第57回全国大学ラグビー選手権大会が11月21日に開幕し、福岡県営春日公園球技場でおこなわれた1回戦は、福岡工業大学(九州学生リーグ1部優勝)が八戸学院大学(北海道・東北地区代表)に43-21で競り勝った。
2回戦進出の福岡工業大学は、11月29日に愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で朝日大学(東海・北陸・中国・四国地区代表)と対戦する。関東、関西で出場権を獲得したチームは3回戦以降に登場する。
勝った福工大だが、試合後に笑顔は少なかった。
前半は八戸学院がFWを中心にプレッシャーをかけ、福工大は自分たちのペースをつかめなかった。
福工大の背番号3をつけた矢野裕康は、「八戸学院のFWのインパクトは予想以上だった。それで、自分たちは後手に回ってしまった」と反省する。
アタッキングラグビーを掲げる福工大だが、セットプレー、特にスクラムでプレッシャーを受けてうまくボールを出せず、前半は展開ラグビーが不発だった。最後尾に立っていたキャプテンのFB香山海渡は、「FW同士の戦いになったときになかなかゲインを取れず、FWが負けてしまったので外に展開できなくて、とりあえず、敵陣でエリアを取りに行こうと、キックに切り替えた。しかし、キックも八戸学院さんにうまく処理されて、自分たちのいつものラグビーではなくなって焦りが出た」と振り返る。
よく声も出ていた八戸学院が先制し、前半22分にもSO佐藤達哉が2本目のPGを決めた。
6点を追う展開となった福工大は、前半25分、敵陣深くに入って連続で攻め、FL吉野隼平がインゴールに突っ込み最初のトライを挙げた。30分にはCTBヴァカラヒ・シオエリが自陣からブレイクスルーで大きくゲインし、キックしてCTB平山真也を走らせ、ボールを確保した背番号12がインゴールに持ち込み逆転した。
36分に八戸学院がラインアウトからモールで押し込んで1点差とし、後半早々にはブレイクダウンで福工大の反則を引き出してPGチャンスを得、SO佐藤がショットを決めゲームをひっくり返した。
だが、この試合、八戸学院のしぶといディフェンスにも苦労していた福工大だが、48分(後半8分)、ドライビングモールでやり返して再逆転。
八戸学院は徐々に反則が増え、57分にも敵陣深くに入った福工大はFWのパワープレーでトライを獲り切った。
それでも粘る八戸学院が62分にゴールラインを割り、3点差に詰めたが、最後の15分間は福工大が支配。
リスタート後、福工大は相手にプレッシャーをかけて敵陣深くでボールを奪い返し、ラインアウトからのモールは止められたが、ラックのサイドアタックでPR沖本翔一がトライゲッターになった。76分にもゴールに迫るとSH福山浩太郎が間隙を突いてインゴールに持ち込み、79分にはCTBシオエリ、NO8鎌田凌らの力走が続いてHO牧俊佑がフィニッシュし、勝負を決めた。
敗れた八戸学院大の工藤祐太郎監督は、「なんとか食らいついた部分はあったが、非常に差を感じたゲームだった」と悔しさをにじませた。キャプテンのHO仲澤巽は、「自分たちがやってきたゲームプランを前半はできたが、後半は福岡工業大学さんの力に及ばなかった」と振り返り、後輩たちに思いをつなぎ、また来年、全国の舞台でチャレンジしてほしいと願う。
勝った福岡工業大の宮浦成敏監督は2回戦へ向け、自分たちのアタッキングラグビーをするためにも、まずディフェンスをしっかりやることが大事だと課題を口にした。
「しっかり前へ出て相手を倒していく。そして、ターンオーバーから我々のアタックに持ち込んでいきたい。ディフェンスから前に出るというイメージを壊さないこと。アタック力はキャプテンを中心に後ろから判断できる選手がそろっているので、中心線を逸脱しないで、福工大のラグビーができればと思っている」
2回戦で挑む朝日大学は強い、と認める。その相手に、福工大のラグビーを存分に発揮したいと誓う。