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世界的スター、ポーコックが引退。パナソニック退団発表。「太田市での生活が大好きでした」

2020.10.23

トップリーグ2020はコロナで中断するまで、パナソニックで元気にプレーしたポーコック(Photo: Getty Images)


 ジャパンラグビートップリーグのパナソニック ワイルドナイツは10月23日、2016年から在籍していた世界的スター、デービッド・ポーコックの退団を発表した。

 本人は、「私のラグビーキャリアを終えるにあたり、自身の次のステージを楽しみにしています」とコメントしており、32歳で現役を引退する。

 プロラグビー選手として15年間、勇敢なポーコックは体を張ってチームに活力をもたらし、観る者を興奮させた。世界最高峰のフランカー。激しい肉弾戦にも恐れ知らずで、果敢にボールを奪いに行き、ジャッカルの名手と称えられた。オーストラリア代表“ワラビーズ”の一員としてワールドカップ3大会を含む83試合に出場。昨年日本で開催された大舞台を最後にナショナルチームから退き、多くのファンに惜しまれた。

 パナソニックには2016年に加入。2018年度はオーストラリアのブランビーズでプレーし、日本での活動をスキップしたから、ワイルドナイツでは実質3シーズン過ごしたことになる。

「3シーズンにわたってパナソニック ワイルドナイツの一員であったことに心より感謝いたします。このクラブを代表し、たくさんの素晴らしいアスリートそして男たちと一緒にプレーできたことを誇りに思います。パナソニックには、このような機会を与えてくださり、改めて感謝申し上げます。また2008年にワラビーズとしての最初の機会を与えてくれ、私のキャリアにとって多大な影響を与えてくれたロビー・ディーンズ監督とさらに多くの時間を共有できたことは、正真正銘のハイライトとなりました。私のこのクラブでの時間を非常に楽しいものにしていただいたワイルドナイツの首脳陣、すべてのコーチ、そしてスタッフの皆様に感謝を申し上げます」

ワールドカップ2019、静岡でのジョージア戦後、笑顔でファンと交流するポーコック(Photo: Getty Images)

 ポーコックはパナソニックで優勝することはできなかったが、全力プレーでファンやチームの期待に応え、2017-2018シーズンはトップリーグのベストフィフティーンに選出された。自らが模範となり日本ラグビーのレベルを引き上げたひとりであるこの男は、ラグビーワールドカップ2019日本大会でも人々の熱狂を目の当たりにし、感慨深いものがあったに違いない。

「日本のラグビーがどんどん強くなっていく時代に、この国でプレーできたことはエキサイティングであり、私にラグビーという競技について今までと違う観点や機会を与えてくれました。またパナソニックと日本のラグビーにとって、明るい未来を約束された多くの若い選手たちを見られたことは素晴らしい経験となりました」

 ラグビー以外では自然環境保護など社会的活動にも積極的に取り組み、オフフィールドでも多くの尊敬を集めた。そしてこれからも、信念をもとに行動し、周りに影響を与えていくだろう。

「私は、太田市(ワイルドナイツの拠点)での生活が大好きでした。私が太田市にいた期間で、本当にフレンドリーでホスピタリティーに溢れた人たちに出会うことができました。私のラグビーキャリアを終えるにあたり、自身の次のステージを楽しみにしています。そして、これからもワイルドナイツの今後を熊谷のワイルドナイツサポーターの皆さんと一緒に応援し続けたいと思います」

けがを何度も克服してハードにプレーしたポーコック。2015年のW杯では準優勝に貢献(Photo: Getty Images)

 そして、ポーコックのほか、2018年度から在籍していたCTBラトゥ・クルーガー(25歳)と1シーズンプレーしたLOハミッシュ・ダルゼル(24歳)もワイルドナイツを退団する。

 2020年度新加入選手も発表され、オーストラリアのレベルズでスーパーラグビーを経験してきた元U20オーストラリア代表の2人、LOエセイ・ハアンガナとユーティリティBKのセミシ・トゥポウ(ともに21歳)がワイルドナイツに加わり、新しい挑戦に意気込んでいる。