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関西大学Aリーグも開幕だ! 1か月の短期バトル、決意を持って臨む8校の白熱の戦いへ

2020.11.07

2020ムロオ関西大学ラグビーAリーグで戦う8大学の主将たち(写真提供:関西ラグビーフットボール協会)


 いよいよ、「2020 ムロオ 関西大学ラグビー Aリーグ」が始まる。
 今年は新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたが、11月7日にキックオフを迎える。

 約1か月間の短期日程で変則的なシーズンとなり、例年のような全8チームによる総当たり方式ではない。昨年度の順位をもとに奇数と偶数順位の2グループに分け、それぞれで4チームの総当たり戦をおこない、その後、同順位チーム同士が対戦し、最終的なリーグ順位を決める。そして、上位3チームが全国大学選手権大会への出場権を得る。

 リーグ分けは、昨季1位の天理大、3位の関西学院大、5位の近畿大、7位の摂南大がOdd(奇数)リーグ。昨季2位の同志社大、4位の京都産業大、6位の立命館大、そして入替戦を制しBリーグから昇格した関西大がEven(偶数)リーグとなる。

 試合数が少ないため、優勝争い、大学選手権出場をかけてすべての試合が見逃せない白熱した戦いになりそうだ。

 優勝候補の筆頭は、5連覇を狙う天理大。8月に新型コロナウイルスの集団感染が発生してチーム活動を自粛しなければならない期間があり、つらい日々を過ごし弱気になった選手もいたようだが、松岡大和キャプテンを中心にみんなで励ましあい、地元の人たちなどの応援もあって苦難を乗り越えてきた。ゲームフィットネスと戦術の統一を課題に取り組み、開幕を迎える。

 FLの松岡キャプテンは、「(全国大学選手権大会では)おととしは決勝、昨年度は準決勝で負けて悔しい思いをしました。先輩方の思いも背負って、また、サポートしてくださった方々に恩返しをするためにも、一戦一戦、チーム一丸となって戦い、まずは関西リーグ5連覇、そして必ず日本一を勝ち取ります」と意気込む。

 注目選手は、副将を務めるCTBのシオサイア・フィフィタ。突破力が魅力で近い将来の日本代表入りも期待されるフィフィタは、今年はサンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーでも活躍した。松岡キャプテンは「シオサイアはサンウルブズから帰ってきて、よりスキルフルになりました。そして、ボールを持ってからの動きが変わってきた。以前は自分でボールキャリーへ行くプレーが多かったんですが、サンウルブズを経験して帰ってきてからは、以前よりもボールを動かす意識が強くなっている」と語っており、進化したフィフィタに期待している。

 ほかには、パワフルな選手でボールキャリーが力強いNO8の山村勝悟、ルーキーのCTBマナセ・ハビリもキャプテンのイチオシだ。攻めのパスでゲームメイクするSH藤原忍もキーマンとなる。

パワフルな走りは世界でも通用したシオサイア・フィフィタ(Photo: Getty Images)
同志社大のゲームをコントロールするSH人羅奎太郎(写真提供:KRPU Y.Sakata)

 昨年度2位の同志社大は、5年ぶりの関西制覇、そして日本一を目標に掲げる。
 伊藤紀晶ヘッドコーチのもとで鍛え、攻守にわたって80分間ハードワークし続ける運動量が強み。そして、「レッドディフェンス」を合言葉に、前へ出続け、燃え上がるようなアグレッシブなディフェンスをしていきたいとキャプテンのFL中尾泰星は言う。
「どのような相手にも、一戦一戦、チャレンジャーの気持ちを忘れず80分間戦っていきます。(コロナ禍による)自粛期間中には多くの方々から励ましの声を掛けていただいたので、感謝の気持ちを忘れずに全力でグラウンドで体現し、勝利という形で恩返ししていく所存です」

 U20日本代表を経験しているSO田村魁世、CTB稲吉渓太、WTBの和田悠一郎、山口楓斗など、タレント揃いのBKによるラインアタックも強み。FWでは、ハードワーカーのFL中尾や、ラインアウト能力も高いNO8大熊陽介などが注目で、速いテンポと的確な指示でFWとBKをまとめるSH人羅奎太郎もカギを握る。


 昨年度関西3位で、全国ではベスト8入りした関西学院大の竹内海斗キャプテンも、はっきりと優勝への思いを口にした。
「昨年の大学選手権で明治大学に惜しくも負けて(14-22)、改めて日本一の壁を感じることができました。今年、コロナ禍でなかなか練習できない状況のなかでも、自分たちで考え、行動し、どうしたら日本一になれるかを常に考えていました。そのなかで培ったことを活かして、関西リーグで優勝し、日本一になりたいと思います」

 昨季までトップリーグのNTTドコモレッドハリケーンズでプレーしていた小樋山樹氏が新監督となり、FW・BK一体となったテンポのあるアタックを目指す。竹内キャプテンは「オールブラックス(ニュージーランド代表)のように80分間走り続けるようなプレーがしたいです」と語った。

 注目選手は、キャプテンが「自信を持って、責任感のあるプレーをしてくれる」と評したNO8松田進太郎。BKのキーマンのひとりは副将でもあるSOの呉嶺太で、パスの長短の使い分けとエリアマネジメントが期待されている。

オープニングゲームで対戦する近畿大の森田博斗主将(左)と関西学院大の竹内海斗主将
(写真提供:関西ラグビーフットボール協会)

