青×黄のジャージーが頂点に立った。
京都成章の武器は、全国トップクラスの強豪である男子ラグビー部と同じディフェンス。2日間、4試合のうち2試合は完封勝利で、総失点は26だけだった。
カップトーナメント初戦(準決勝)、決勝とも、相手を2トライ以内で抑え、創部3年で歓喜の時を迎えた。
10月24日と25日、埼玉・熊谷ラグビー場で第3回全国U18女子セブンズ大会が開催された。
コロナ禍で多くの試合、大会が中止となっている2020年シーズン。その中で、今季初めておこなわれる日本ラグビー協会主催の大会は、実行委員会がウイルス感染対策を立てた上で、綿密な計画案を練って開催に漕ぎ着けた。
全国9ブロックの代表として集まった12チーム(関東、近畿、九州は2チームずつ)が力を出し切り、特に2日目は好ゲームが続いた。
優勝した京都成章も、國學院栃木に15-12と競り勝ち、ファイナルの関東学院六浦戦は前半を12-14とリードされる展開だった。
後半に入って運動量と集中力を発揮し、3トライを重ねて逆転勝利を手にした。
勝者は、決勝戦のキックオフを告げるホイッスルが鳴った後、快調に滑り出した。
ターンオーバーからチャンスをつかみ、小池玉紗の突破からパスをつなぐ。安井ノエルが先制トライ。5分には大会MVPに選ばれた麻田瑞月がインターセプトからインゴールに入った。
ただ、6分には関東学院六浦の巧みなパスのつなぎからトライ(向來桜子)を返され、前半終了間際にも反則を重ねて松澤ゆりかにトライを奪われる。逆転を許してハーフタイムを迎えた。
そんな展開にも慌てなかったのは、時間をかけて積み上げてきたものがあったからだ。昨年の大会ではカップ戦初戦(準決勝)で今回と同じ相手、関東学院六浦に逆転負けを喫した。そのときの悔しさがチームを変えた。
お菓子や油もの、ファストフードを避ける食事制限を徹底。日々の練習の集中力、チーム全体の団結力を高めてきた。
後半奪った3トライは、いずれもPKを得た後の速攻から生まれた。
簡単ではなかった試合を振り返り、安井主将は「アグレッシブにやろうと言い続けた」と話す。
「ミスをしてもいいから悔いの残らないようにやろう、と。(一時逆転されるなど)接戦は想定内。走り勝ったチームが日本一になると思っていました」
最後は、その言葉を体現した。防御から切り返す、自分たちのスタイルが出た。
大会3連覇を狙っていた石見智翠館を準決勝で破った関東学院六浦の進化も見事だった。このチームも、1年前の悔しさからスタートを切った。
野本葵主将は、「去年の大会(の決勝)で石見智翠館に大敗しました(0-36)。その時は焦って自滅したので、今年は落ち着いて戦おう、と。部室に負けた時の写真を貼り、悔しさを忘れないようにしてきました」と言った。
それぞれのチームが、それぞれの思いを胸に戦った2日間には、日頃の熱が詰め込まれていた。