。
報徳学園はインジャリータイムに入った後半31分、FB植田和磨が左寄り25メートルの決勝PGを決め、逆転勝ちした。
「めちゃくちゃプレッシャーがかかりました。入ってくれてよかったです」
植田はニッコリ。後半8分にはこぼれ球を拾い、3人をかわし、インゴールまで40メートルを走り切る。1トライ、1ゴール、1PGと10点を挙げた。
報徳学園出身の大学生FBは明治の雲山弘貴(3年)、慶應の山田響(1年)が有名だが、その系譜に連なる。
「雲山さんは体のサイズが違うので、響さんを目標にしています」
植田は175センチ。2人の先輩は186と174。現実的な路線を進む。
花園優勝4回を誇る京都工学院の大島淳史監督は性急な攻めを嘆いた。
「前半、トライをもう1本獲れるところで、獲れなかったことが響きました」
ゴール前に迫りながら、ショートパントを上げてしまい、ドロップアウトにされたことを振り返った。
今年9月、部員がコロナに罹患する。結果、2週間の練習禁止。その調整遅れも敗因にひとつになった。
決勝戦となる天理×報徳学園は11月23日、14時に大阪・花園ラグビー場第Ⅱグラウンドでキックオフされる。試合は無観客。勝てば、天理は2年ぶり64回目、報徳学園は5年連続46回目の本大会出場となる。