 昨年度4位の京都産業大も目標は日本一だ。進化に限りはないとあらゆる面であくなき成長を目指してきた。
 伝統的に、スクラム、ラインアウト、モールといったセットプレーは強い。BKはアクセルアタックの担い手としてスピードとフィットネスの向上に取り組んできた。

 FLの田中利輝キャプテンは、「チーム理念にもあるとおり、『いついかなる時もひたむきなプレーをし続ける』ことを体現化し、日本一をつかみたい」と気合十分。
 副将の2人も頼もしく、FL城間賢は攻守ともに中心的な選手、ニュージーランド出身のニコラス・ホフアはU20日本代表を経験しているユーティリティBKだ。
 そのほか、ダイナミックなランとオフロードでゲインラインを突破するLOアサエリ・ラウシ、エーストライゲッターとして期待されるWTB堀田礼恩なども注目選手。


 近畿大は「関西制覇と大学選手権ベスト4入り」を目標とする。
 PRの森田博斗キャプテンは、「今年のアタックテーマは『ノンストップラグビー』。常にボールを動かし続けて勢いのある近大らしいアタッキングラグビーで勝利をつかみ取りたい」と話した。

 運動量豊富なFWと得点力のあるBKがリンクした展開ラグビーを目指す。ディフェンスは、1試合の失トライは3つ以内に抑えたい。

 注目選手は、BKリーダーでもあるCTB/SO福山竜斗。キャプテンは「フィジカルやスキルなどすべての面において優れており、低く鋭い、強気のタックルにも魅力を感じている」と期待する。ほかには、ジュニア・ジャパンを経験しているLOの山本秀も攻守にアグレッシブな選手で、パワフルなランニングが魅力で状況判断にも優れるFWリーダーのLO坂上知志、運動量豊富なNO8末廣大智、鋭いステップを持つCTB中辻眞大も注目選手。


 立命館大のチームスローガンは『HUNGRY ARROW』。ハングリーに激しく、チームが一体となって関西優勝という目標にチャレンジする。

 NO8の庄司拓馬キャプテンは、「新型コロナウイルスの影響によりラグビーができる環境があたりまえではないということを再確認しました。そのなかで試合ができること、大会が開催されることに感謝して、今年の目標である関西優勝を立命館のスローガンである『HUNGRY ARROW』を体現したうえで達成します」と抱負を述べた。

 セットピースの要となるのは元U20日本代表のPR百地龍之介。FWは機動力のある選手が多く、FL宮下大輝のアタックはスピードがある。BKでは、今年ジュニア・ジャパンの一員としてパシフィック・チャレンジ初優勝に貢献したCTB/WTB木田晴斗や、7人制代表としてユースオリンピックやワールドセブンズシリーズを経験しているWTB藤井健太郎の走りに注目だ。

摂南大のパワフルなCTBテビタ・タイ(写真提供:KRPU Y.Sakata)

 摂南大は、東芝ブレイブルーパスの監督としてトップリーグ優勝を遂げ、2016年にはリオデジャネイロオリンピックでセブンズ日本代表をベスト4に導いた瀬川智広氏が新監督となり、見ている人が興奮するようなアタッキングラグビーで全国大学選手権出場を目指す。

 FL春山右京とともに共同キャプテンを務めるSH三田村直輝は、瀬川監督になって特にアタックの成長を感じており、「ハンズオフのところを重点的に指導されました。ボールを広く使うパスやステップの仕方を教わって従来の摂南大学のアタックから変わりました」と自信を持つ。アンストラクチャーな状態からも一気にトライを狙っていく。

 フィジー出身のCTBヴィリアミ・ツイドラキ、FL/NO8アミニアシ・ショーは突破力があり、1年生のLOヴエティ・トゥポウは193センチと長身でパワフルなボールキャリアーだ。3年生のFL岡崎幸斗は運動量があり攻守において80分間体を張り続ける。2年生のLO徳永リオ吉平は肉体改造に取り組んで経験を重ね成長中。ルーキーのWTB前薗斗真はラグビー理解度が高いと期待されている。


 そして、Bリーグから昇格した関西大は大学選手権出場を目標とする。今年は「変革」というスローガンを掲げた。
 HOの淡野徳蔵キャプテンは、「これまでの自分たちではこの目標は成し遂げられないので、自分たちから変えていこうと考えました。自分たちから何か行動を起こして、これまでとは違う部分を出していきたい。記録に残すだけでなく、記憶に残るようなラグビーをしたいと思っています」とコメントした。

 セットプレーの安定が上位進出へのカギとなるが、スクラムはPR成宮銀次郎が強い。成宮は機動力もアリ、器用な選手だ。FL池原自恩は無名だが関西大が誇るハードタックラー。BKでは、SH溝渕元気の長く速いパスが魅力で、CTB/WTB澤口飛翔はスピードがありコンタクトも強い。
 出足の速い、堅いディフェンスもチームとして自信を持つ。


 開幕節は、11月7日に奈良・天理親里競技場でOddリーグの2試合がおこなわれ、オープニングゲームでは近畿大と関西学院大が対戦。第2試合では天理大と摂南大がぶつかる。
 Evenリーグは8日に大阪・鶴見緑地球技場で幕を開け、京都産業大×立命館大、関西大×同志社大の試合がおこなわれる。

 なお、今年の関西大学ラグビーAリーグは、新型コロナウイルス対策に十分注意しながら、リーグ戦、順位決定戦の全試合を有料の有観客試合として実施する。
 チケットの販売数は会場収容定員の50%以内とし、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスを通じて販売。試合会場での当日券の販売はおこなわない。

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